Another Arcadia Online

Huangquan Bilangsaka ②

ミキが鬼を惹きつけているころ、ミソギは物を探していた。

坂だった道はもはや壁のようになっていてロッククライミングをしているかのような感じとなっている。重力が、どんどんと変わっていっているのだった。

「さっきから何探してるんだよ……! きっつい……」

「力のステが僕無いんだよ……。根性で耐えてるけど……もう無理……」

「きっとあるはずなのよ……! それさえあればなんとか打開できるの……!」

ミソギは、あると予測していた。

常世のことはすでに調べていて、忠実に再現しているならアレも再現しているはずだと疑っていない。

「あったわ……!」

見つけたのはくぼみ。

そこの中に、桃が入っていた。ミソギは一口齧る。すると、あら不思議。重力の方向がミソギだけ変わり、壁に立てるようになっていた。

「た、立てている? なぜだ!?」

「簡単よ。ほら、これ食べなさい」

と、ミソギはオオトウロウに桃を渡す。

片手で捕まり片手で齧るオオトウロウ。すると、オオトウロウも地面に立てるようになっていた。〆サバも桃を齧る。

三人が地面に立てている。

だがしかし、まぐろだけは別だった。

力にステータスをあまり振れていなく、少しでも動かそうものなら落ちてしまうほど、余裕はない状態だった。

なので、オオトウロウはまずまぐろの手を握る。

「離していいぞ」

そういうと、まぐろは笑って手を離した。

「うおっ」

横に引っ張られる感覚がオオトウロウを襲う。

何とか踏ん張っているが人一人支えるのはやはりつらいらしい。

「ほら、早く桃を……」

ミソギが手渡すとまぐろは片手で受けとる。が、手が滑り、落ちてしまったのだった。

「……どうしよう」

ミソギがそう答える。

まぐろもやばいという顔をしていた。落としてしまった。貴重な桃が。ミソギが見つけた桃の数は五個。プレイヤーと同じ数だ。

「それ食わせろ」

と、オオトウロウが指示を出す。

ミソギは「え?」とオオトウロウの顔を見る。

「ミキは飛行スキルがある。上らずとも飛べば何とかなるだろう」

「あ、それもそうね」

まぐろに桃を渡し、そして、まぐろは桃を齧った。

「……ふぅ。じゃ、ダッシュ!」

四人は、坂をクリアした。

☆ ★ ☆ ★

あの四人は坂を上りきれただろうか。

時間稼ぎも手一杯だ。鬼が床を破壊し、岩が競りあがり躱す場所もなくなっている。火力も火力がありとてもまずい。

すると、上から突然桃が降ってくる。 

一個がぽつんと私の頭にあたった。

「……なんだこれ」

私は桃を捨て、飛行スキルを使用する。

どこまでみんないけたんだろうか。坂は上り終えたんだろうか。それだけが気がかりだ。飛行スキルを全速力で使う。

まったく鬼は壁に立てるっていうのがずるい!

飛行スキルと全く同じ速さで走ってくる。今までは歩いてたんだろうというスピードだった。正直、一か八か。飛行スキルを使用して、差をつけられないということはこの最中攻撃してくることもあるわけで。

躱しながら全速力で……!

「”約束の地”」

でこぼこを一つ作り、鬼がスっ転んだ。

今のうちじゃああああ!

全速力で坂を上る。

そして、見事に、上り切った。