A Mid-level (Middle-aged) Office Worker’s Laid-Back Industrial Revolution in Another World
Episode 1077: Day 139 Return to Elvis Mansion. 8 (Before bedtime. Thoughts of Erica, Alice and Takeo. )
エリカとカサンドラは当てがわれた部屋で寝る準備をしていた。
と言っても2人とも着替えは終わっており、窓の外を見ながらお茶を飲んでいるのだが・・・
「はぁ・・・キタミザト殿。凄いですね。」
「そうねぇ・・・」
「エルヴィス伯爵や家令のフレデリック殿も凄いですね。」
「そうねぇ・・・」
「・・・エリカ様。そればっかりです。」
「そうねぇ・・・」
エリカは上の空でカサンドラの話を聞いていた。
カサンドラは諦めて何も言わずにお茶を飲み始める。
エリカはショックだった。
自分の考えというか先を見通す想像力と実施への瞬発力が足りていないのをまざまざと見せつけられた。
そう思わさせられる程、伯爵と武雄のやり取りは今までエリカがウィリアム達としていた事とは違っていた。
・・・あの人達から見れば私はまだまだ未熟者扱いなのだと。
領内を発展させるにはどうすべきなのか、自分達に出来る事は何か、そして現状はどうなっているのかを常に考えている者同士の話し合いだった。
私には殿下達とそんな話は出来ていない・・・タケオさんも確かエルヴィス伯爵に取り立てられてまだ数か月。
現状、知識の差はどうしようもない・・・ならそれ以外をまずは真似てみるしか・・・いや!真似るだけでなく私の物にしなくてはいけない!
「よし!」
エリカが席を立つ。
「どうしましたか?」
カサンドラが聞いてくる。
「明日からタケオさんを見て勉強する。」
「見て勉強・・・ですか?」
カサンドラが首を傾げる。
「うん!そう!
知識や発想力はタケオさんに及ばないから行動力を真似ようと思うの!」
「・・・エリカ様。止められた方が・・・」
「カサンドラ。やる前に諦めてはいけないわ。」
「どこかで聞いたような・・・
まぁ。急成長中のキタミザト殿の生活を見るのは楽し・・・為になりそうですね。」
「ええ!明日から試すわ!」
エリカがやる気になるのだった。
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武雄とアリスの寝室にて。
武雄はアリスの髪を乾かしていた。
「!?・・・何か身震いしたんですけど。」
「タケオ様。部屋が寒いですか?」
「いや。ちゃんと私の魔法で暖かくしましたから寒くはないはずなのですが・・・ん~・・・屋敷に着いたので気が緩んだのでしょうか?」
「タケオ様が?
ふふ。ならこの屋敷がタケオ様にとってもご自身の家になったという事ですね♪」
アリスが嬉しそうにする。
「なるほど。
私はアリスお嬢様がいる所が家だと思っていましたが、そうですね。屋敷は安心しますね。」
「タケオ様!
何ですか!?今素晴らしく嬉しい言葉が聞こえましたよ♪
もう一回お願いします。」
アリスが振り向いて抱きついてくる。
「あ。お風呂に入って来ますかね。」
「タケオ様♪タケオ様♪」
「続きはお風呂に入ってからですね。」
「は~い。」
とアリスが武雄を抱きしめるのを止める。
「早く帰って来てくださいね。」
「ええ。」
武雄が退出するのだった。
「えへへ♪」
アリスはいそいそと枕をベッドに並べたり毛布や布団を整えたり、タオルを用意したりと準備をするのだった。
・・
・
風呂上がりの武雄の書斎にて。
「タケオ。チャンスよ!
アリスの体調は今日、明日が最高に良いわ。」
コノハが武雄に詰め寄っていた。
「・・・私達はまだ婚前なんですが?」
「それもあと数日です!
タケオ。歳を考えなさい。
ここはタケオが居たような最新機器はないんですよ。
出来る時に成さなければならない事はあるのです。」
「はい・・・そこは重々承知しています。」
「タケオだってアリスの体調を気にしていたのでしょう?」
「気にはしていたんですが・・・あいまいでしたしね。
高熱や体調不良がないか程度ですよ。
でも今の時期に・・・ですか。」
「8月ぐらいに戦の予定があるのですけどね。」
「アリスは従軍しないのでしょう?」
「させる気はありませんね。」
「なら大丈夫。
タケオ。子供いっぱい作らないと。
嫁ぎ先候補からの催促が目白押しなんでしょう?」
「・・・コノハの前で言いましたっけ?」
「皇子妃達が言っていたわよ。
タケオは誰から?」
「旦那連中ですよ。」
「・・・確定ね。」
「子供に許嫁ですか・・・可哀相な気もしますので本人が気に入ればと断っている最中ですよ。」
「タケオ。それ断ってないわよ。
延期しているとしか思えない。」
「そうでしょうか?」
「そうよ。
で。タケオ。どうする?やっちゃう?」
「・・・私は子供も欲しいですが、アリスお嬢様も大事です。
アリスお嬢様が欲しいというのなら頑張ります。」
「ふ~ん。タケオ。アリスに聞いて欲しいと言うなら良いのね?」
「ええ。構いませんよ。
女の子だろうと男の子だろうと気にはしません。
ジェシーさんやレイラさんやアリスお嬢様を見ているとあっち系の顔立ちが良いでしょうね。」
「タケオ。私産み分けは出来ないわよ。
というより顔立ちなんて気にするの?」
「ええ。私似だと将来の恋人探しに苦労しそうで可哀相ですから是非にエルヴィス家系統でお願いしたいですね。」
「確率は半々よ。
それにアリスの子供なら魔眼を入れてあげたいわよね。」
「・・・嫁に行かせないつもりですかね?」
「そんな事ないわよ。
アリスだってタケオを見つけたんだから子供達は探せるわよ。
じゃ。アリスにそれとなく聞くからね?」
「ええ。では寝室に戻ります。」
「はい。おやすみ~♪」
コノハが手を振って見送る。
・・
・
「・・・はぁ・・・アリスには既に了解取っているわよ。
まったく・・・夫婦揃ってお互いが良ければとは・・・似た者同士かなぁ。」
コノハがため息を付く。
「コノハ。良いのですね?」
パナがコノハの横に実体化する。
「パナ。問題はないわ。
タケオとアリスの血は出来るだけ多く残すべきよ。」
「・・・そこは否定しませんけど。
誘導に近いですよ?」
「本人達がやる気になったんだし問題ない。
どこぞの変態神と一緒にしないでね。」
「そこはわかっていますが・・・まぁ良いです。
コノハ。準備は?」
「既に完了。
うふふ。」
「はぁ・・・寝ますよ。コノハ。」
「はいは~い♪」
パナとコノハが武雄の書斎を出て行くのだった。