場所を特定してそこに飛んで行く転移魔法ではなく、人物の魔力を察知しその人の元へ飛んで行く上級の転移魔法を使ってキースはある部屋にやって来た。

 初めて無断で侵入した部屋は、とってもいい香りがしてキースの心を落ち着かせた。

 部屋は整理が行き届いており、というかあまり余分なものが置いてなかった。

 テーブルと椅子と化粧机に簡単な戸棚が一つあるだけ。その戸棚の中身もあまり物が入っていなかった。

 かと言って生活感が無い訳ではなく、優しい人が住んでいるんだろうなと言う気配が伺える部屋だった。

 酔い止めのお蔭で何とかゲロを吐かずに済んだキースは、若干の気持ち悪さを堪えてそんな部屋を見渡した。

 そして深呼吸して部屋の匂いを吸い込むと、ベッドで寝ている住人の元へ抜き足差し足で近づいた。

 穏やかな顔で布団にくるまって寝る小柄なエルフ。寝顔も可憐でつい悪戯したくなるそのエルフはベルナだった。

 そう、この部屋はベルナの部屋なのである。

 宮殿の横に建てられた男女別の使用人専用住居棟。その一室にあるベルナの私室である。

 今まで何度も部屋に呼んだ事はあったが、こうして逆にやって来るのは初めてで、新鮮さに少しだけ胸が高鳴る。

 キースはリラックスした表情でスゥスゥ寝息を立てるベルナの顔をじっと見つめた。

 ベルナはいつもキースより後に寝て先に起きるので、こうして寝顔を見る事は稀だった。

 激しい責めで気を失ってそのままと言う事はよくあるが、そう言う時は大抵乱れた顔のまま眠りについている。

 だからこうやって心底安心そうに、子供の様な表情で寝ているベルナを見るのは久しぶりだった。

「……やっべ、睡姦してぇ……」

 最低最悪な事をボソリと呟くキースは、お人形みたいなベルナの安眠まんこをぐちゃぐちゃに掻き乱し、そのまま眠り顔に顔射する妄想をして股間を疼かせた。

 今さっきナイア相手に出したばかりで、幾ら精力剤を飲んだと言っても僅かな時間で性欲が回復している。

 どこまでも果てしない煩悩と精液と女への想いを持っている下種だった。

けれど今はとその気持ちを抑え込み、ベッドに座ると寝ているベルナをそっと起こした。

「ベルナ……ベルナ、起きてくれますか?べ~るな」

 優しくユサユサと揺すり動かすと「うぅん……」と言う声と一緒にベルナの瞼が薄ら開いた。

 暗い部屋の声のかかった方を見つめたベルナはポヤポヤした表情で、

「……ごひゅじんさま?……あぅ?」

 聞いた事もないような幼い声でキースの事を見つめた。

「そうですよ~。ベルナの飼い主キースで、うわ!」

 キースが自己紹介をしている途中でベルナは嬉しそうに微笑むと両手を伸ばして抱きついて来た。

 首に廻された手に驚いていると、ギュッと寝惚け力で精一杯抱きついたベルナは、

「ゆめでもあえた……うれしぃです……んんっ」

 そう言ってキスして来ようとするのでキースは慌てて説明した。

「夢じゃないですよ!夢じゃないです!!あ、いや、これはこれで可愛いし嬉しいけど……ちょっとベルナ!!寝惚けないで!!」

 夢ではないと言われたベルナは「ほぇ?」と言うと目を瞬かせた。

 そして段々と覚醒してくると、ほんの少しいつもの無表情とは違う驚きを浮かべた。

「……ご主人様……何なさっているんですか?」

 抱きついたままそう言われたキースは色々考えた挙句、

「……ちょっと夜這いに」

 下らない冗句をかまして場を白けさせた。

 そうやって寒い流れで何とか完全に目を覚ましたベルナはキースと一緒にベッドに腰掛けていた。

 いきなり男が部屋に侵入して来たら怒るのが普通だろう。特に転移魔法なんか使われたら尚更だ。

 しかしベルナは突然やって来た事に対して驚きはしたが別段怒っている様子はなかった。

 若干寝乱れた金髪を手櫛で直しながらキースの横にちょこんと座っている。その格好は寝間着のままである。

「突然すみませんこんな時間に……」

 キースの言葉にベルナは髪を直す手を止めて「いえ」と呟いた。

「来るかもしれないからとアイシャ様が……私もそう思っておりましたので。ただこんな夜中にとは思いませんでした」

「色々準備があったもので。ごめんなさい、気持ち良さそうに眠ってたのに」

 まさか姫様の後で御座いますとは言えないのでそこははぐらかした。

 腑に落ちない点はありながらも深くは突っ込まないよく出来たペットにキースは早速話題を切り出した。

「……それでですね、突然来たのは訳が」

「はい……ルーさんの事、ですね……申し訳ありませんでした」

 総てをキースが言い切る前にベルナは頭を下げて来た。

 来るかもしれないと思っていた。その言葉通りに来た時の事を色々考えていたのだろう。

 そして何よりもまず真っ先に言わなければいけない事がルーの事だとベルナは決めていたのだ。

「幾ら知りたい事があったとはいえ、あれはやり過ぎだったと反省しています……本当にすみませんでした。ルーさんにも朝になったら謝りに行こうと思っております」

「そう、ですか……ルーもきっと許してくれると思いますよ」

「だと……いいです」

 顔を上げる無表情エルフと視線を合わせて、キースはそれよりも重要だと思う話を始めた。

「でも、ベルナをそこまでさせるほど追い込んだのは俺なんですよね……」

「………わたしは」

「ベルナがそこまでリズの事を知りたいと思っているなんて……気付けなくてごめんなさい」

 謝られるとどうしていいか分からなくなってベルナは俯いてしまった。

 人の過去を根掘り葉掘り聞くのはいけない事だし、自分でもされたら嫌な事は分かっている。

 特にベルナは前の彼氏の事を聞かれたら戸惑うだろうし答えられないと思う。

 身体は許していないが、あの瞬間確かにその気持ちはあったし、実際口でだけだが愛撫してあげた事さえあるのだ。

 語りたくない過去を持っている自分が、どうしても知りたい気持ちを抑え切れずにやってしまった行為。

 責められこそすれ、謝られるなんて、自己嫌悪で胸が苦しくなってしまう。

 それを上手く言葉に出来ないベルナが黙っているとキースは、

「だから、ベルナにだけは本当の事を言います。これは……ナイア様にもアイシャにもレオノラにも言いません……ベルナだから言うんです」

「そ、そんな……の、だめ……わたし、そんな資格ない……です」

「ありますよ。ベルナだから……俺の可愛いペットだから。ベルナにだけは言おうって決めたんです」

 そう言ってキースはリズの事を説明し始めた。ナイアに言った様に妹だと嘘をつくのではなく、本当に昔関係があった女性だと説明した。

 詳細の部分は割愛した部分もある。関係を持つに至った経緯とか、どうやって堕としたかとか、そして一番大事な結社を辞めた理由などもだ。

 ただ、昔結社に居た頃に関係を持っていて、もしかしたら結婚していたかもしれないとだけ伝えたのだ。

 これはベルナにだからこそ言える……いや、ベルナだからこそ言わなければならない事だった。

 他の女性陣の様にリズと言う女性の存在にベルナは嫉妬している訳ではない。純粋にその女性がペットなのかどうなのか知りたいだけなのだ。

 実はキースパーティーの中で一番立ち位置を気にしているのはベルナなのである。

 自分はペット。キースにとってただ一人のペット。自分だけがキースに飼って貰っている。

 この立ち位置だけは誰にも譲れないし、譲る気もない。そして増やしていいとも思っていない。

 だからナイアやアイシャやレオノラがリズとは誰か聞いている時もベルナはペットではないですよねと確認を続けたのだ。

 勿論そこに気付いていたキースは、今回の後始末ツアーを行う時、ベルナにだけはリズの事を教えなければいけないと感じていた。

 そうしなければベルナは他の誰よりこの事を気にするだろうし、尾を引いてしまうと思った。

 けれど逆に言えばここではっきりさせておけばベルナの気は晴れるだろうし、それにこのペットはキースが内緒だと言った事を他のメンバーに漏らすような事は絶対にない。

 そう考え、ベルナにだけは真実本当のリズの事を教えたのだ。

 キースから出された情報の総てを聞き終わり、ベルナは「そうですか」と呟いて顔を逸らした。

 あれ?思っていた反応と違うぞ?とキースは心で焦ってしまう。

 想像では、話を聞き終わったベルナが「ペットは私だけですね。わーい」と抱きついてくるはずだったのだ。

 そう思って頭に?マークを浮かべていると、ベルナが小さな声で、

「……そのリズさんと言うお方は……置いて行かれたのですか?」

「え、ええ……明日をも知れぬ身になるんですから、巻き込むわけには」

 問いかけの答えを聞いたベルナは顔を上げてキースを見つめた。その顔はいつものベルナからは想像も出来ない程歪んでいた。

 眉根を寄せ、唇は噛み締めわななかせて、不安で押し潰されそうな顔だった。

「わたしは!……巻き込んで欲しいです。絶対……巻き込んでくれなきゃ……だめです」

「べ……べるな」

「ご主人様がどこかに行くなら私も絶対一緒に行きます。ご主人様がどこかで倒れたら私が守る……ご主人様が死んだら一緒に死ぬもん……だから、どこにも置いてっちゃヤダ……やだよ」

 キースの服の袖を摘まみ、泣きそうな顔をまた俯かせたベルナの身体が優しく抱き締められた。

 それでもまだ反応を見せないベルナの耳に口を寄せ、キースは子供を安心させる親のような声で語りかけた。

「こんなに飼い主想いのいいペット、捨てて行けるはずないでしょう?……でも、そうなったらきっと苦労させる事に」

「構いません……ご主人様と一緒にいられるなら……わたし、治癒魔法も頑張ります。それに雑草だって料理できます。役に……立ちます」

「はははは、それは頼もしいですね。うん、それならベルナはずっと一緒に居なきゃ。頼りになる俺だけのペットですからね」

 「はい」と赤い顔で嬉しそうに微笑んだベルナはキースの口に吸いついて来た。

 セックスで興奮状態にある訳でもないのに自分からキスをしてくるなんて珍しいと驚きつつそれに応えるキースにベルナは必死になって抱きつきキスをしてくる。

 飼い主に一緒に連れて行ってもらえると聞かされたペットの素の反応だった。

 これはこのままイケそうだと思ったキースはベルナの機嫌を取る為に用意したとっておきをしようと決めた。

 キスをやめてもまだ抱きついて離れようとしない甘えん坊になってしまったベルナにキースは、

「ベルナ、リズの事は誰にも言っちゃダメですよ?ベルナだから話したんです。アイシャやナイア様には」

「はい。分かっております。絶対に言いません」

 自分だから、ベルナだから、その言葉がどれだけこのペットを喜ばせる台詞かキースは分かって使っている。実にあざとい。

 しかしそのあざとさにまんまと乗ってしまうベルナは尻尾があったら振りそうな勢いで喜びを見せた。

 ここぞとキースはエロに持ち込む為にベルナを褒める。

「偉いですね。飼い主の言う事を守る最高のペットです!そんなベルナにはいいものをあげますね」

 いいものと言われてベルナはキースの事なので当然いっぱい可愛がってくれるのかと思った。

 赤い頬のままコクリと頷き、欲しいと言う意思表示をするベルナにキースは微笑んで転移魔法を使った。

 するとその手に何やら重そうなもの現われ、キースの腕を下げさせる。

 重そうに持ち上げるそれは何やら液体の入った大き目の瓶だった。

「あの……それ」

「これがベルナへのプレゼントです」

「これ……何ですか?」

 キースから少し離れて瓶を見つめるベルナに、キースは誇らしげに説明した。

「これは、俺特製の身体にいいローションです!!」

「ろーしょん……からだに?」

「ええそうです。食べられるローションはもう普通に売られていますけど、あれはあくまで食べられるだけです。しかしこれは違います。これは何と身体にいい薬用成分が27種類も配合され、塗っても良し食べても良しの代物なんです!!」

 そう言われてもベルナは「はぁ」としか言えなかった。確かに凄そうだが、そんなもの貰っても一体どうすればいいのか分からない。

 キースに可愛がって貰った後に叩かれたお尻や抓られた乳首にでもつければいいのかと思っていると、

「この食べても安心……いや寧ろ食べた方が身体にいいローションを使ってなら、ベルナと特別な遊びが出来るんです」

「特別な遊びですか?」

 首を傾げるベルナにキースは頷いた。

「ベルナならとっても楽しめると思うんです。どうです?やってみますか?あ、でももう遅いから……明日も仕事ありますしね」

 どうしようかという顔をするキースにベルナは「平気です」と一言言ってから、

「大丈夫です……やって、みたいです」

 折角キースが用意して来てくれて、楽しめるとまで言ってくれたのだ。

 今ここまで身体が嬉しさで温かくなっているベルナに、断ると言う選択肢はなかった。

「そうですか!それじゃ……」

 キースは瓶を置くとベルナの寝間着を脱がし下着も取って真っ裸にさせた。

 それから自分も服を完全に脱いで、もう一度転移魔法を使って防水シートを呼び出す。

 床にそれを敷き、ベルナをその上に座らせると自分はシートの上に置いた椅子に腰かけた。

「ベルナ、お口開けて上向いて下さい」

 脚を広げて座るキースの股間にやって来たベルナに上を向かせ口を開けさせる。

 言われた通りにするベルナの咥内に栓を開けた瓶を傾けローションを口から溢れ出るまで垂れ零した。

「まだ飲まないで下さい。そのままで……」

 ベルナの小さな口ではすぐに一杯になり、敷いて置いたシートの上にローションがベルナの身体を伝ってダラダラと落ちた。

 口の中にローションを溜めたベルナはそれを感じながら鼻で息をしている。

 ローションには微かに花の香りがついていていい匂いだった。ただし味は少し苦い。

 ここまでくるとベルナも何となくやればいい事が分かって来た。そしてキースはそんなベルナに思った通りの事を指示してくる。

「さ、ベルナ。それでそのままフェラをしてみましょう。おちんぽに口のローションをいっぱいつけて、フェラチオです。勿論苦しくなったら飲んでもいいですからね。まだまだ沢山ありますから!」

 キースのおちんぽを舐められるのは嬉しいけど、これのどこがベルナにとって特別に楽しめるのだろうか?

 よく理解出来ないまま、ベルナは指示された通り、椅子に座るキースの股間に顔を寄せローションに塗れた口を開けるとおちんぽにそれを垂らしながらまだ大量に残っている咥内に肉棒を迎え入れた。

 滑った温かい感触が肉棒を包み込み、萎んでいた雄器官は一瞬で膨らんでゆく。

 ローションフェラの始まりにキースは息を吐くような快楽に震える声を出した。