Another Arcadia Online
Overnight Thief Story ⑥
プギーとは手合わせしたことがないから実力が未知数だ。
だがしかし、油断はしないぞ。もう。
「妖精神プギー! まいりますよっ!」
「あっ、進化したんだ……」
「はい! できましたよー! すごいでしょっ! 褒めてほめてっ!」
あ、プギーだ。
ちょっと子供っぽいからねプギー。見た目は女子高生なんだけど。
「よくやったね。じゃ、私は急いでるからいくね」
「はいです! またやりましょうね!」
……ちょろい。
戦うまでもなかった。
で、あっけなく上まで上っていき、下にジャンプして飛び降りる。ネズミさんはすたっと着地を決めて、私は上昇気流でスピードを落とした後、ゆっくりと着地した。
《第3サーバーイベント終了ーーー! 宝が持ち出されてしまったので泥棒陣営の勝利となります!》
イベントが終わり、私は暗い空間に移動していた。
ここはたしか報酬をもらえるところじゃなかったっけ。
目の前にはウインドウがあり報酬を選べと書いてある。
スクロールしていくけどほしいものがピンとこないな……。ふむふむ。以前は飛行スキルを取ったから……。
今回はなににしよっかなー。
アクセサリーでもいいんだけど……。この隈取とかね。でも今の装備にミスマッチだし……。
かといってテイマー用のものもなぁ。
あ、このスキルよさそう。これにしよ。
私が選んだのは……
スキル名”自己修復”
一度の戦闘で一度きりだが使えるもの。MPを消費し自分の体力、状態異常を回復する。
つまり、私はこれを取得したことでダメージを受けても大丈夫っていうこと。完全回復までできる優れものだ。
スキル”自己回復”の上位互換の性能だ。
自己回復はじわじわと回復していくらしいがこっちは一気に回復し、尚且つ状態異常も解除。すげえわ。
ただ、これとったことでクソゲーのラスボスだよなぁ。
で、これ取ったことをチリンに伝えると。
「ラスボスは回復禁止でしょうが!」
と怒られた。
※運営
イベントが終わって、また落ち込んでいる。
なぜこの時期にしたのかわからないが、まだクリスマスが控えている。
「……自己修復選んじゃったかあ」
「というか、泥棒側にいたんだもんなぁ」
「ゴエモンの弟子になりやがったし……」
ゴエモンの弟子になるにはちょっとばかり資格が必要だった。
レベル50は超えていること、素早さが一定値以上あること、PKしたことがない者だけが慣れる仕組みだったのだが。ミキの素早さを確認しておらずミキが越えていることを知らなかった。
ミキは受ける条件が揃っていたのだった。
「結構素早さの基準高くしたんだが……。ミキって今なんレベルだよ」
「……さっき確認したら99」
「……は?」
「ごめん。耳おかしくなったかな? もっかいいって?」
「99.ナインティーナイン」
そういうとみんな倒れた。
「はぁ!? 創造神になったからレベルキャップ解放はわかるがもう99なのか!? バグか!?」
「いや、事実だよ。ここんとこ廃人プレイだ。ボスマラソンしている」
「そういえば結構な時間ログインしているような」
「それでもここまで行くだろうか」
「それにもう一つトリックがある。カナアンの祝福の効果で経験値がさらに倍増だ……。カナアンの祝福が表示されてなかった不具合も発見した……」
ミキは要するにカナアンの祝福はもらっていたが、不具合により経験値倍増の効果だけが残り表示されないという不具合。
今は修正したらしい。
「……とりあえず不具合を直しましたという通知をしておくか……」
「い、胃が痛い……」