Another Arcadia Online

Creepy world without ideals ②

グレイスは私の質問に答えてくれた。

「こんな世界間違ってるんです……。髪型は一緒にしろ、髪の色も統一。みんなが一緒になれば差別は生まれない……っていいますけど、間違ってると思うんです。何もかも統一されたら私たちらしさがなくなるような気がして……それで、抗おうと……」

人間らしさが、自分たちらしさがほしかった。

やはり一人や二人、こんな思想の人はでてくるんだろう。けれど、育っていくうちに受け入れてしまい、仕方がない、受け入れるしかないと妥協してしまう。

右に倣えという考え方自体がいけない。ただ楽したいだけ。そこに自分たちの心はなく、もはやこの街の人たちの心は死んでいると同義だと思う。

それは、いつしかの私のクラスもあった。

みんながいじめるからそれに倣え。

右に倣えという生き方は本当にラクチンだよな。そのために犠牲にされる私の気持ちもつゆ知らずでさ。

「あれはもはや洗脳の一種だな。この世界はもう終わってるに等しい世界だろう」

「そうだね。私たちの世界のほうが数千倍はいいよ」

あの世界のほうが……まだいい。

「そんなにいい世界なんですね。私も行ってみたいなぁ」

「つれていってやるさ。ここに残すのも可哀想だしな」

オズは女の子の頭を撫でる。

「さて、問題はどうやってこの世界から出るか、だよ。オズの魔法じゃ何ともならなさそうだね」

「瞬間移動はできても世界をまたにかけることは不可能だ」

「だよね」

だからクエストを成功させなくてはならない。その達成条件がわかっていない。

どうすればいい? 私たちはどうするべきなんだ?

「……この世界を創った神様はわかるか?」

「え? えっと、オルテナ様……だったはずです」

「その神に頼むしかあるまい。居場所は……わかるわけがないな。手当たり次第探すしかないか」

オルテナ様……。

私たちの世界はアルテナ様。名前が似ているけれど別人なんだろう。ただ、姉妹だと思うので顔はアルテナ様に似ている人を探せばいいのかもしれない。

姉妹だという確証はないけれど。

「オルテナ……。元気にしてますかね」

「ああ、アルテナ様。オルテナ様知ってるんですか?」

「ええ。知ってますよ。私の妹ですし」

「へぇ……って、ん?」

私の隣を見る。

平然とアルテナ様が笑顔で立っていた。……なんでいるの? なんで貴女がここにいるの? あれれ? 貴方こちらの世界に来れるの?

「アルテナ様なんでいるんですか!?」

「ミキ様の反応が消えたので追うとこの世界に迷い込んだことが分かりまして。神域はウリエルに任せてきちゃいました」

「来ちゃいましたってさすが神様だ……」

オズが感心したようにつぶやく。

「アルテナ様なら私たちを元の世界に戻せるんじゃないのか?」

「そこまで万能じゃないんですね。それが。この世界を司っているのはオルテナなので私以外はオルテナが送らないといけないんですね。あの子やんちゃだから世界中飛び回ってるんですよ」

「…………」

「私も同行しますから。オルテナの気配を感じたら案内いたします」

「た、助かります?」

▷アルテナ様が仲間に加わった!