A Mid-level (Middle-aged) Office Worker’s Laid-Back Industrial Revolution in Another World
Episode 704: Day 70 Departure and royal chatter for Wang Du 1.
エルヴィス家の玄関前に3台の馬車とゴドウィン家の護衛が数名とアーキン達4名が集合していた。
「じゃあお爺さま、行ってきます。」
スミスがエルヴィス爺さんに挨拶する。
「うむ、気を付けて行ってくるのじゃ。
アリス、スミスの事を頼むぞ。
タケオは・・・まぁほどほどにの。」
「はい。」
「ほどほど・・・わかりました。」
アリスと武雄が頷く。
「タケオ様、これをオルコットに渡してください。
最近の近況になります。」
「わかりました。」
フレデリックからオルコット宰相宛の手紙を武雄は受け取る。
「お爺さま。
今度こそ次はアリスとタケオさんの結婚式に帰ってきますから。」
「うむ、ジェシーも気を付けての。」
「エルヴィス伯爵様、今までご指導ありがとうございました。」
ボールドが恭しく頭を下げる。
「何言っとるのじゃ?スタンリー。
わしだって王都に行くかもしれぬし(行きたくはないがの)・・・その時は頼むの。
それと・・・スミスの件もある。そちらも気にかけてくれると嬉しいの。」
「はっ!
その辺はお任せください。」
ボールドが頷く。
「じゃあ先頭は男性陣が、2台目にアリスと私が乗りますか。」
ジェシーが何か言い出す。
「んん?ジェシーお姉様、いつの間に振り分けを?」
「ちゃーんと荷物は分けてあるわよ。」
「いつの間に・・・」
アリスが茫然とする。
「はは、ジェシーお姉様はこうでなくちゃ。」
スミスが嬉しそうに言う。
「はぁ・・・キタミザト殿、スミス殿乗りましょうか。」
「こういった事に男性陣は抗議をしても意味がないですからね。
じゃあお二人は先に乗ってください。私は部下と話してきます。」
ボールドとスミスが大人しく先頭の馬車に乗込む武雄はアーキン達に近寄っていく。
「所長、準備は出来ました。」
アーキンが武雄に声をかける。
「はい、お疲れ様です。
とりあえず先頭が私とボールド男爵とスミス坊ちゃんです。
2台目にゴドウィン伯爵夫人とアリスお嬢様。
3台目にはゴドウィン伯爵家からボールド男爵家の屋敷に行く使用人ですね。」
「わかりました。
私達は若干先行します。護衛を崩しても意味ないので。」
「そうね。
それに1台目、2台目は乗っている人達が尋常じゃないし。
まぁ特に2台目は御者もか。」
アーキンが提案する横でブルックが御者台を見ながら言う。
ちなみに1台目と3台目はゴドウィン伯爵家の御者が2台目はジーナとヴィクターが御者台に乗っていた。
「・・・まぁ、内も外も規格外ですからね。」
武雄もわき見をしながら答える。
「まぁその辺は気にせずに。
それと先行するならついでに駆除対象が居るか確認してください。
この街の冒険者組合から魔法の大袋を貰ったので駆除対象物や金になりそうな魔物は狩っていきます。
少しでも私達が役に立つと思わせればまた良い値段で(・・・・・)大袋を売ってくれそうですからね。」
「「はい。」」
アーキンとブルックが頷く。
「じゃあ、あとは流れのままに。
あまり気負い過ぎないように行きましょう。」
と武雄はそう言い残し、御者台の人達に挨拶に回り始める。
武雄達の王都への旅が始まるのだった。
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王家の一室にて王家一同がお茶会と雑談を楽しんでいる。
「「「「ん~・・・・」」」」
そんな中でアズパール王と皇子3人が腕を組みながら唸っていた。
「ほら、タケオさんに面倒な仕事をさせようとするから変な要求が来たじゃないですか。」
レイラが呆れながら男性陣に声をかける。
「いや・・・レイラ、そうは言うがな。
金銭か何か物品かと思っていたんだ。
それが・・・こんな斜め上の要求があるとは思いもしなかったぞ。」
アズパール王がレイラに困り顔を向けながら言う。
「レイラはわかっていたのかい?」
ウィリアムがレイラに聞いてくる。
「私にタケオさんの考えがわかる訳ないでしょう?
でも、この要求が来た時にスミスの事を考えればこういった要求もありかもと思ったのは確かですよ。」
レイラが言ってくる。
「ん?レイラ、タケオさんはそんな事書いていないわよ。
ただ単に『宝物庫の禁忌本区域への立ち入り権』としかないわ。
これだけならタケオさんが精霊を欲しがっていると考えるのが普通よ。
何でそれがスミスの為なの?」
セリーナが聞いてくる。
「そもそもタケオさんは部下のスズネさんとテト殿の契約時に禁忌本に触っています。
タケオさんが欲しいならその時に自分にも付けていたと思います。
それにアリスとスー殿を見ても何も言ってこないのです。
なのに今回、唐突にこの要求です。
なら今回連れて来る人にくっ付けると考えるのが普通です。
今回はスミスを連れてきますからね。
スミス用に精霊が欲しいのだと思います。」
「んー・・・スミスかぁ。
ならうちのパットにも・・・あぁ面倒になりそうだから今回は遠慮しとこう。」
ローナが「ないない」と首を振る。
「んー・・・どうした物か。」
アズパール王が思案する。
「クリフ兄上、確か俺らも入りましたよね。」
「あぁ、私達3兄弟は入ったな。
精霊との契約は相性に寄るものだ。
欲しいからといって貰える物ではない。
数多くの禁忌本を見たが、私達3兄弟には精霊は呼応してくれなかった。
スミスに精霊が付くチャンスを与えたいという武雄の気持ちもわかるが・・・さて、どうした物か。」
「僕も入りましたっけ?覚えていないなぁ。」
「ウィリアムは小さかったからな。
私も寄宿舎の時だったし・・・そういう事ならパットもそろそろか。」
「んー・・・パットはウィリアムが領地に異動しお主達が入ってからゆっくりとやろう。
その時は王家専属魔法師達が付きっきりでしてくれるだろう。」
「「あぁ・・・」」
クリフとニールが嫌そうな顔をさせる。
「ん?兄上達、どうしました?」
「いやな・・・ウィリアムは早々に辞めたが俺らはな・・・」
「あぁ、あの作業は2日完徹だからなぁ。
次々と本を持って来てな、読めるかどうか試すんだ。」
「・・・面倒そうですね。」
「体力勝負だったな。」
皇子3人がため息をつくのだった。