武術場は、乾いた土の敷かれた、天盖つきの広い闘技場のような場所だった。驚いたことに、貴賓席つきの観客席まで併設されている。

「魔法学院にこんな立派な武術場が」

アルマークが驚いてウェンディを見ると、ウェンディは頷く。

「すごいでしょう。年に一度の武術大会の日には、ガライ王をはじめとしてたくさんの来賓が訪れるの」

「ということは、王様の前で戦ってみせるっていうこと?」

「そう。だから、優勝するのはすごく名誉なことなんだよ」

ウェンディは、昨日アルマークの前で涙ぐんだときとはうって変わり、今日はいつも通り明るく振る舞っている。

「初等部では試合するのは三年生だけだから、私達が参加するのは今年初めてなの」

「へえ。この学院には武術大会以外にもそういう大会って……」

「おい、うるさいぞ新入り!」

アルマークの言葉を遮るように、トルクが大声を出した。

「ボーエン先生が来るまで静かにしてろ!」

「ああ、ごめん」

アルマークは謝ってから、隣にいたモーゲンにそっと囁く。

「トルクは今日はずいぶんピリピリしてるね」

「あいつ武術にはすごくプライド持ってるから。確かに強いけど戦い方が乱暴で、相手したくないんだ」

モーゲンは肩をすくめて心底嫌そうな顔をしてみせた。

じきに、がっしりした体格の教師が入ってきた。

「全員いるな。よし、授業を始める。このクラスには新顔がいるんだったな。編入生の、アルマーク、だったか? 君のことは学院長からよく聞いている。武術教官のボーエンだ。よろしくな」

「お願いします」

アルマークが頭を下げると、ボーエンは頷いた。

「いい目をしている。強くなるぞ。……まずはみんなの練習を見学していろ。やり方はじきにわかってくるはずだ」

「はい」

アルマークは頷く。