Another Arcadia Online
Inari's Village Defense (2)
冒険者が山のほうをみて並ぶ。
ちらちらとうちのほうを見ているのは気のせいやないな。うちも一応モンスターやしな。
「き、来たぞ!」
斥候が様子を見に行った。すると、ゴブリンやオーガなどのモンスターが大量に山を下りているらしい。ふむ、鬼。となると指揮してるのはAランクモンスターのエンマオーガの可能性があるな。
ま、余裕やろ。
「あれはCランクの絶オーガ!?」
「Bランクも交じってやがる!」
冒険者が騒ぎ出す。
しゃあないなぁ。うちが一掃したるわ。
「うちがやるから取り残したら対処頼むで」
「へ?」
うちはかけていく。
たかがBランク如きが調子乗るんやないで? うちは残念ながら人間側や。驚け。うちがいるタイミングで襲うのが運の尽き。
覚悟しろ魔物ども。うちは自力でSランクに上り詰めたんやで?
「狐火!」
炎の玉がゆらゆらと空中に浮かぶ。
ククク、戦うのは楽しいなぁ! ほら、そんぐらいでバテるなや。うちをもっと楽しませろ。モンスターの血が騒ぐでえ!
結果として魔物を全滅させた。
多少森が焼けたりなどしたが人的被害はゼロ。うちを村に入れてくれる約束の為に村を防衛した。ふふん、いい仕事したわ。
「お、終わり!」
「いや、ちゃうで」
冒険者の一人がそういったのでうちは否定しておいた。
「な、なぜですか!」
「こういう魔物が大量に押し寄せてくる、となると指揮しているモンスターがいる。Bランクもいることから最低でもAランク。最悪だとSランクあるんちゃうか」
「は?」
冒険者がみんな絶望したような顔をする。
Sランクとなるとそらもう手ごわい。この国のSランク冒険者でも敵うかってぐらい強い。うちのところにも何回かSランクの冒険者が来たが返り討ちにしてやった。
「そ、そんな化け物の可能性もあるってことかよ」
「し、死にたくねえ!」
「……あのなぁ。うちを誰やと思っとる」
「月下狐?」
「Sランクじゃねえか!」
「味方だと頼もしい!」
そういわれた。
だがしかし、今現在は昼の時刻。せめて月がで取ったらいいのやけれどな。
「だが今昼やからうちは勝てへんな」
「ええ!?」
「じゃあどうすれば!?」
「だから王都にいって兵士にカイザーをユウマ村に寄越せといえばいい。うちの名前出したら一発で出してくれるわ」
「俺がいく!」
と、一人の冒険者がそういって駆けていった。近くに馬の厩舎があるらしくそこで馬を借りていく。さて、うちはAランクのエンマオーガやと予想したが、その予想は正解か?
そして、冒険者がかけていったと同時に何かしらの咆哮が聞こえてくる。
「……やばいな」
この咆哮は、ドラゴンや。
「うちが耐えとくから死にたくないやつは帰りや! やばいのくるで! まさかあいつやと思っとらんかったわ!」
「な、なにがくるんだよ!」
「見たらわかるわ!」
と、その時山から何か飛んでくるのが見えた。
吸血竜ヴァゴン……。Sランク指定のモンスター。ああ、昼なのが恨めしいわ! カイザーなら相性がいいんやがうちは苦手なんや!
そもそも、見た目きしょいねん! ゾンビを思わせるかのようにところどころ腐食しているしな! きしょいねん! だから嫌いやねん!
「な、なな、なんでこんな村にこういうのいるんだよ!」
「わからんわ! とりあえず逃げろ!」
みなは脱兎のごとく逃げだした。