「・・・」

武雄はすんなりと目覚める。

腹部への強烈な刺激・・・アリスの膝蹴りがない。

武雄はボーっとしながら「なぜ?」と思いアリスが寝ているであろう左を見ると・・・居ない。

右を見ると・・・居た。

武雄は「あれ?」と思う。寝る時は確か左に居たはず・・・なぜ右に居る?

「まさか・・・登って降りたの?・・・横断?」

武雄は呆れる。

当のアリスは仰向け状態でスヤスヤ寝ている。

「まぁ・・・良いか。」

今日も武雄はアリスの太ももを撫でながらボーっとする。

・・・

・・

アリスが身じろぎを始め。

「・・・おはよう・・ございま・・・す。」

と挨拶をしてくる。

「はい、アリスお嬢様。おはようございます。」

と武雄もアリスの太ももを撫でながら挨拶をする。

「・・・私もします・・・」

と、武雄のお腹を撫でてくる。

・・

武雄とアリスは、その後、ベッドの中で遊んでいたが。

「さ、タケオ様、名残惜しいですが起きましょう。」

と、アリスの言葉と共に二人ともベッドを出て、着替えを始める。

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朝食を終え、客間で皆でティータイム。

フレデリックが食後のお茶を入れ、皆の前に置き、皆から少し後ろに下がる。

ミアにはリンゴの搾りたてジュースが出されていた。

「タケオさん、あのタマゴサンドは絶品です!」

ジェシーが嬉しそうに言ってくる。

ジェシーの言葉にゴドウィン伯爵も頷く。

「そんなにでしたか?

 気に入って貰えた様でなによりです。」

武雄が苦笑しながら答える。

「タケオさん、いくつ料理を作る気なの?」

「んー・・・さぁ?

 気が向いた時に作っているので・・・予定の数は無いですね。」

「そう、もっと美味しい物が出てくるかもしれないのね。

 楽しみだわ。」

「そんなに気に入っていただけたのですね。

 じゃあ、バターサンドとマヨネーズとタマゴサンドのレシピをお渡ししますね。」

「あ、また。」

アリスが抗議してくる。

「アリス。」

「アリスお姉様。」

「うぅ・・・わかってます、わかっていますよ。」

アリスは「むぅ」と唸るに留めるのだった。

「・・・というよりですね。」

武雄がアリスに向かって言ってくる。

「はい?」

「その3つのレシピはレイラさんにも渡していますよ?」

「え?いつのまに?」

「レイラさん達が帰る際に渡しましたが?」

「気が付きませんでした・・・」

「まぁ、姉妹で美味しい物を食べてくださいという私からのプレゼントと新しい家族としての付け届けみたいな物と言う事で。」

「あら、タケオさん、気を使ってくれたのね。ありがとう。」

「いえいえ、これからよろしくお願いします。」

ジェシーと武雄は笑い合うのだった。

「さて、今日は皆、何をするのじゃ?」

「僕はのんびりさせてもらいます。

 ゴドウィン様とジェシーお姉様が帰られたら勉強します。」

「私はゴドウィン様とジェシーお姉様のお相手します。」

「私はこれから酒屋のおじさんにお酒を持って行ってから小銃の練習をして戻ってきます。」

「うむ、わかったのじゃ。

 タケオ、気を付けての。」

「はい、わかりました。」

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武雄は酒屋に入って行った。

「おじさん、おはようございます。」

「キタミザト様、いらっしゃいませ。お早いですね。」

「二日前に言っていたお酒を持ってきました。

『ウィスキー』と言う仮名ですよ。」

「わざわざすみませんね。」

「いえいえ、エルヴィス伯爵にも話は通しておきましたから流通については了承されています。」

「わかりました。

 では、キタミザト様とワイナリーは、キタミザト様の頭の中にあるこの酒の製造方法を漏らさない事と新しい酒を思いついたらこのワイナリーでのみ製作するでよろしいですね?

 ワイナリーと私は、新しい酒の独占販売権・・・生産されたこの酒を全樽の買い付けを行う。

 全部捌かないといけないのは大変そうですが・・・

 私とキタミザト様は発案料として酒の販売価格の2割で。

 エルヴィス家はうちの商品を購入する際に酒の原価+1割で納入する・・・ですね?」

「ええ、基本はそれで構いません。

 素案が出来たらフレデリックさん宛に持ってきてください。

 ちなみに、私の所ですが・・・

 『タケオ・キタミザトへ発案料は酒1本の売値の2割とすること。

  また、タケオ・キタミザトが死去等した場合は、エルヴィス家に発案料を納付すること。』としてください。」

「わかりました、その様にします。」

武雄はおじさんに2通の手紙を渡す。

(文面はフレデリックに代筆をしてもらっている。)

「と、あとこの酒の飲み方の例を4つ紙に書いて持ってきたので、普及させる際に使ってください。

 たぶん水割りなら酒単価も低く抑えられて低価格で出せるでしょう。

 また、兵士や肉体労働系の人が入る酒場に売り込むと浸透しやすいと考えています。

 他にもちょっと書いていますので読んでください。

 もう一通はワイナリーの方宛です。」

「はい、わかりました。

 お渡しします。

 ワイナリーの方はこちらに来ますか?」

「昨日、社長さん自らこちらに届けに来てくれましたので、その際に『暇だったら寄ってみる』ことを勧めておきました。

 来るかもしれませんね。

 来なかったら・・・おじさんお願いしますね?」

「はい、私から伺いに行きます。ほほほ。」

「お願いします。では、私はお暇しますかね。」

「もう行かれるので?」

「ええ、契約はおじさんに任せます。もし契約書の中身がダメなら断っちゃいますよ?」

「ほほ、わかっています。皆が利を得られるようにしますから。」

「上手くまとめてください。

 と、そうだ。ウィスキーは、エルヴィス家にもちゃんと卸してくださいね。」

「わかりました。」

武雄は店を出ていくのだった。

・・

酒屋のおじさんは武雄を見送り、手紙の内容を確認してから手紙にあった4種類の試飲の用意を始める。

「あの~・・・お邪魔します。」

と、男性と女性が店内に入って来た。

「はいはい、いらっしゃいませ。

 おや?お見掛けしない方ですね?どうされましたか?」

「いえ、エルヴィス家のキタミザト様からこちらにくることを勧められまして・・・」

「ほぉ、そうですか。」

おじさんは朗らかに対応しながら・・・「さて。契約の話をどう切り出しますかね?」と頭の中で思案するのだった。