A Mid-level (Middle-aged) Office Worker’s Laid-Back Industrial Revolution in Another World

Episode 643: Named Parents of Slime and Cabins, etc. in Training Grounds come together.

武雄とミアと緑スライムは無事に屋敷に戻り、早々に書斎で寝ていた。

書斎の寝室側の扉がノックされ「タケオ様、います?」とアリスが小声で言いながら入ってくる。

「ん・・・アリスお嬢様、おはようございます。」

ソファで寝ている武雄が顔をアリスに向けて挨拶をする。

今回は割と早く戻って来たのでアリスが書斎に入って来たのを武雄は感知して起きる事が出来ていた。

「はい、おはようございます。

 昨日はどうでしたか?」

「早く終わったのでちゃんと寝れています。」

「そうでしたか。

 あれ?・・・これはスライムですか?」

武雄のお腹の上でミアの抱き枕と化している物を見てアリスが呟く。

「はい。

 昨日、帰り際に貰ったのです。

 何でも人間社会の事も学ばないといけないという感情があるようでこれに見させて後で情報を貰うとか何とか言っていました。」

「ふ~ん・・・透き通った緑色ですね。

 それにしてもスライムはほとんど見かけないので・・・こうやってちゃんと見たのは初めかもしれません。」

アリスがジーっと見るとスライムはミアの腕から逃れて武雄の腰辺りとソファとの隙間に逃げてしまう。

「ん~・・・?」

アリスがスライムが逃げ込んだ先に近寄り見るがそこにはおらず。

「あれ?居ませんね。」

アリスはスライムが見付からずに隙間周辺を探しているが、スライムは武雄の足下に移動しており、武雄からはスライムの一部が見えていたりする。

「さて、どうしたものですかね。」

武雄はスライムに気を付けながら体を起こす。

「主、アリス様、おはようございます。」

武雄が動いたのでミアが起き、伸びをしながら言ってくる。

「「おはよう。」」

武雄とアリスも挨拶をする。

武雄はミアが起きたのでソファの毛布を折り畳み。

ソファの端にクッションと一緒に重ね置くと作業机に移動する。

アリスはそのままソファの空いた所に座り、ミアとスライムが折り畳まれた毛布とクッションの上に移動する。

「さて。

 家の人達に会わせる前に言わないといけない事がありますかね。」

「主、その前にこれに名前を付けないといけないです。」

ミアが指摘してくる。

「ん?・・・そうですね。

 まぁ夕霧から借りていますから『霧』が付く名前にしますか・・・朝霧・・・とか?」

「「アサギリ?」」

ミアとアリスが首を傾げる。

「朝方に立ちこめる霧の事ですよ。

 まぁ、本人が嫌なら変えますが・・・朝霧、この名で良ければこっちに来なさい。」

すると朝霧と呼ばれたスライムがスススッとソファを降りて武雄の足元にくる。

「ん、良さそうですね。」

武雄はそう言って朝霧を机に持って来る。

「・・・タケオ様、さっきからユウギリとかアサギリとか言っていますが・・・」

「ふむ、それはこの後のエルヴィスさん達の前で話します。

 それまで待っていてください。

 今は朝霧にこの街と言うか、守ってもらう事を説明しないといけないでしょう。」

「あ、ミアちゃんやクゥちゃん達と同じのですね?」

アリスが頷く。

「ええ。

 こちらの言葉は通じているみたいですからね。

 では朝霧、これから守って貰わないといけない事を言いますからね?

 しっかりと聞いてください。」

武雄はチビッ子達にした約束事を説明するのだった。

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朝食も食べ終わり、皆と一緒に客間でいつも通りの朝食後のティータイム中。

武雄が「相談事があります。」と一旦退出して朝霧を持って客間にやって来ていた。

「・・・タケオ、これはスライムじゃの。」

エルヴィス爺さんがジーっと机の上に置かれている朝霧を見ている。

今日はフレデリックも皆と座り、スミスと一緒に朝霧に注目している。

「そうですね。

 昨日貸して貰いました。

 朝霧、この面々がこの領地を治めている人達です。夕霧にちゃんと教えてくださいね。」

「タケオ、どういう経緯でこうなったのかの?」

エルヴィス爺さんが武雄に聞いてくる。

「はい。

 では昨日の交渉の事について話します。」

武雄が昨日の事について話すのだった。

・・・

・・

武雄はエルヴィス家の面々には昨日の話をし、朝霧に対してはエルヴィス家の面々の紹介をしていた。

「ふむ・・・

 エルダームーンスライムというスライムの上位種が北の森に居るのは聞いていたが、3体も(・・・)いたのか・・・

 知らなかったの。」

「主、北の森は開発をしておりませんから・・・我々人間は手を出さない期間が相当あったのではないでしょうか。」

フレデリックが言ってくる。

「うむ、そうじゃの。

 だが、今後はスライムの居住地域を500m四方で保護するからの。

 ある程度は住み分けが出来るじゃろう。

 タケオもそれで構わないじゃろう?」

「はい。

 それとこれは少し考えたのですが、スライムの居る居住地をエルヴィス家(・・・・・・)で保護しないといけないと思います。」

「ふむ・・・我らにも利益があると思うかの?」

「はい。

 現状ではこの朝霧のような緑スライムの体液を売って貰える事で利益につながるかと思います。」

「確かニオの話じゃと、緑スライムは植物の肥料となる栄養素を液体で出しているのだったかの。」

「はい。

 それを腐葉土に混ぜて農家に販売すれば高品質な肥料が出来るのではないでしょうか。

 もしくは瓶詰にして水溶性の肥料として販売が出来るのではないかと考えます。」

「なるほど・・・

 普通の腐葉土とは別にもう1つ高品質の肥料を作る事でエルヴィス家の収入を増やすのですね。

 ですが、緑スライムの体液が現状の肥料に対してどの程度割増しで有効かは誰もした事がない事になります。

 まずは経済局で試験運用をさせていただいて評価をした後に決めてもよろしいでしょうか。」

「はい、評価は必要だとは思います。

 ですが、現在の腐葉土と同程度でもかなり使い勝手が良いようにも思うのは確かです。」

「ふむ・・・どういった所で需要があると思うかの?」

「エルヴィス邸の庭や公園といった腐葉土が撒き辛い場所です。

 今は植木が立ち並んでいたり小規模な芝生が整備されていますが、定期的に水溶性の肥料(・・・・・・)を撒く事が出来れば枯れ木にならない庭園が維持できるのではないでしょうか。

 全体に満遍なく撒いた後に軽く砂を撒けば匂いがあったとしても気にならないのではないかと。

 また高齢者や遠い場所にある畑に出向く際も腐葉土を撒く作業よりも作業が楽になるのではないでしょうか。

 そして売り上げの1部を必ずスライム達に還元する事でスライム達の住環境を保ってあげる事が重要かと思います。」

「ふむ・・・

 これも年明けの局長会議行きじゃの。

 今すぐどうこう出来る物ではないの。

 長い目で考えないといけない事だろうし、我々とスライム側での信頼を築く必要性がある事でもあるからの。」

「それとタケオ様。

 生ゴミの樽4個の納入計画は環境局から問題ないという回答が来ています。

 あとはこちらで置き場を指示すれば実施出来ます。」

「わかりました。

 あとは小屋ですね。」

「はい、タケオ様。

 これが総監部で取り寄せた見積書になります。」

フレデリックが武雄に小屋の見積もりを手渡される。

「・・・金貨40枚?・・・この程度の金額で私が書いた小屋4つが出来るのですか?」

武雄がフレデリックに質問をする。

「はい。

 何でも最近木々が大量に手に入ったとかで・・・これはたぶん訓練場の木々でしょうが、材料費が安くなっているそうです。」

「・・・あとはハワース商会から木々の売却費用がいくらなのか。

 その金額をこの小屋建設の費用に当てましょうか。

 とりあえず、この金額で構いません。

 すぐに着手して頂いて結構です。」

武雄がフレデリックに言う。

「わかりました。

 早々に小屋の建設を始めさせます。」

フレデリックが頷くのだった。