Akuyaku Reijo no Otouto
Truth.
僕はルート様用に用意された別室へと足を運ぶ。
ガラッと扉を開けると机に置いてある"ナニカ"を見つめているルート様がいた。
僕が「ルート様。」と声を掛けるとルート様はハッとしたようにこちらを向き「…やぁ、トルー。どうかしたの?もう授業が始まるよ?」と何事も無かったかのように笑顔を向ける。
「…ルート様、そちらの包みについてお伺いしてもよろしいですか?」
と僕が告げるとルート様は「はぁ~…。」と溜息を吐く。
「…ブルーマリーが何かしたのかい?」
ルート様には全てお見通しのようだ。
「分かっているなら何故受け取ったのですか?」
「それが…私にもよく分からないんだ…いつもなら私的なプレゼントなんて貰わないはずなのに、何故かあの娘から渡された時、断ってはいけないと感じたんだ。それでアッと思った時には既に受け取っていて、彼女が走り去っていく姿が見えた。流石にすぐに捨てるわけにいかず、部屋に持ってきたというわけさ。でも自分でもあの時のことが分からなくて途方に暮れていたところだよ。」
僕はその瞬間、ゲームの補正ではないかと感じた。
オール様が攻略対象から早々に離脱したこともおかしかったが、ルート様がブルーマリーの婚約を破棄するイベントはある意味、一大イベントだ。だから、ゲームの中でヒロインがルート様の好感度を上げる為に補正が入り、受け取ってしまったのではないかと考える。
「…そう…ですか。ルート様自身が分からないことは僕には判りかねますね…。しかし、ソレをどうするおつもりですか?」
「う~ん…前も言ったけど、私の立場ではコレは食べれないからね…毒などは入ってないとは思うけど、捨てなければならないかな…。それに…ブルーマリーにも悪いことしちゃったな…また僕から謝っておかなきゃね。仮にも婚約者がいる立場でコレを貰うことがどれだけ失礼なことか私だって分かってるよ。トルーも手数かけたね、もう戻っていいよ。」
僕はルート様の様子を見て、とりあえずは安心だろうと部屋を後にする。
僕は授業中の教室へ戻るとブルーマリーとヒロインの様子を盗み見る。
ブルーマリーは相変わらず不機嫌さを隠しておらず、ヒロインはゲームの一環だと思っているのか特に気にした様子は無かった。
そして次の休み時間、ブルーマリーに廊下に呼び出される。僕は先程のルート様とのやり取りを伝えた。
ブルーマリーは僕の予想通り戸惑いを隠せていないようで「…どうして…?」と呟いている。
「姉様…貰ったことは事実でもルート様も何故貰ったかよく分かってない様子だったよ。それに貰い物も捨てると言っていたし、そこは安心してね。あと、ルート様からまた事情を説明したいと仰ってたから近々お会いできるよ。」
「そっ…そう。」
ブルーマリーはそう返事したが、ブルーマリーには珍しく落ち込んでいた。
僕達は静かに席に座り、再び授業を受ける。僕は珍しく落ち込んでいるブルーマリーが気になってあまり授業に集中出来なかった。