昨日は俺的には初めて、兄姉たちにとっては久し振りの再会となった。

そして2番目の姉のクリュシュナス姉様と俺が食事の約束をしていたので、1番目の姉のエリザベート姉様がクリュシュナス姉様を羨ましがって中々俺を放そうとしなかった。

そんなエリザベート姉様にジムニス兄上が任務だと言って拳骨を落としていた。

それで昨夜はクリュシュナス姉様と食事を摂り、構われ続けた。

昔の記憶は無いが人形のように扱われるのでさすがに疲れてしまった。

猫可愛がりもいいところだ。

気を取り直して授業に臨む・・・

しかし、あいつはブレナイな。

いつの間にか取り巻きを作っている。

ブレナン侯爵家は大貴族だし下級貴族からすれば取り入ることで権力の傘に入ることができるからな。

まぁ、俺の回りをウロチョロしなければ何もしないし、する気もないけどね。

「これより今後のカリキュラムについて説明する。必須科目と選択科目があるが全て単位制である。そして筆記科目だけだが早々に単位修了試験を受け合格することで単位を得ることができる」

ブルーム先生の説明では来週から今月一杯までの間、希望者は筆記科目の単位修了試験を受けることができるそうだ。

貴族や富裕層の者だと元々高度な教育を受けており、そういった者にはより上位の教育を受ける権利を与えるための処置だという。

1回生の間に筆記科目だけは卒業に必要な単位を取得することも可能だし、過去にはそのような者も居たそうだが、かなり稀な存在だと聞いた。

つまり単位修了試験に合格していれば授業を受ける必要がないのだ・・・だから今月は色々な単位修了試験を受けまくる予定にした。

因みに実技科目は経験がものを言う世界ということもあり、能力があっても筆記科目と同じように単位を取れるということはないらしい。

ただ、それでも優秀な者は教師陣が慎重に判断をして単位を与えるそうだ。

「やぁ、久し振り。クリストフ君だったよね?」

黒髪黒目の日本人に近い顔立ち・・・

「・・・・・・・・・・・誰?」

「あははは、忘れちゃったの? ボクはカルラ・フォン・アダチ。入学試験の日に会ったじゃないか」

「・・・・・あぁぁ~、思い出した。ボクっ娘だ」

「ボクっ娘って・・・そうなんだけどね」

ちょっと拗ねた感じが可愛いな。

「あ、私はクリストフ・フォン・ブリュトゼルスです。こっちは友達のペロン」

「ペロン・クックです。よろしくお願いします」

「・・・クックって、あのレストラン・クックの?」

「はい、父が経営している店です」

ペロンは父親が経営している店の話になり嬉しそうだ。

「何度か食べに行ったけど美味しかったよ。また行くからおまけしてね」

「ははは、父に言っておきます」

「それでアダチさんは私に何か用ですか?」

俺に声を掛けてきたのに違う話になっていったので、引き戻す!

「うん、ボクとパーティーを組まないかなと思ってね。ペロンも一緒にどうかな?」

「パーティー?」

「クリストフ君、ブルーム先生が言っていたじゃないか。3人でパーティー申請をするようにって」

「・・・そうだった・・・ちゃんと聞いていたよ?」

2人が半眼で見てくる・・・しっかり聞いていたさ!

右耳から入り左耳から出ていってしまったけど・・・

「で、どう? ボクとパーティー組まないかい?」

「私はいいけど、ペロンはどう?」

「僕もいいよ。寧ろ僕の方からお願いしたいと思っていたよ」

「じゃぁ、申請の方はボクが書いて出しておくけどいいかな? それとボクのことはカルラって呼んでね」

というわけで、早速パーティーメンバーが決まりカルラが申請を書いて出しておくことになった。

実は今日は授業の説明とパーティー申請と所属クランを決めるために殆ど自由行動だったりする。

「それで、2人は所属するクランは決まっているの?」

「僕はまだ決めていないけど、クリストフ君はどうなの?」

「私は未定だね!」

「クリストフ、それは威張って言うほどのものではないと思うよ」

ふむ、呼び捨てですかい。

まぁ、そんなことで怒ったりはしませんがね。

寧ろ親しみを込めてっていうことでOKよん。

「カルラは決めているの?」

俺が話を振ってしまったせいか、カルラは「えへへへ」と言いながらローブの内側から1枚のチラシ?を取り出した。

「ボクの幼馴染とクランを立ち上げようと思うんだ。で、2人も入らない?」

クランとは日本で言う部活みたいなものだ。

実はクリュシュナス姉様からクランに誘われているけど、クリュシュナス姉様が代表をしているクランは『生徒会』なのでハッキリ言って入りたくはない。

面倒だ!

他には風紀委員会もあれば、魔法決闘会や生存追求会なんてのもある。

早々にクランを決めて入らないと強制的にクリュシュナス姉様に『生徒会』に連行されそうな気がする。

「そのクランの目的は?」

「マジックアイテム研究だよ!」

あ、俺の得意分野だ。

「よし入ろう!」

「「ハヤッ!」」

即答にカルラもペロン驚いていたが、ペロンも一緒に入ることになった。

ペロンの場合はカルラに無理やり名前を書かされていたのだが見ないことにした。

てか、クランって5人以上居ないと設立が認められないらしい。

俺とペロンとカルラとカルラの幼馴染では数が足りないのでは?と聞いたら、カルラの幼馴染が2人いるらしいのでその2人を加えて5人になると言う。

そしてカルラに幼馴染とパーティーを組まないのか?と聞いたら、カルラの幼馴染は他のクラスだから駄目らしい。

同じクラスじゃないとパーティーとして認めてもらえないなんて初めて知ったぞ!

「よし、これでクランもパーティーもOKっと、後は単位修了試験ね」

「カルラも単位修了試験を受けるのか?」

「勿論よ! 早めに卒業に必要な単位を取ってマジックアイテムの研究に没頭したいじゃない!」

カルラは欲求と言うか欲望に正直だな。