A Mid-level (Middle-aged) Office Worker’s Laid-Back Industrial Revolution in Another World
Episode 1752 What is catastrophe? (Someone who can cook.
課外授業の広場にて。
各々が夕食の準備をしている。
「ねぇ、バウアー・・・これ焼くの?」
グレースがカットされた野菜を見ながらお付きに聞いてくる。
「いえ、スミス様とジーナ様が戦闘をしております。
スミス様が仰っていたように胃に優しい物をお作りした方がよろしいですから。
今日もスープに致しましょう。
野菜も多めに頂いておりますのでお腹は膨れますよ。」
「そう・・・手順には貰った食材を焼いて味付けをしてパンに挟むと書いてあるのだけど。」
「そうですね。
でもレシピよりも戦闘をしている者の事を考えるのが待つ者の気遣いではないでしょうか。
それに明日には王都に戻ります。
焼きたいのなら戻ってから食材を買って料理しましょう。」
「別に焼きたい訳ではないのだけど・・・スミスとジーナともう1つのグループからしか人員を出してないから他のグループではこのレシピ通りに作っているのよね?」
「そうですね。」
「私達だけでも他のグループと同じ夕食を取った方が良いと思ったののだけど。」
「・・・」
グレースの言葉にバウアーは何も言えない。
「グレース殿下!ここはスミスが要望したように後で個人で味付けが出来るようにスープにしましょう!
同じグループなのです、スミス達だけ俺達と違う物を食べさせるのは可哀そうですよ!」
「そうです!同じグループなのです!
同じ物を食べて一緒に寝てこそ友好を深められるというものです!」
イーデンとカイルが力説する。
「今回の戦闘は突発的な事、でもここは課外授業、私達だけでもクラスの皆と同じ物を調理し、食べて苦労を分かち合わないといけないのでは?」
「うっ・・・」
イーデンが何も言えない。
「確かにクラスの皆と同じ事をするのも大事ですが、スミス達も同時に大切です。
スミス達は戦闘という過度の運動をしてくるのです!
味が濃い物や固い物を用意しておいても胃が受け付けないでしょう。
なので、スープを用意するしかないのではないでしょうか?」
「スミスとジーナ用のスープを用意して、私達用に料理をすれば良いのでは?
食材は多いですし。
それに戦闘に参加していない私達はスミス達と同じような苦労をしないといけないのではないですか?
食事の用意で時間がかかるのならスミス達用の料理と私達用の料理、その2つを作り成し遂げることこそ、スミス達に胸を張ってこっちも頑張っていたと言えるのではないのですか?」
「うっ・・・」
カイルが何も言えない。
「「・・・」」
2人のお付きのバイロンとブルは目線を下げ、悲しい顔をしている。
「バウアー。」
「はい、殿下。」
「やるわよ。」
「わかりました。
今日こそは焦げない物を作りましょう。
もちろん、スミス様とジーナ様のスープは私が見守っておきます。
イーデン様とカイル様、両お付き方と協力し、今日のレシピを完成させてください。
ですが、昨日と同様、殿下は刃物を持たせません。
料理の指揮をお願いいたします。」
「ええ!わかったわ!
ならイーデン!カイル!やるわよ!
時間がないんだから!さっさと作りましょう。」
「「ええ・・・」」
グレース達が動き出すのだった。
見守る会のテント前。
「・・・なーんか、殿下やる気になっているね。
貰った安全なキノコは炒め終わりそうだよ。」
「結構騒いでいたし・・・まーた、昨日の惨事を繰り返すのかもね。
あの匂いは絶対に焦げたんだと思うんだよね。
はい、トマトを煮込んでのソース出来たよ。」
「いや、基本、肉とタマネギをオリーブオイルで炒めて、良い感じになったらジャガイモとニンジンと赤ワインを入れて煮るだけだったんだけどね。
なんで焦がすかね。
あ、サラダの用意も終わりそうだよ、今日は野菜が大量だからね、いっぱい食べなきゃ。」
女子生徒達が調理しながら言ってくる。
「はぁ・・・料理は工夫が大事というのを言葉の通りに実践するのが料理が下手な者の考えだからな。
大方、ワインを強火で煮込み過ぎたんじゃないのか?
最初に肉とタマネギの所で強火で焼くとか書いてあったから。」
男子生徒は調理には参加せずに食器の用意をしながら言う。
「・・・ええ?」
「焦げるよりも水が飛び過ぎたと思ったら火を弱くして水を足して少し煮込んだ方がマシじゃないの?
味は少し薄くなるかもしれないけど、食べられる物は出来ると思うんだけど。」
女子生徒達が首を傾げる。
「はぁ・・・それは出来る者が考える事だろう?
レシピに無い事を料理が出来ない者がすると思うか?」
男子生徒がため息交じりに言う。
「「ん~・・・わからない。」」
「でもお付き方が動かなかったね。
あれは?」
「主達の料理を邪魔するのか?
一生懸命作っているんだぞ?
この課外授業が料理のありがたさを知る機会という事の意味を知っているだろう者達だぞ?」
「・・・意を決して食べないといけないのか。」
「お付きって大変な仕事なんだね。」
「・・・今度男子だけで料理作ってよ。
料理した事ない人が作る料理食べたい。」
「「それ面白そう。」」
「俺とルークでか?
俺もルークも料理経験はないが・・・食材が勿体なくないか?」
「「「費用は私達持つから。」」」
「王都に戻ったらルークと検討しよう。」
男子生徒が諦めながら言うのだった。