Another Arcadia Online
Thou's Adventures
ゲーム時間で三日がたった。
「ミキちゃん達どこ行ったんだろ……」
ちょっとミキちゃんに動物になってもらいたかったのに、と、私は愚痴る。ミキちゃんのキツネ姿可愛かったし撫でてみたい……。
実物のキツネとかエキノコックスとか危ないし触れないけど……。キツネ、好きなんだよね……。
「仕事で嫌なことあったから聞いてもらいたかったんだけどぉ……」
今日の仕事で嫌なことがねえ。
バラエティ番組にでて……まぁドッキリ番組なんだけど。ドッキリにまんまと引っかかって買ったばかりの服を汚したのがちょっと嫌だった。
さすがに抗議して弁償はしてもらったけど……。ミキちゃんの私服と似てるような奴買ったのに……。墨汁じゃないだけマシかもしれないけど……。
「ソゥさん! 握手してください!」「今日もドラマ見ました!」
と、あの一件以来有名になってしまった。
顔が知れ渡ったのでソゥという名前は私だとみんなわかっている。あの場で士気を高めるのはこうするしかなかったとはいえ人で囲まれるのも……。
変装するってしても名前までは隠せないからね……。
「ありがとう」
握手会となってしまった。
そして、握手会が終わり、私は第五層エリアに向かう。ワノ国の観光をちょっとしたかった。和服に着替えてみたいしね。こういうのゲームでしか着ることないし……。ドラマでも本当に着ない。だってみんなワンピースとか制服とかそういう系しか着ないしね。学園恋愛ドラマとかがメインだし……。
「やっぱり和って落ち着くよねえ」
和服に着替えて団子屋で団子を食べる。
みたらし美味しい。甘いけどしょっぱい味のたれがもちもちの団子に絡んで美味しい。三食団子も美味しそうだ。ゲーム内で食べても太らないというところが役者的にいい。役者はからだを調整しないといけないしね。体型をなるべく変えないほうがいいと私は思ってる。
だからあまり現実では食べられないけど……。ゲームなら食べれるもんね。
「それにしてもどこいったんだろ。ゲームにはログインしてるみたいだけどどこにもいないしフレンドメッセージを送っても気づいてないみたいだし」
団子を食べおわり、デカい橋を渡る。
第九層を探してるのか、それとも辿り着いてるのかもしれない。
「第九層……か」
そういえばどこにあるんだろう。
「まさかこの川の中……なわけないか」
川に落ちて九層って死んで異世界にいっているようなものだしね。
っと、何してるんだろうあの子供……。橋をよじ登って……? 小学生のプレイヤー……。落ちたら死ぬと思うよ!?
と、ふっとバランスを崩したのか後ろに倒れる。
「あぶない!」
私は小学生プレイヤーに手を伸ばす。
だがしかし、小学生プレイヤーはバランスを崩さずそのまま地面に降りた。私は勢いを殺せず、橋の下に真っ逆さまに落ちていく。
あぁ、これ死んだかもしれない。橋から飛び降りて死ぬのってなんか自殺したみたいだな……。
なんて思いながら、私は川にどぼんと着水した。そのまま沈んでいく私。
そして、目が覚めると知らない森にいた。
「……え?」
なんか、変なところに来たみたいです。