Ee, Teni Shippai? Seikou?
6 Stories Henry and Hazel *
「おかえりなさいませ、ご主人さま」
ヘンリーはその声で、自分がサリス家の別宅に戻ったことを自覚した。
コルボーン伯爵家の別宅を訪れ、パトリックと話をしたことはなんとなく覚えている。
そこで具体的になにを話したのかはあまり思い出せないが、自分がやるべきことはわかっているので、そのことに対してあまり疑問は抱かなかった。
「ご主人さま?」
メイドのヘイゼルが、心配そうな表情で自分の顔をのぞき込んでいた。
そのことに、軽い苛立ちを覚える。
「部屋で、休む」
「かしこまりました」
部屋に戻ったヘンリーは、ソファにどっかりと腰を下ろした。
「ふぅ……」
目を閉じ、ため息をつく。
とても、疲れていた。
このままここで、眠ってしまいたかったが、紅茶の香りに鼻をくすぐられ、目を開けた。
ヘイゼルが、ティーセットをテーブルに置いていく。
改めて見ると、その仕草はとても洗練されていた。
「ふん……それなりに成長はしている、か」
ほとんど声として出なかったつぶやきだった。
ティーポットを持とうとしたヘイゼルの動きが止まり、視線がヘンリーに向けられる。
「……なにか?」
「いや、なんでもない」
注がれた紅茶をひと口飲み、カップを戻した。
「話し合いは、どう、なりましたか?」
上目遣いに、おどおどとした口調でヘイゼルが尋ねる。
メイドとしての動きはずいぶんと洗練されてきたが、ヘンリーに対しての怯えたような態度は、あいかわらずだった。
「話し合い?」
「その……旦那さまのことで、コルボーン伯と、お話をされたのですよね……?」
「ああ、そのことか。それなら父上を告発することに決まったよ」
「え……?」
ヘンリーの言葉に、ヘイゼルは唖然とする。
「お、お待ちください……! 旦那さまへの疑いが、不当だからと……そのことを、訴えにいったのでは、なかったのですか?」
たどたどしい口調ながらも、まっすぐと自分に意見を言うメイドに対して、ふつふつと苛立ちがこみ上げてくる。
「父上は魔物集団暴走(スタンピード)の報告を一部隠匿している。これは国家に対する叛意ありと取られてもおかしくはない」
「そ、それは、混乱を避ける、ためで……」
「だが事実は事実だ。そのことでサリス家が取り潰しにならないとも限らない。だから父上を告発し、王家に対する恭順の意を示せば、辺境の統治はともかくサリス家自体は存続されると、パトリックさまから約束をいただいている」
「お、お待ちください……!」
「僕が家督を継いだあかつきには、危険な辺境の統治はコルボーン伯爵に任せるかたちになるだろう。僕たちは王都に拠点を移し、王国をもり立てるために働かなくちゃいけないな」
「ご主人さま、なにをおっしゃって……?」
「ああ、それから、姉上を王都にお呼びしなければ。姉弟で手を取り合って、サリス家を――」
「ちょっと待って!!」
ヘンリーの言葉を遮る様に、ヘイゼルが声を上げた。
通常の主従であれば、ありえないことだ。
だが、ヘンリーとヘイゼルの関係は、少し複雑だった。
「ヘンリーちゃん、言ってることがおかしいよ!!」
ふたりは幼馴染みだった。
ヘンリーの父ウィリアムと、冒険者だったヘイゼルの父親は友人同士で、その関係もあって歳の近いふたりは幼いころから仲がよかった。
しかしあるとき、ヘイゼルの父親が死に、身寄りのない彼女はサリス家の住み込みメイドとして引き取られ、ヘンリーの専属となった。
それから共に成長したふたりは、思春期のころに男女の関係となった。
「お前、誰にものを言っているんだ?」
ただ、ふたりの関係は普通の男女関係とはいいづらいものだった。
「ひぃ……」
ヘンリーに睨みつけられたヘイゼルは、短い悲鳴を漏らした。
その怯えが、若い主人の情欲に火をつける。
「生意気な口、利きやがって……!」
勢いよく立ち上がったヘンリーは、ヘイゼルの髪を掴んだ。
「いぎっ……!」
亜麻色の髪を乱暴に掴まれ、ヘイゼルは苦痛に顔を歪める。
「メイドの分際で僕に口答えするなんてなぁ!」
「ご、ごめんなさいっ……!」
ヘンリーは髪を引っ張って彼女を自分の元に引き寄せると、手を離した。
「なんだよその口の利き方はぁっ!!」
怒鳴りながら、ヘイゼルの頬をぶった。
「ああっ……!」
思い切り頬をぶたれた彼女は、床に倒れた。
そこへ、ヘンリーが覆い被さる。
「や……待って……!」
「うるさい!!」
もう一度、頬をぶつ。
そしてヘンリーは、ヘイゼルを仰向けにし、足を開かせると、スカートをまくり上げてショーツを剥ぎ取った。
「いやっ、ヘンリーちゃん……」
「だからその口の利き方はなんだぁ!!」
さらに頬をぶつ。
「ひぅっ……! も、申し訳ございません、ご主人さまぁ……」
幼馴染みの謝罪を聞き流しながら、ヘンリーはベルトを外し、ズボンを下ろしてイチモツを露出させた。
それはすでに硬直し、腺液を垂れ流している。
その先端をヘイゼルの秘所に押し当てるなり、ヘンリーは腰を前に押し出した。
「んぁああっ!」
前戯もなしに挿入された肉棒だったが、それはほとんど抵抗なく、ぬるりと根本まで飲み込まれた。
「ははっ! ぶたれてここを濡らすなんて、相変わらず変態だな、お前は」
「うぅ……」
恥ずかしげに顔を逸らす幼馴染みを見て、口元をいびつに歪めながら、ヘンリーは激しく腰を振り始めた。
「んっんっんっんっ……!」
ヘイゼルは眉を寄せ、耐えるような表情でくぐもった声を漏らした。
どこか苦しげな表情とは裏腹に、肉棒が膣壁をこするたびに愛液があふれ出し、接合部からずちゅずちゅと卑猥な音が鳴り続ける。
「はぁ……はぁ……」
目を血走らせ、腰を動かし続けるヘンリーの両手が、ヘイゼルの襟にかけられる。
「や……ご主人、さま……!」
ふるふると首を横に振るヘイゼルに歪な笑みを向けながら、ヘンリーは彼女のブラウスを無理やり開いた。
ボタンがいくつもはじけ飛んだブラウスの下から現れた下着も、すべて力づくで剥ぎ取る。
白く、小ぶりな乳房が露わになった。
その控えめな双丘を前に、ヘンリーは眉を寄せた。
自分が求めているのは、これではない。
ヘイゼルを犯すたびに、その思いが湧き起こってくる。
「ぐぅ……姉上ぇ……!」
ヘンリーの心には、常にアラーナがいた。
彼が心の底から愛しているのは、姉だった。
ヘイゼルは、姉に対する情欲のはけ口にすぎない。
そういう思いで、ヘンリーは彼女を犯し続けた。
「んぅっ……」
乳房に手を置くと、ヘイゼルの身体がピクンと震えた。
手には、小さな弾力が返ってきた。
だが、姉の胸は、もっと大きいはずだ。
もっと弾力があって、でもすべてを包み込むように柔らかいはずだ。
そんなことを考えながら、ヘンリーは幼馴染みの小さな胸を思い切り鷲づかみにした。
「んぎぃぃっ……!」
ヘイゼルの顔が苦痛に歪む。
それを見て、肉棒がドクンと脈打った。
彼女の苦しそうな顔を見るのは、好きだった。
乳房を掴む手に、さらに力を加える。
「んぃいいぃいぃぃ……!!」
歯を食いしばり、涙を流しながら、ヘイゼルは何度も首を横に振った。
そうやって彼女の顔が痛そうにしていると、腰のあたりがゾクゾクしてくるのだ。
膣がギュウっと締まる。
歪な笑みとともに幼馴染みを見下ろしながら、ヘンリーはその狭い膣道を何度も何度もこすりあげた。
「んはぁ……はぁ……はぁ……」
乳房を離してやると、ヘイゼルはほっとしたように表情を緩めた。
だが、休む間もなくヘンリーは解放した乳房を平手打ちにした。
「あひぃっ! ひぐぅっ……!」
腰を振りながら、左右の乳房を強くぶった。
そのたびに、ヘイゼルの膣がキュンキュンと締まる。
どこをどう攻めれば、彼女がどう反応するのか。
何度も犯しているうちに、それはわかるようになった。
「もう、ゆるしてぇ……」
何度も平手打ちを受けたヘイゼルの乳房が赤く腫腫れ上がるころに、限界が訪れた。
――ビュルルルッ!! ビュルルッ!! ドビュッ……!
なにも告げず、膣内に精を放った。
「んぁ……あ……んっ……」
根本まで膣内に咥えこんだイチモツの脈動に合わせて、ヘイゼルは短い喘ぎを漏らした。
○●○●
さらにヘイゼルをいじめ抜いたヘンリーは、気絶するように意識を失った彼女を放置して、ひとり寝室で眠りについた。
そして翌朝、ヘンリーはすっきりとした気分で目を覚ました。
「おはようございます、ご主人さま」
寝室を出ると、いつものようにヘイゼルが迎えてくれた。
昨夜あれだけいたぶったにもかかわらず、彼女は普段どおりの態度でヘンリーを受け入れた。
心なしか肌つやがいいのは、気のせいだろうか。
「ご主人さま、旦那さまのことですが……」
「ん? ああ、そうだな。今日は何人かの有力貴族に会ってくるよ。父上が、叛乱などとばかばかしいにもほどがあるからな」
「え……?」
驚き、目を見開くメイドの姿に、ヘンリーは首を傾げる。
「どうした?」
「いえ、その……昨日とおっしゃっていることが……」
「昨日? そういえば昨日はパトリック様のところへ行って……」
そのときになにか重要なことを言われたはずなのだが、うまく思い出せない。
「まぁ、いいか」
だが、思い出せないことに疑問を抱くこともなかった。