Akuyaku Reijo no Otouto
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「痛っっ!」
次に僕が意識を取り戻したのは何処か高い位置から落とされた衝撃のせいだった。
「うっ…ここ…何処…?」
打ち付けたお尻を撫でつつ周りを見渡した。しかし、草木が生い茂り目新しいものが見つからない為、此処が何処なのかよく分からない。
「とにかくここが皆のいる世界だと信じるしかないか…。」
僕は立ち上がると街を探して歩き始めた。
暫く歩いていると見覚えのある建物が近付いてくる。
「あっ…!あれ!」
それは新入生歓迎会の時の教会だった。
「(もしかしたらあの石像と関係しているから近くに落ちたのかもしれない…。)」
そうと分かれば、ここが学校の敷地内だと分かる。僕は急いで森の中を抜け、校舎を目指した。
「はぁ…はぁ…。」
僕には珍しく全力疾走だ。校舎の入り口の着くと懐かしくもないのに何故か懐かしく感じる。
「僕…戻って来たんだ…。」
僕は急いで教室へと向かう。そして勢いよく扉を開いた。一斉に向けられる生徒達の視線。しかし、驚いたことに僕の知る人が誰1人いない。
「えっ…?」
教室内が騒つき、教壇に立っていた先生が「君は誰だ?授業中だぞ。」と詰め寄ってくる。僕は慌てて謝罪と自己紹介をした。
「あっ…すみません…。トルー・バルサムと言います。えっ…とルート様…ルート先生はいらっしゃいませんか?」
「ルート先生…?」
その先生は少し考えたあと「あぁ!光魔法を使うルート先生か!」と思い出し告げる。
しかし、すぐに悩まし気な顔をすると「ルート先生なら2年程前から教員を辞めてこちらには来られてないが…。」と続けた。
「えっ…辞められたんですか?」
「ああ。それよりも君、バルサムと言ったか?確かバルサム家といえば卒業生にサンバック様がいらっしゃ…あっ!ちょっと君!!!」
僕は先生のその言葉を聞き、また全力で走り出した。
「はぁ…はぁ…!
(どうしよう…僕のこと皆、忘れちゃってるの…⁉︎急いで家に戻らないと!)」
走りながら通り掛かりの馬車に声を掛け、自分の住んでいた街まで乗せてもらう。馬車に揺られている最中、ドキドキしながらも僕は不安を募らせていた。
「(姉さんは僕にリセットを選ぶよう勧めてきた…でもリセットしたことで本当になにもかもがリセットされて皆の中から僕のことだけ記憶が無くなってたら…もしそんなことになったら僕…。)」
僕は早く皆に会いたいと思う反面、会った時の怖さを思い家に着いてもなお、なかなか扉をノック出来ずにいた。
しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。
「(ええいっ!当たって砕けろだ!)」
僕は思い切り扉をノックした。
「すみません!開けて下さい!」