Another Arcadia Online

Misaki's Recap ③

あくびを一つする。

相変わらず私は一人のままだ。珠洲も一緒に帰っているけれど珠洲にも友達ができたらしい。幼馴染の進歩に喜ぶべきだな、うん。

羨ましくは別にないけど……珠洲まで離れるとやっぱ寂しいなぁ。忘れられていくんだろうか。

「……あれっ、私筆箱どこおいたっけなぁ」

と、隣の席に座っていた真田さんがカバンを漁っている。

筆箱……? そんなのしらない。私は帰ろうとカバンをあけたときだった。何か知らない筆箱が中に入っている。

すると、真田さんの周りに人が群がる。

「真田さんどうしたの?」

「いや、筆箱がなくなっちゃって」

「どんなやつ? 探すよ」

「えっと、白の布製のやつなんだけど」

私のカバンの中に入っているのも白の布製のもの。

……これか。でも、なんで私のカバンの中に入ってるんだろ。チャックは閉めてるし偶然入ることも考えにくい。

誰かが故意的に……。

とりあえず、返そう。

「……あの」

「誰かに隠されたんじゃないの? ほら、今日広瀬さんと言い争いしてたし広瀬さんがもしかして……」

返そうと思って取り出そうとしたけれどやめた。

ここで返したら疑われるだろう。いくら無実だといってもカバンの中に入っていたのは事実だし。まぁ、だとしても私が隠したって言われるのは心外なんだけどさ。

「広瀬さん。真田さんの筆箱持ってたりしない?」

「持ってないよ」

「そっかぁ」

下駄箱にでも入れておこう。

まったく。モノを隠してそれを人に擦り付けるとか子供か。私は帰ろうと立ち上がる。すると、カバンの紐がちぎれ、チャックを閉じ忘れたのか中のものが地面に散乱する。みんなそれに注目して、見つけてしまった。

「……広瀬さん。それ、真田さんの」

「……はぁ」

これで、私は晴れて疑いが確信となるのだろう。

私が隠したって。さっき嘘ついた。それがばれたか。

「やっぱり広瀬さんが持ってたんじゃん! 人のもの隠して嘘ついて逃げようとしたんだ! サイテー!」

「うっわ性格悪……」

「はぁ……」

泣きたいな。辛いな。

昔からこうだ。何もしてないのに罪は全部私だ。悪いのは全部私だって。何もしてないのに怒られ、なにかしても怒られて。私はどうしたらいいんだろう。

だから信用できないんだ。あまり知らない人からにもいじめられる。それがムカつく。

「……やっぱりいじめるんだ」

誰も信用はできない。

間違った情報を鵜呑みにするようなやつとは友達にはなれなさそうだ。真田さんも、きっとそうだ。私が犯人だって思ったんじゃないか? 

正しい情報がみんなにわかると思わないし、弁明しても無駄だということは過去の経験則からいって明らかだ。

私はちらばった教科書とかをカバンにしまい、カバンを手に持って学校を後にする。

私の立場は悪くなっちゃったなぁ。

珠洲も友達と遊んでるし、そもそもクラス違うし。

誰も助けてくれない。やっぱり私はこうなるんだ。助けてほしいのに助けてはくれず、信じる人もいなくて、じゃあ私は何に縋ればいい?