幼少時のみ許される遊戯に、お医者さんごっこというものがある。

額面通り素直に受け取るならば、医者役の子が病気役の子に聴診器を当てたり薬(基本ただの水だが)を飲ませたりする、まあ言ってみればおままごとの亜種のような至極健全な遊びなのだが。

その、お医者さんごっこではない。

おもちゃ屋さんに行けば手に入るような、子供用のなりきり玩具を使った――医療行為を真似たお遊びではなく。

幼少時異性の幼馴染なんかと大事な部分を触診し合った、あのお医者さんごっこである。

ちなみに、蘭はそんな夢のようなお遊びを幼少時に体験した記憶はない。

事実蘭が幼少時暮らしていた近所には同い年くらいの子供のいる家族がいなかったということもあって、幼稚園に上がるまで蘭は同い年の子供と接する機会がほとんど無かったのだ。

故に中学時代、えっちなことに興味をもって『お医者さんごっこ』という単語に行きついた時は唖然としたものだ。

性的な事柄に関して無知な幼少期に、互いの性器を弄り合うお遊び。

そんな夢のような遊戯が、この世に存在していただなんて。

ましてや性的な行為に関して苦手意識を持っていると勝手に思い込んでいた女の子の方が、率先して男性器を興味津々で弄ってくるだなんて。

幼少期のお医者さんごっこを体験したことのある人間こそ、真の人生の勝ち組なのだろうと思ったものだ。

そんなわけだったから、佐渡ヶ島沙夜香からそんな話をされた時は思わず小躍りしそうになった。

まさかこの年齢(とし)になって、その子(・)供(・)向(・)け(・)の遊戯に参加する機会が与えられるとは、夢にも思っていなかったのだから。

「ねぇ霧島くん。霧島くんは、子供の頃お医者さんごっこってやったことある?」

ベッドの端に腰かけ、片膝を立てながら黒ストッキングを丸める沙夜香を見やり、蘭はポカンと口を開けていた。

脚を伸ばしてストッキングを抜き取り、丸めたままの状態でベッドの上にぽいと捨てる沙夜香。

中空に弧を描きポスンと落下したその軌道を最後まで見送ってから、蘭は開きっぱなしだった口を閉じた。

「あー、幼稚園の時、女子にせがまれて病人役やったことが一度くらいあったかも?」

「……その、健全な方のお医者さんごっこじゃなくて。さ、触り合いっこする方っていうか」

ベッドの上で体育座りをする沙夜香を見やり、蘭は期待に喉を鳴らす。

スカートの裾から爪先まで晒された眩しい素肌や、捲れ上がったスカートから顔を覗かせるこの世界のであろう白い布地がチラつくが、蘭の目にそんなものは映っていなかった。

熱っぽい視線を彷徨わせながら、頬を染める沙夜香の顔。

緊張しているのか乾いた唇をペロリと舐める桃色の舌。

時折コクンと鳴らされる、汗の滲んだ喉元。

この意味深な反応から察するに、今のは単なる世間話でないことはたしかだ。

眼鏡越しの瞳が蘭を捉え、何かを求めるように上目遣いを見せる。

再度口端を舐めた沙夜香は、蘭に向かって手招きした。

それにつられるかのように、蘭は沙夜香の腰かけるベッドへふらふらと歩み寄り、彼女のすぐ真隣に腰を下ろした。

「実は、さ。ずっと興味あったんだよね。す、好きな男の子の身体を、しょ、触診したりするの」

「奇遇だな。俺も、好きな女の子の触診とか、してみたかったんだよね」

ここで言う触診とは、医者が行うちゃんとした医療行為とは違う。

勿論だが、セックス前に行う愛撫とも異なる。

相手を気持ち良くさせるための行為ではなく、自分の性的好奇心を満たすための自分勝手な接触だ。

自分本位に異性の体躯――主に男女の違いが顕著な箇所だ――を弄る。

実際これは愛情表現ではなく『お(・)人(・)形(・)相手のお遊び』であるため、独りよがりな行為になることは必然ではある。

「絶対、痛くしないからさ。ダメかな?」

「構わないけど。沙夜香、俺のペ×スとか普通に触ったことあるよね?」

「……あるけど。でも、それは霧島くんに気持ち良くなってもらいたいからしてただけで、形とか感触とかを楽しむために触ってたわけじゃないし」

眼鏡をくいと直して、沙夜香は照れたように唇を尖らせる。

「触りたいの?」

「うん」

即答だった。

事実蘭も、沙夜香に身体中を色々まさぐられてしまうということには興味がある。

断る必要はない。

「分かった、じゃあま(・)ず(・)沙夜香がお医者さん役ね。……とりあえず、どうすれば良い?」

「脱がすから、そこに横になって」

沙夜香の言う通り、蘭はベッドの上に横になった。

期待に満ちた表情で息を荒げる沙夜香が、ベッドに寝転がる蘭を睥睨する。

はぁはぁと熱い吐息を漏らしながら、沙夜香は蘭の上に跨った。

これから起こるであろう事象への期待に舌舐めずりし、蘭の身に着けている衣服に手をかける。

ちなみに本日蘭が身に着けているのは、元の世界で毎日着ていた高校の制服である。

男性の衣服は女性のそれとボタンの位置が逆であるため少し外しにくいが、沙夜香はそれを無防備な蘭を好き勝手出来るという事柄に対する執念で、丁寧にボタンを外して行った。

現れた胸板に喉を鳴らし、沙夜香の視線がさらに下方へ向く。

既に脱いでいる姿を見るのと、異性の衣服をこれから脱がすというのはまた違った興奮がある。

カチャカチャと音を立ててベルトを外し、チャックを下ろしていく。

開けられたジッパーの奥から顔を出した下腹部は、女のそれとは異なり下着が少し膨らんでいる。

ここに何があるのか、どんなものがあるのか。

蘭と何度も身体を重ねた沙夜香は、蘭の股間がどうなっているのか熟知しているが。

沙夜香は自分を焦らすようゆっくりと下着に手をかけ、ゆっくりとパンツを下ろしていった。

「…………わ、わぁ」

「た、耐え切ったぜ」

息がかかるほどの近距離で、沙夜香は蘭の逸物を凝視する。

柔らかくぶらりと垂れたそれは、普段の臨戦態勢時と比べて小さくて貧弱だ。

何度も子作り行為を重ねた沙夜香だったが、こんなにも小さく縮こまった肉棒を見るのは初めてかもしれない。

想像とかけ離れた見慣れない物体を前にして、沙夜香は思わず口を半開きにする。

「へぇー……。興奮してない時って、こんな感じなんだ。意識して見るのは初めてかも」

だらんと垂れ下がったそれをキュッと摘まむと、ふにふにぐにぐにと変な感触だ。

そして汗をかいているのか、しっとりと湿っている。

「思ったより柔らかいなぁ……」

竿をくにくにと弄りながら、沙夜香は視線をさらに下へ向けていく。

次に目に入ったのは、男の子の身体の中で一番不可思議かつ大切な器官だ。

胡桃のような部分を手のひらに乗せ、コロコロと転がしてみる。

ちょっとした刺激で激痛が走ると聞いたことがあるので、取り扱いは慎重だ。

「わ、と……。思ったより重量感あるんだ」

ずっしりと重く、不思議な感触。思わず手のひらで揉みこねたくなってしまうが、好奇心を抑え込みグッと我慢する。

どの程度の刺激なら許容できるのか、全く分からないのだ。

下手に刺激して、痛くしてしまったら大変だ。

「……裏側は――。あ、何か線みたいなのが入ってる」

女の子の部分があるはずの場所には、何かを縫い合わせたような薄い線が刻まれていた。

線に沿って、指先でお尻の方までなぞってみるが。

ぱっくりと開いたりだとか、そんな様子は見られない。

前に藤吉百合が描いていた同人誌に、やお何とか穴というものが出てきたが。

もしかしたらこれなのかなと、沙夜香は考えていた。

「太腿も、女の子と比べてほっそいなぁ……。おへその位置も何か違うみたいだし」

何だか間違い探しをしているようだ。

様々な違いを探してはみたものの、やはり沙夜香の興味を刺激するのは異性の身体で一番の相違点である、男性器だった。

確かに男の子の身体は、女の子のそれと比べて堅さや細さも全然違うが。

ここだけは、本当に別の生物のようだ。

触り心地も悪くないし、微妙に温かくて気持ち良い。

愛しい相手のものだからということもあるのだろうが、眺めていると恥ずかしながら興奮してしまうというのが実情だったりする。

「さ、沙夜香……。もうやめないか?」

「ん、もう少しだけ」

ち×ぽを手の中に包み込み、ペタペタと手のひらで触ってやる。

竿の部分は、普段からセックス前に沙夜香も触っているし、行為中は結構激しく擦り合わせたりしている。

この程度の刺激なら、痛みを覚えることはないだろう。

「ふにふにむにむにして、何か可愛い」

「さやっ、沙夜香! そ、それ以上されると」

「それ以上されるとー?」

沙夜香の手の中で、ち×ぽの感触が少しずつ変化していく。

最初は頼りなく、柔らかい。それが徐々に堅くなり始め、垂れ下がっていたそれが少しずつ上がっていく。

接触に併せて色々な向きに曲がっていたはずの竿が強固に上だけを目指し始め、手の中に包み込むことが出来ていたはずのち×ぽが、沙夜香の両手からはみ出してしまう。

好きな女の子にこれだけ弄繰り回されて、今まで良く耐えたなあと沙夜香は心の中で感心する。

堅く反ったち×ぽは、ビクビクと震えながら切なそうにカウパーを漏らしていた。

その可愛らしい反応に、沙夜香の中のSっ気が湧き上がってしまう。

「あれー、どーしちゃったのかなぁー。おち×ちん、変な風になっちゃってるよー」

ずっと我慢していたからだろう。

蘭のち×ぽは普段より素直に反応し、ピクピクと痙攣していた。

ち×ぽ本体から手を放し、蘭のお腹を撫でてみる。

おへその穴を指先でくりくりと弄ると、ち×ぽが切なげにヒクンと揺れてしまう。

「おち×ちんには触れてないのに、こんな風になっちゃうなんて。……不思議」

せっかくのお医者さんごっこ――蘭の身体を好きに触診できる機会だ。

沙夜香は蘭のお腹を撫でつけつつ、もう片方の指先を蘭のお尻の穴へと這わせた。

ち×ぽの反応をじっくりと観察しながら、愛しい異性のお尻をくにくにと弄る。

入り口(この場合出口と表現するべきかもしれないが)付近をクリクリしてやると、それに併せて蘭の腰がゾクゾクと震える。

「さやっ、あっ! 流石にそれはやめて! 尻の穴弄るのはやめてくれ!」

「でもまだ触診終わってないよ?」

「……沙夜香にこれ以上性癖開発されたら、もう沙夜香の事まともな顔で見れなくなっちゃうよ」

か細い声で、蘭は沙夜香に聞こえないよう呟く。

今思い返してみれば、太腿に興奮するようになったのも、女の子に玩具扱いされることを受け入れられるようになったのも、間接的には沙夜香が原因だ。

しかも今回、無防備を晒している間に大切な部分をじっくり観察されて触診されて、少し興奮してしまった。

その上尻の穴まで開発されてしまったら、蘭はこれから沙夜香をどんな顔で見れば良いというのか。

下手すると、沙夜香の顔を見ただけで射精するようになってしまうかもしれない。

「せっかくのお医者さんごっこなんだから、身体中診察してあげたかったのになー」

やはりあれは、性知識が皆無であるが故に成立する遊戯なのだなと、蘭は身を持って実感する。

「俺はもう充分診察されたから、も、もうそろそろ交(・)代(・)しない?」

「……良いけど、でもさ」

沙夜香の口角がキュッと上がり、眼鏡越しの瞳が悪戯っぽく細められた。

「お医者さんごっこって、異性の身体の違いを観察するのが主な内容でしょ?」

沙夜香の手が蘭のち×ぽをキュッと掴み、さわさわと動き始める。

「女の子には絶対体感不可能な男の子特有の現象を、まだ観察させてもらってないんだよねー」

「あぅ! さ、沙夜香!?」

必死に我慢を続けていたせいか、それとも勃起するまでをじっくり沙夜香に観察されたためか。普段以上に敏感になったち×ぽは、沙夜香の触診によってさらに硬度を増していく。

手のひらをいっぱいに使って、全面でち×ぽの感触を楽しむかのように。

指先を絡め、溜まったものを絞り出すかのように。

沙夜香の指一本一本が竿に絡みつき、容赦なく蘭の射精欲求を掻き立てていく。

「さ、さや、沙夜香っ!」

「良いよ、名前呼んで。名前呼びながら、しちゃって良いよ」

スベスベ滑らかな沙夜香の指に包まれながら、蘭はビクンと体躯を仰け反らせた。

「さや、沙夜香――っ! う、あっ!」

沙夜香のお手手にしっかりと包み込まれながら、蘭はその中へびゅくびゅくと白濁液を吐き出した。

今まで我慢していた分を全て放出するかのように、濃厚な精液がおへその辺りへぶちまけられる。

気持ち良く果てた蘭を得意げな表情で眺めやってから、沙夜香は蘭のお腹に広がった精液を指先ですくって人差し指と親指とで糸を引かせた。

「真っ白なおしっこ出しちゃって、お病気かもしれないよー?」

「さ、沙夜香ったら……」

お医者さんごっこというよりかは夜回り看護婦ごっこみたいだななんて思いつつ、蘭は股間周辺を布キレで拭い、ベッドから身体を起こした。

◇◇◇

無防備にベッドに寝転がる沙夜香を睥睨し、蘭は期待に満ちた表情で口元を歪ませた。

今度は、蘭が沙夜香の体躯を触診する番だ。

お尻の穴から男の子のシンボルまでじっくり観察されて、大切な部分をたっぷり弄繰り回されて、果ては情けなく射精する瞬間まで見届けられてしまった蘭。

目の前に寝転がる少女に身体の全てを知られてしまったということに若干の快感とムズ痒さを覚えながら、蘭はその少女の姿を見やり期待に喉を鳴らした。

セーラー服のまま、ベッドに寝そべるクラスメイト。

それだけでも充分エロいシチュエーチョンだ。今から彼女を好きなように剥くことが出来ると思うと、興奮でどうにかなってしまいそうである。

しかも沙夜香は、そんな境遇でありながら、蘭に向かってじっと熱っぽい視線を送ってくるのだ。

沙夜香もこの状況に興奮しているのだろう。

「……それじゃ、脱がすよ」

「うん」

スカーフを緩め、胸元に付いたジッパーに手をかけて焦らすように下ろしていく。

日焼けした鎖骨と日焼けしていない胸元のコントラストを認識したところで、蘭は次に沙夜香の腕を擡げ、腰の傍に付いたサイドファスナーを上げていく。

蘭が通う高校のセーラー服は基本サイドファスナーのものが主流なのだが、購入した時期によって若干の違いがあるのだ。

ちなみに沙夜香の場合、現在身に着けている夏から秋にかけて着用するセーラー服は、二年の春に新しく買い直したものである。

故にデザインがちょっぴり変化して、胸元にも飾りのジッパーが付いているのだ。

胸が大きい娘なんかはこのジッパーを気付かれない程度に開けて、胸元の谷間を強調するらしいが。

谷間やら何やらの存在しない沙夜香にとっては、無用の長物でしかなかったりする。

「バンザイ、して」

「うん」

言われるがままに両腕を上げ、無防備を装う沙夜香。

蘭は沙夜香の体躯をじっくりと見つめながら、焦らすようにゆっくりとセーラー服を脱がしていく。

平らな胸を大切に保護するブラジャーもついでに外してしまおうと思ったが、流石に外し方が分からなかったので沙夜香に手伝ってもらった。

「む、難しいな」

「この世界のブラは、付けるのも外すのも結構面倒なの」

布面積の少ない挑発的な下着を取り払うと、なだらかな胸元にツンと突き立った可愛らしい乳首が顔を出す。

可哀想になるほどの貧乳――というか無乳だが、むしろ唯一の突起物である乳首が強調されて実にエロい。

思わず舌舐めずりをしてしまうが、とりあえず今は沙夜香の乳房からは意識を剥がす。

「半裸の女の子をさらに脱がすっていうのも、趣があって中々良いな……」

沙夜香の全裸など幾度となく見たことがあるが、やはり徐々に脱がしていくというのはセックスとはまた違った興奮があって実によろしい。

スカートのジッパーを下ろし、するすると脱がしていく。

紺色のスカートを脚から引き抜き、ショーツ一枚になった沙夜香の姿を今一度上から観察する。

真っ白なショーツ一枚で股間を隠し、それ以外は無防備に晒した沙夜香の姿。

腕はだらりとベッドに置かれ、丸出しになったおっぱいを隠す素振りは皆無。

おっぱいこそ小さいがちゃんとくびれもあって、お腹や胸などは色白で綺麗。素肌や身体の線も実になめらかで、一晩中撫でていても飽きないのではないかと感じさせる。

ショーツ一枚で横たわる天使の姿をしっかりと記憶に焼き付けてから、蘭は胸の高まりをどうにか抑えつつ、沙夜香の体躯の傍に屈み込んだ。

おへその辺りを撫でつけ、ショーツの淵に指先をかける。

下着を脱がす光景を無抵抗で眺める沙夜香に見惚れながら、蘭は一息にショーツをずり下げた。

「さ、最後の聖域……」

真っ白な防護壁が消失し、漆黒の麦畑が蘭の眼下に晒される。

つるぺたでしなやかな身体には相応しくないであろう、女子高生らしく成長を遂げた大人っぽい陰部。

蘭のち×ぽを幾度となく飲み込んだ割れ目は、もう既にぬちゃりと潤っている。

ショーツと割れ目とを粘り気のある糸が繋ぎ、ぷつんと途切れた。

「脚、上げてくれる?」

「はい、どうぞ」

躊躇いなく両足が上がり、蘭の目の前にぷっくらと裂けたおま×こが惜しげも無く晒される。

ショーツを脚から抜き取っている間、蘭はその光景から目を離すことが出来ない。

月光を受けてぬらりと煌めく、女の子の部分。

妙に淫猥なそれに涎を垂らしながら、蘭はゴクンと唾を飲む。

ごっこ遊びの中とはいえ、現在蘭は沙夜香を触診するお医者さんだ。

さっきまでの蘭がそうだったように、患者役の子は医者役の子の言うとおりにしなければならないはずだ。

故に今蘭が沙夜香に何か命令をすれば、それは診察上どうしても必要だった事柄として処理されるため、沙夜香はその命令に逆らうことが出来なくなってしまう。

つまり何が言いたいのかというとだ。

この体勢だと、普段と同じでつまらないという話である。

「沙夜香、この格好だとよく見えないから、これから言うとおりに体勢を変えてくれるか?」

「良いよ。今は霧島くんがお医者さん役だもん」

「よし分かった。……んじゃまず、うつ伏せになってくれる? そうそう、そんで膝をベッドに着くようにして顔は出来るだけベッドに擦りつけて――おほぅ」

ベッドに這いつくばるような格好で膝を着き、淫猥に尻を突き出したポーズをとった沙夜香。

後背位の行為を待つような格好。

これなら、お尻の穴まで丸見えだ。

「それじゃ早速、触診始めよっかなーっと」

ともあれ沙夜香は、蘭が嫌がることや痛がるようなことはしてこなかった。

これでも蘭は、沙夜香とはプラトニックな関係(蘭と沙夜香の基準でだが)を紡いでいくつもりだ。

沙夜香が嫌がる素振りを見せたらすぐにやめると心に決め、蘭は沙夜香の太腿に手を這わせた。

思ったよりむっちりした触り心地に、興奮が湧き上がる。

愛撫とは違う、今回行うのは己の欲求を満たすための触診だ。

普段のように――沙夜香に感じてもらうために、撫でるのではない。

太腿は性感帯や刺激に弱い部分では無いので、蘭は容赦なく沙夜香の太腿に両手を押し付けた。

「……んっ」

「見た目より柔らけぇ……。肌もスベスベで滑らかだし、いつまでも触ってたいぜ……」

思ったよりむちむちした太腿の感触を楽しみながら、蘭は眼前に広がる桃源郷に舌なめずりする。

丸くて可愛らしいお尻と、そこから伸びる股座――今までの行為で分泌されたであろう愛液で潤った淫裂。

汗や何やらの混ざった沙夜香の匂いに吸い寄せられるように、蘭は太腿から手を放し、沙夜香の割れ目の肉に指先を引っ掻けた。

「女の子の部分――ご開帳!」

ぬっぱぁ……と、愛液に塗れた膣肉が蘭の眼前にてぱっくりと開かれる。

むわっとした香りが漂い、蘭は妄想逞しく鼻の下を伸ばす。

「何度見ても、色艶最高のピンクおま×こ……!」

思わず顔を突っ込みグチャグチャに舐め犯してやりたくなったが、理性を振り絞って必死に耐える。

これはお医者さんごっこだ。本番前の前戯ではないのだ。

沙夜香だって、蘭のち×ぽを口に咥えたり舐めたりはしなかった。

あくまで今晩のプレイは、無垢な子供同士で紡ぐお医者さんごっこというものを恋人と疑似体験してみようというだけであって。

決して、決して快楽を貪り尽くすための行為ではない。のだが。

「……も、限界」

触診だけでは、沙夜香の魅惑の体躯を診察しきれない。

ここは一発、蘭特製のお注射を射ち込んであげなければならないだろう。

大好きな女の子の身体をこんな風にまさぐって、何とも思わないはずがない。

沙夜香が見ていない内に、蘭はズボンのベルトを緩めて下半身を外気に晒してしまう。

あくまで自然に。

太腿からふくらはぎを撫でつけ、柔らかい部分を押してみたり。

くびれの感触を手のひらいっぱいに感じながら、なだらかな乳房を触診したり。

さりげなさを装いながら、少しずつ沙夜香の体躯にしなだれかかっていく。

「……ん、もぉ。霧島くんったら、乳首触る手つきえっちぃんだけど」

「沙夜香」

「うん?」

「触診だけだと物足んないから、お注射してもいい?」

「お、ちゅーしゃ?」

不思議そうに振り返る沙夜香に見えるように、蘭は腰を突き出して自身の逸物を曝け出す。

先ほど情けないくらい沙夜香に弄ばれた、男の子のシンボルだ。

カウパーを垂らしながら見事垂直に屹立した肉槍を見て、沙夜香は色めかしく瞳を細める。

口端をペロリと舐めると、悪戯っぽく舌を出して肩目を瞑った。

「私の身体、お注射うたなきゃイケナイくらい、悪いんですか?」

「ああ、今すぐにでもこのぶっといお注射をうたなければ、大変なことになってしまうのだ」

ノってくれるようなので、蘭も彼の頭の中に思い浮かぶ精一杯の『お医者さん』像を作り出してみる。

こんな風に、顎髭を弄ってみたりなんかして。

「……ぶっとい? ……へぇー、ふぅーん」

「やっぱ今の無しにしてください」

お尻を突き出したままの格好で、沙夜香はニマニマと頬を緩める。

今のは言葉の綾だと弁明したい気分だが、それはそれで何だか男の子として色々なものに負けたような気がするので、素直になれないのが実情だったりする。

「と、とにかくだ。沙夜香の身体を触診した結果、その、お医者さん直々のお注射が必要なのだよ」

「突然ぶ(・)っ(・)と(・)い(・)お注射しなくちゃダメだって言われちゃうの、少し怖いですけど――」

言いながら、沙夜香は自身の陰裂をぬぱぁっと拡げてみせる。

「霧島くんのお注射なら、喜んで受け止めます」

沙夜香自身の手で開かれた蜜壺を見やり、その淫猥な光景に喉を鳴らす。

目の前で彼女が股間を開いているということに興奮が湧き上がり、瞬く間に生殖本能が掻き立てられる。

ベッドの上に膝を着き、蘭は沙夜香の腰を手で支える。

その柔らかく滑らかな感触に酔いしれながら、ずいと沙夜香に向かって腰を突き出した。

「う、うぉぁ……」

「ん、ひゃぅ。霧島くんのお注射、入ってきたっ……」

熱く蕩けた膣穴が、蘭のお注射針をぐちゅぐちゅと飲み込んでいく。

無数の舌で咀嚼するかのように、抵抗することなくじゅぷじゅぷと押し込まれる。

甘く蠢く沙夜香の膣壁にしっかりと捉えられ、蘭のお注射針は沙夜香の膣内でさらに硬度を増していく。

「さ、沙夜香……? 何か今日は一段と濡れてないか?」

「……霧島くんのおち×ちん弄ってたら、興奮しちゃったっていうか」

ぐちゃぐちゃに蕩けたおま×こから、愛液がとろとろとこぼれ落ちる。

蘭のベッドに沙夜香の染みが出来る度に、何ともいえない征服感が生じてしまう。

沙夜香はもう既に蘭のものだが。それをさらに、確かなものとしたような満足感。

この娘を独り占めにしたい。

既成事実を作って、蘭だけのものにしたい。

沙夜香の全てを受け入れ、佐渡ヶ島沙夜香という存在を自分のものにしたい。

一生崩れないような、確実な何かが欲しい。

「沙夜香、愛してる。沙夜香のこと――――」

これで、世界で一番愛していると言える立場だったら、どんなに気持ち良かったか。もしそうならば、きっと蘭は心からそう紡いだだろう。

だが蘭は、自分の心に嘘がつけなかった。

大切な五人の恋人たちに、優劣をつけることなど出来やしない。

「――――沙夜香のこと、大好きだ」

「私も、霧島くんのこと、大好きだよ」

沙夜香の膣穴がキュゥゥっと締まり、蘭のお注射針ことぶっとくないち×ぽを離さないとばかりに咥え込む。

普段以上に熱く、愛液で潤った沙夜香のおま×こ。

うねり蠢く沙夜香の膣壁と、先端に感じる子宮口の感触もあって、蘭の射精感は徐々に高まっていく。

頭を過った雑念を追い払うかのように、蘭は腰を振り立てる速度を速めた。

これだけ濡れていれば、多少激しくしても大丈夫なはず。

「沙夜香……。今からおくすりいっぱい出すから、全部受け止めてくれよ?」

「ん、ふぁっ! ……きり、霧島くぅん! おちゅうしゃに溜まったおくすり、沙夜香の膣内(なか)にいっぱい出してぇ!」

沙夜香の悲鳴を合図に、蘭は身体を仰け反らせる。

キュゥゥンと締まった沙夜香の膣壁に搾り取られるように、蘭のおちゅうしゃち×ぽから白濁なお薬がびゅるびゅると吐き出される。

沙夜香は幸せそうに頬を蕩けさせながら、子宮内へ精液を飲み込んでいく。

やがて蘭も全て出し終え、沙夜香も蘭が出した分を全て飲み干したところで、二人は疲れたようにぐったりとベッドに倒れ込んだ。

「何かもう最後の方はお医者さんごっことか関係なかったな……」

「……そだね。でも、楽しかったし、幸せだったよ」

荒い呼吸を協奏させながら、二人は顔を見合わせてにへりと笑い合う。

どちらからともなく身を寄せ合い、手を握りお互いに指を絡め合った。

その接触にはにかみながら、二人は軽い接吻を重ねたのだった。