Another Arcadia Online
Uriel's strike
ウリエルは私たちのギルドに泊めることにした。
天使の羽根を広げて歩く姿はやはり目立つようでNPCのアイコンも表示されてることにより一層目立っている。道行くプレイヤーがウリエルの美貌に惹かれてるようだ。
まぁ、小さいし可愛いもんなぁ……。
「ふあーあ……」
「眠いかやっぱり」
「はい……。一週間も徹夜してると眠くなりますね」
ウリエルは目を擦っている。
「仕事、やっぱ大変?」
「はい。ミカエルたちが仕事してくれたら大幅私がこなす量は減りますし、第一ミカエル自体が仕事を増やしてるんで」
「なんで?」
「主に器物破損ですね。天界で暴れすぎて建物が壊れて他の天使からの苦情の山が……」
……ミカエル。あれダメだろ。
戦闘においては秀でているけれど建物壊したりだとかしちゃだめだし、増える一方だわなそりゃ。今も暴れてそうだ。訓練させろだとか……。
「ラファエルは自分の分はきちんとこなすのでいいんですがガブリエルはやらないんですね」
「まぁ、本を書くのに精いっぱいみたいだしなぁ」
「たしかにガブリエルの本は天界でも地上でも結構人気ですが、本職を忘れないでもらいたいのですね。天使という自覚があの二人には足りてないのです」
まぁそうかもしれないけど、ガブリエルとミカエルは私も結構こき使ってるような気もしなくはないし言えないかな……。
私が呼び出した分仕事はウリエルのほうに行くんだろうなぁ。
「これからはガブリエルたち呼び出すの控えるよ。ウリエル可哀想だし」
「いえ。神に仕えるのが天使なのでミキ様に呼ばれたのは仕方がないのです。その時は許容してます」
「してるんだ」
「天使は神を支えるのが当たり前です。神が困っているのに自分たちを優先するわけにはいかないのです」
きちっとしてる。
ようするじ自分たちのことしかやらないからってだけかぁ。そりゃあの二人が悪いだろうけど……。
「ウリエルってものすごく真面目だね」
「……他がしっかりしてないので」
「ウリエルももうちょい不真面目でもいいと思うよ」
ウリエルは周りがしっかりしてないから仕事を回せないんだろうなぁ。
自分で全部やるからその分多くなって手が足りなくなるというか。仕事を回すにしても信頼してる人じゃないと回さないのかもしれない。
現にラファエルたちには手伝えといったわけだし。
「というか、真面目過ぎて抱え込みすぎてるんだよ。少しは周りにも頼ったら?」
「……不備とかがあったら怖いですし、ミスされたらどう怒っていいかわからないので嫌です」
怒るのが苦手だからか……。
私もそんな怒るの得意じゃないなぁ。
「わかるなぁ」
「わかりますよね?」
「わかる。けど、信頼って大事だよ? ウリエルだけでやっちゃうのはダメだと思う」
「…………」
「ウリエルの仕事内容は?」
「天使の作法を教えたり、ですね。書類整理も私ですし……。天界の建物の管理、環境整備とかいろいろと」
終わらなさそう……。
「天使の作法はラファエルでもいいんですけどゆっくりですしなかなか終わらないので私がやってます。天使の育成は基本的にミカエルです」
「ガブリエルはなにしてるの?」
「この世界の歴史の整理が主に仕事です。一年あったことを記録した本を整理しております」
「へぇ」
「ガブは歴史の執筆も兼ねてるのですが執筆したままその場で放置しており、整理は基本的に私ですね」
片づけない人かガブリエル。
でも、ガブとミカエルもそれなりの重要な役にはついてるんだ。
「ミカエルは練習で折れた剣を報告しないので剣が足りないなどと毎日訴えていて剣の発注など私がやってて……本来はミカエルが発注するのですがね」
育成はしてるんだ。備品の管理をしないだけで。
それをウリエルに回ってきて、だれにもやらせずに自分でやってると……。というか、ウリエル、ガブリエル、ミカエル、ラファエルでやること自体無理があるんじゃないだろうか。
四人じゃきついでしょ。もう少し人を雇わないと……。
「人雇いなよ。備品の管理だとか書物の整理は人にやらせた方が楽になるって」
「……ですが剣はまだしも書物に関しては重要書類で基本的にミスは許されないのです。それを一般天使に任せるのは無理ですね」
「ならそれはガブリエルにやってもらうしかないか。あまり重要じゃないやつは一般天使にやらせたほうがいいよ」
「……はい。ご忠言ありがとうございます」
と、深々と頭を下げたウリエルだった。