プールでのプレイを楽しんだキースはそれからもう一度ずつそれぞれバラバラに女性陣を誘った。

 ナイアには水に慣れさせる為だし、アイシャとベルナとレオノラは機嫌を取る為だ。

 あの複数プレイでアイシャとレオノラは、依然とまるで変わらない関係のままだった。

 ベルナとシタあと二人の元に行くと、

「この色情狂の変態エルフ!!わ、わたくしをよくも犯しましたわね!!」

「なに言ってる!!あれはキースが……わたしはそんな!!」

「わたくしの胸を触って、吸って……それにき、キスまでぇ!!わたくしの唇はキースだけのものですのにぃ!!」

「ふ、ふん!!なんだ喜んでたくせに!!私に触られて変な声あげてたくせに!!キスだって舌を絡めて来たのはお前の方だろ!!このスキモノ!!」

「うぎぃいいいい!!言うに事欠いてぇ!!」

 ああ、この二人は全然ダメなんだとキースは実感した。

 何をやろうがどうしようが仲良くはならない。永遠のライバルである。

 キースに出来るのは精々この二人をなるべく会わせないようにする事だけである。

「でも……この二人、同時にヤルとすっげぇいいんだよなぁ」

 つい本音を漏らすキースにアイシャとレオノラは食って掛かった。

「キース!!この馬鹿者ぉ!!私に変な事させて!!」

「キース!!何でこんな女にわたくしを!!身体が汚れてしまいましたわ!!」

 二人とも酷い事をした本人であるキースに詰め寄ると、すぐに抱きついて互いを睨み悪口を言いあう。

 責めるべき相手を間違えているのだが、それがアイシャとレオノラなのである。

 ぎゃあぎゃあ言い合う二人だったがキースが急に「ひょわ!」と言うと視線を下に向けた。

 そこでは激しい躾を受けたベルナが蕩けきった顔でキースのおちんぽをしゃぶっている。

「んちゅ、ちょっぷ、れろ、れろれろ……もういっかい……しつけ、してくらはい。んちょぷ」

「「またベルナはぁ!!」」

 そこからは怒涛の4Pが朝まで続いた。

 それでも機嫌を取る為に個別に可愛がらなきゃいけなかったのだから大変だと思った。

 全部自業自得の癖に偉そうなキースである。

 ひと段落ついて今日は何も予定がないので久し振りに落ち着いているキースは部屋でだらけていた。

 新年始まって一月なのに毎日毎日肉体酷使の連続だった。

 筋トレは今も続けているが、それとは別にアッチの方も大変だ。

 多分キースの人生で今が一番性的に忙しい毎日だろう。その影響かこの国に来た時より格段に性欲が上がっている気がする。

「……十代の時よりサカってるよな……おれ」

 自分で分かっているのだから世話の無い話である。

 でもあそこまで美人のエルフ娘達に日々言い寄られて盛らなければ自分ではないとキースは思っている。

 女に求められて突っ込んであげれないようなら生きて行く資格がない。

 名言ぽいが馬鹿としか言いようがない。

 そんなアホな事を考えて、キースはムクリと起き上がるとベッドに脚を置いたまま手を床に置いて腕立てを始めた。

 するとすぐにルーがその背に乗っかった。

「頑張るニャ!!ご主人に必要なのは獲物を狩る虎の眼ニャ!!発情した犬の眼じゃないニャ!」

「黙れ駄猫!!ああ、くっそ……お前太ってないか?」

「成長期と言って欲しいニャ」

 使い魔とそんな事を話しながら今度は床に寝て脚をベッドに置きクランチをやってる時だった。

『……キース……聞こえてる?』

 不意に頭の中に念話が入りキースは驚いて動きを止めた。

 脚を押さえてくれていたルーが「ふニャ?」と不思議がるのを放っておいて念話に思考を切り替える。

『え?だれ?』

『……わたし……ロアナよ』

『え?あ、すみません。なんか一瞬分かんなくて、どうしたんですか?』

 念話の相手はロアナだった。

 ロアナはキースの問いかけに暫く黙っていた。どうしたのだろうとキースが声をかけようとすると、

『おねがい……たすけて……うぅ、おねがいよ』

 その声にキースは真面目な顔で起き上がり汗まみれのシャツを脱ぐと着替えはじめた。

『この感じだと近くですよね?今どこですか?すぐ行きますから……聞こえてますか!?』

『うん……ごめんなさい……今ね』

 指定された場所を思い浮かべると、キースはルーに「出かける」と言い残して転移魔法を使った。

「……久しぶりのマジな目ニャ……あいおぶざたいがー!」

 猫の声は主人には届かなかった。

   §§§

 込み上げてくる吐き気を抑え、口の中の嘔吐物を無理矢理飲み込んでキースはロアナを探した。

 基本的に泣きやすいとはいえあのロアナがあれだけ取り乱して「助けて」なんて言うのだからよっぽどの事があったのだろう。

 色々考えてみるが一番はやっぱり妊娠したかもしれないと言う事だろう。それならあの狼狽加減も頷ける。

 そうしたら大問題だが、責任は取らねばならんだろう。

 俺も遂に年貢の納め時か?なんて古臭い事を思いつつ、絶対姫様泣くだろうしアイシャは怒るだろうしベルナは付いてくるだろうしレオノラ鬱になるだろしアーシは犯されたと訴えるかも知れない。

 そんな事になったらロアナもただでさえ不安定なのに更にマズい事になって……。

「ああ……ヤバい……絶対ヤバい……ヤバいけど……どこにいんだよ!」

 指定された公園の中を見回すキースはつい声を荒げてしまった。

 ベンチに座って待っていると言っていたのに全然姿が見当たらないのだ。

 念話で語りかけようとすると、後ろから「キース」と声がかかった。

 ロアナかと振り向くが違う。座っていたのは別なエルフだった。

 だがそのエルフが泣きそうな顔でキースを見て、

「キース、来てくれたのね」

「………え?……だれ?」

 キースの言葉に涙を流して泣きだしてしまう。

「うぅう……わたし……なのに……うぅうう」

「え?……ええええええ!?ろ、ロアナぁ!?」

 衆目を集めてしまうほどキースは叫んでしまった。しかし仕方がないかもしれない。

 キースが必死になって探していたのはおっとり系の未亡人熟女エルフだ。

 けれど、今目の前にいるのはどう見ても15、6歳にしか見えない少女である。

 そんな少女がハラハラと泣いている前で大声で叫ぶなんて醜態を晒すキースは人目が集まり過ぎたので慌ててロアナ――と名乗る彼女の手を引き走り出した。

 一応有名人なので人目を引くの憚れるのだ。

 取り敢えず人気のない森の中に入ったキースとロアナはその場で立ち止まると視線を合わせた。

 ロアナは突然のダッシュに驚き息を切らしていたが、その目はまだ濡れていた。

 一方のキースは突然の出来事に混乱していた。

 熟女を探しに来たら少女がいて自分が熟女だと名乗るのだ。無理もない。

 しかし、よくよく見ればその少女は確かにロアナ――に似ている。

 白金髪で目は翠色。真っ白な肌で儚げなイメージ。どこかナイアに似ている気がする。

 イメージがそれでも結びつかないのは、この少女が細いせいだろう。

 ロアナはどちらかと言えば肉感的なイメージである。けれどこの少女は薄い。胸もお尻も同年代のアイシャに比べて小さいのだ。

「あの……ろ、ロアナ?」

「ぐす……キース、分かってくれたの?」

「あ、いや……えっと、ロアナ、なんですよね?」

「……ぅう……そうよ……そうなのに……分かってくれないのねやっぱり」

 盛大に泣きそうになるロアナにキースは慌てて取り繕った。

「いや!えっと、だってほら!!若いし!!年齢違い過ぎますし!!」

 するとロアナはいつもの恨みがましい目を向けてきた。

「……あなたのせいよ……キースのせいなんだからぁ!!わ、わたし……わたしぃ」

「だぁああ!!泣かないで話が進まないからぁ!!説明して下さい。ちゃんと説明!!」

 そう言うキースの声にロアナはゆっくりと事の次第を話し始めた。

 元々はお店の掛け売りから始まったらしい。

 死んだクルトの頃からの付き合いをしている人物に掛け売りをしていたら、その人がある日蒸発したそうだ。

 慌ててお金を取り立てに行ったら、他にもお金を貸している人やらなんやらが来ていて揉めに揉めた。

 最終的にはその蒸発した人が持ってる倉庫の中身を分けとると言う事で話は納まったが、どう見てもガラクタばかりで代金には見合わなかった。

 それでも仕方がないので自分の分を店の従業員と一緒に持ち帰り、一人で確認をしたロアナは、その中に凄い物があるのを発見した。

 それは少し大きめの魔血石だった。

 ただでさえ希少価値の高い魔血石が、この大きさとなると凄い値がつくだろう。

 掛け売りしていた代金なんて話にもならない。

 よかったと思いホッとした時、ロアナはある事を思いついてしまった。

 キースとアイシャの事である。

 若くて美しいデザート・エルフの娘。一方自分は子持ちの300歳越えだ。

 でも、この石と前にキースが使わせた活性化があれば自分も若い姿でキースに逢える。

 アイシャと同じ年齢の自分で勝負が出来る。そう思ってしまったのだ。

 はっきり言ってこの石は店の物である。今までのロアナだったら思いついたとしても使う事はなかっただろう。

 だが今のロアナはキースと言う男に堕ちきってしまっている女である。

 キースが自分を可愛がってくれる度合いが増す方法を思いついてやらないなんて選択肢はないのだ。

「この大きさなら……200歳位若返れるわよね……うん」

 誰もいない深夜の店内で一人そう判断したロアナは、キースが前に教えてくれた活性化の式を思い出し組み立てる。

 それに魔力を乗せ、そこに魔血石からも魔力を引き出し始めた。

 キースにかけた魔力量で20歳分なら単純計算で十倍すればいいだろうとロアナは魔力を溜め圧縮し続けた。

「まだ……もうちょっと……もう少し……」

 ガンガン溜まってゆく活性化の魔法円の内部魔力。それに比例して色が悪くなり魔力が無くなる魔血石。

 あと少しで200歳分だとロアナが気を抜いた瞬間――パキッ!――と音を立てて魔血石が割れた。

「え?あ!……きゃああ!!」

 驚くロアナの前で活性化の魔法円は弾け、自分の身体に魔力が逆流する様に流れた。

 有り得ない痛みが全身を襲い、悲鳴を上げて床に倒れたロアナは気が付いたら、

「身体が若返っていたと……」

 キースの言葉にロアナはコクリと頷いた。

 何と言っていいか分からず黙り込むキースにロアナは再び泣き出した。

 ハンカチを渡しながらキースはこれが喜んでいい事なのかどうなのか迷った。

 あのロアナが店の物を着服してまでキースを第一考え始めたのはいいが、それでこんな目に遭っていれば世話ないだろう。

 しかし、それだけ思ってくれる健気さは可愛い。けれど300歳越えの大人が魔法の失敗でとは……。

 色々考えるが取り敢えず問題の魔血石を見せて貰った。

「うぉ、見事に割れとる……」

 全体に罅が入り、真っ二つになった魔血石は中に魔力が欠片も入ってなかった。

 試しに内部をスキャンしてみる。

「……ああ、一気に魔力を引き出し過ぎたんですよ。暫く使ってない状態でそんな事したから壊れちゃったんですね」

「そ、そんなぁ」

 分かっていた事だが改めて言われるとショックが大きいロアナだった。

 若い身体になって初めは少し喜んだが、魔血石が割れたのを思い出すとすぐに青ざめた。

 握っていたそれを何度も確認して魔力を流してみるがうんともすんとも言わない。

 これが無ければロアナは元の姿に戻れないのだから一大事だ。

 混乱しそうになるのを我慢して店に急用があると書きおきして、家で住み込みをしている侍女のフィルにエルネの事を頼んで急いでセイムラッドに向かった。

 キースならどうにかしてくれると信じてだ。

「ねぇ、キースも魔血石を持っているでしょう?あれがあれば戻れるわよね?大丈夫よね?」

 縋りついて聞いてくるロアナにキースは首を左右に振った。

「俺の持ってる石の内部魔力だと一気に戻すのは不可能です。40歳位ずつ戻して……魔力が溜まるのにかかる時間も考えて1週間くらいかな」

「……うそ……ああ、どうしよう……どうしたらぁ」

 そんな長い期間家と店を放っておくわけにはいかない。今だってすぐに戻ると言って出て来ているのだ。

 自分の馬鹿さ加減に絶望するロアナをキースは抱き締めた。

「大丈夫です。魔力の事なら問題ありません。俺がどうにかします」

 夜鶲の魔力を無尽蔵に使えるキースには今や魔法に関して恐れる事はないのだ。ただし攻撃魔法以外はである。

「だ、大丈夫って……そんな!無理よ……キースの魔力じゃ絶対」

 だがそれを知らないロアナは涙を流しながら反論した。

「信用無いですね。大丈夫って言ったら大丈夫なんです。信じて下さい……」

「無責任な事言わないで!!わたし……エルネに何て言えば……うぅ、わたし、んんっ……ちゅ、ちゅぷ」

 落ち着かせる為にキースはロアナの唇を塞いだ。

 精神安定剤代わりのキスは優しく、抱き締める腕も力強かった。

 少しだけ抵抗したロアナも、キースの吐息が口の中に入って来ると落ち着いて身体を任せて来た。

「れちゅ、ちゅぷ……落ち着いて。俺がロアナを絶対に守りますから。頼ってくれて嬉しいんです。だから信じろよ」

 頬を撫でるキースの手に手を重ねて、ロアナは掌にキスをした。

「ほんと?信じていいの?」

「ええ、俺が啼かせる以外でロアナが泣くなんて嫌ですからね。ロアナが泣いていいのは俺と寝ている時だけですよ」

 その台詞にロアナはリラックスしたのか「ばか」と呟いて抱きついて来た。

 中身は確かにロアナだと話していて分かったが、その身体は若々しく瑞々しい。

「……それじゃ取り敢えず場所を移動しましょうか。元に戻るにもここじゃね」

「え、ええ……分かったわ」

 大人しくついてくる少女姿のロアナを連れて、キースは一路宿へと向かった。

 宿に着いた時、ロアナは少し驚いた。そこはいつも泊まっている高級な宿ではなく安宿だった。

 安宿と言っても造りはしっかりしていて、はっきり言うと男女が愛の営みをする為に多用される系の宿である。

 活性化の逆式をかけるだけなのでここにしたのかと思ったロアナだったが、すぐにそれが間違いだと気付いた。

 キースがロアナの身体を抱き締めベッドに押し倒したからだ。

「や、なに?あ、ちょっと!キース!ばかぁ……こんな時に何考えてるのよ!!」

 胸を揉みスカートを捲り上げようとするキースをロアナは叱り付けた。

「え?だってわざわざ俺の為に痛い思いしてなってくれた姿なんでしょ?それを抱いてあげないなんて出来ませんよ」

「それは……でも……だって」

「それにいつもの大人なロアナも綺麗ですけど、この姿のロアナは可愛すぎます……おれ、正直言ってこんな綺麗で可愛いエルフは見た事ないですよ」

 押し倒された少女姿のロアナはその言葉に頬を赤らめ視線を逸らした。

「こんな可愛い姿を見せて俺に我慢しろなんて残酷な事言うんですか?いいですよそれなら……最初の時みたいに襲ってあげますよ」

「おそうって……あ、まって!わかったわ…わかったから!おねがい……乱暴にしないで」

 潤んだ瞳で見上げるロアナにキースは微笑むと優しく唇を重ねた。

(やっぱ若い娘とヤル時はこう言う安宿に限るよね!少女ロアナ……無理だと思ってたけど、うう!昂ぶるぅ!!)

是非ともロアナに聞かせたい心の声を上げてキースは自分の身体の下にいる超絶美少女(中身は熟女)の身体を味わい始めた。