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Story 131, a little before the second day of class. - That's a rival appearance -

ライナルトの登場以外は特に何も起こらずに、オリエンテーションは無事に終了した。初日は午前中だけだった為、亮二はルシア、マテオ、マイシカ、ロサ、オルランドらと屋台街に繰り出して人気投票に参加した8店舗以外の発掘や、武器屋、防具屋、魔道具屋などを巡ったりしながら王都を満喫していた。

一同は休憩として入った王都でも有名な喫茶店に入ると、コーヒーや紅茶のような飲み物を頼んだ。亮二はコーヒーのような飲み物を飲みながらエリーザベトの事について考えていた。

「リョージ君。考え事?さっきの屋台街なら美味しそうな店が2店舗程あったよ」

「そうなの?帰りに寄るから教えてよ!ちなみに考え事はまったく別で、【紫】の勲章を持ってるエリーザベトの事だよ。いくらハーロルト公の娘とはいえ、入学試験に遅れて参加出来るものなの?」

「それは、公爵家の力と彼女の持つ力によるんじゃないかな?」

マイシカの答えに首を傾げていると、ロサが補足をしてくれた。

「学院長の意向が強いみたいよ。彼は貴族派と言われてるけど、教皇派とも縁を繋ぎたいみたいだしね」

「なんでロサがそんな事を知ってるの?」

「冒険者をやってた時に有名だったのよ。教皇派の貴族が好きそうなイオルス神が持っていたとされる、ミスリル系のアイテムを集める依頼を沢山出していたのよ。ただ、達成依頼料がミスリル系アイテムを売った時より安かったから誰も受注しなかったけどね」

ルシアの問い掛けにロサが苦笑しながら答えた。亮二はロサの話を聞きながらエリーザベトが入学試験に遅れても受験が出来る理由が理解できた。

「流石に勲章の色を捏造は出来ないだろうから実力は本物として、エリーザベトが『同じ教皇派として組んでいければ良いのよ!』と思ってくれればこちらとしてはやりやすいな」

「え?リョージ君今何か言った?」

亮二の独り言を拾ったマテオが聞き返したが「なんでもない」と返すと喫茶店のお茶やお菓子の品評会に参加するのだった。

◇□◇□◇□

- なんでこんな事になっているの? -

亮二は困惑した表情で目線をルシアに向けると「私まで巻き込まないで」と言わんばかりに露骨に視線を逸らされた。頼みの綱は他にも有ると思い、視線を周りに向けていったが返ってきたのは全員が下を向いている状況だった。

亮二は四面楚歌までとはいかなくても味方が誰もいない事に気付くと、溜息を飲み込んで目の前にいる女性と目線を合わせた。爛々とした目が亮二を捉えており、今にも戦いが始まりそうな空気になっていた。

「貴方がリョージ・ウチノ子爵ね!”ドリュグルの英雄”と言われ、牛人を相手に傷ひとつ負うこと無く3体同時に討伐し、”盤面の森”を攻略して建国の祖である”アマデオ=サンドストレム”の攻略記録を塗り替えた。剣技だけでなく魔法も得意で【水】属性魔法を使った衛生兵制度も作られたと伺っております。私は貴方に対して好敵手になる事をここに宣言します!この2年間で貴方の胸にある【黒】の勲章が私にこそ相応しいと証明してみせますわ!」

ビシッと指を突き付けられた亮二は引き続き困惑しながらも「牛人を3体同時に討伐?」「建国の祖の記録を塗り替えたって何の事?」「剣も魔法も使えるって凄いね!」「リョージ君って、何を学院に学びに来てるんだよね?」と周りの声が聞こえてきて眉を顰めるのだった。

「エリーザベトさん、色々と喋っちゃ駄目な事も大声で話されてますが大丈夫ですか?マルセル王からも箝口令が出ているはずの項目が何個か有りましたよ?」

「そ、それは勢いで言っただけですわ!ここに居る皆さんは口が硬い方ばかりです!間違ってもここの話を外に漏らすような事はされませんわ!そうでしょ?皆さん?」

エリーザベトが教室内に居た10名に視線を投げると全員がコクコクと頷いていたが、亮二はエリーザベトの顔が赤くなっているのに気付くと「療養中のお嬢様って聞いてたのに、完全にテンプレ物のライバルお嬢様で若干天然物じゃん!」と呟くのだった。

◇□◇□◇□

「それはさて置き、リョージさんにお父様からお手紙を預かっております」

エリーザベトから手紙を渡された亮二は、ハルシュトレーム家の封蝋がされている事を確認して封を切ると手紙の内容を確認した。

「やっほー!儂ハーロルト!リョージごめんね!」

出だしを読んで崩れ落ちそうになりながら「マルコごめん!次からは普通の手紙にする」と呟きながら続きを読み始めた。

「で、本題だが今回のエリーザベトが学院に入学する件については申し訳ないと思っている。元々、学院に興味が無くて療養先で好き放題をしていたのに、どこからかリョージの噂を聞き付けて『私の方が優れている事を証明してみせますわ!』と止める間もなく王都に来てしまったのだ。途中で気付いた儂は到着を遅らせる手はずを整えていたのだが、学院長のクリストフェルが余計なお世話を働いて入学試験を受けさせてしまったのだ。エリーザベトは魔力も高く、属性魔法も3種類使える事が自信に繋がっておる。すまぬがリョージよ、バカ親だと思われるのは十分承知の上でエリーザベトに上には上が居る事を教えてやってくれまいか」

その後は出来る限りの謝礼をするなどが書かれている事を確認して手紙を元に戻すとストレージに収納して溜息をつくのだった。