夜鶲の小さくてプニプニのまんこ粘膜は舐めている舌を押し返してくるほどの柔らかい弾力があった。

 キースはそこを舌先で隅々まで、特に落ち窪んだところは容赦なく舐めとってゆく。

 見られながらしたおしっこの気持ちよさに感度の上がったおまんこを、さらにキースが清めてくれている。

 そんな最高の気分に夜鶲は身悶えしながら腰をくねらせ喜びに踊る。

「はぅ!きゃふ!!うぉぁ!……はみゃ!!おしっこ、しゅるとこ、ほじくるにゃぁ!!ほじくるにゃというとるじゃろ!!あぁああ、うぅう!!」

 尿道口を舌先で甘くぐりぐりと弄られ、中から更に尿の雫を取り出そうとするキースの舌遣いに夜鶲は腰を浮かせた。

 小さな身体を必死に雌悶えさせ、男に開発されてゆく行為に夜鶲はもう何の迷いも抱いていなかった。

 キースと自分だけの関係。他の誰とも違うキースと自分だけの。ならそこにはあらゆる行為が許される気がした。

 だからおしっこを見られるのだって、洗ってないおちんぽを舐めるのだって平気だ。それにいつかは妊娠だって……。

「あぁあああ!!ああ、うぁあ!!きーしゅ、だめじゃ!!しょこは、きもちすぎるんじゃ!!おおぉおお!!」

 尿道口の上、クリまでの部分を優しく舐め、陰ビラの内側を焦らすようにしてからクリトリス本体を責め込む。

 これに夜鶲は大きく反応し、小さな雌穴からトロトロの愛液を零し始めた。

 匂いの濃い蜜にキースの股間も反応して膨張を始めるが、それでもクンニは止めなかった。

 舌を優しくから徐々に激しく変えて、唾液を舐めつけそこの部分に吸い付く。口にクリ周辺を完全に含んだまま吸い取るように舐める。

「ほぅうう!!う、ぉおおぅ!!んおぅうう!!きもひぃい!しょれきもひぃんじゃぁあ!!こしが、びくびくしてとまらんくにゃるよぉおお!!あぁああ」

 同時に手を伸ばして乳首を摘まみ揉んで、勃起した豆粒のような乳首を指先で捏ねまくる。

 クリクンニと一緒の乳首責めに夜鶲の快楽は一気に深くなって尻尾がビクビクと震え出してしまう。

 クンニアクメが近いのだと感じ、キースは更にクリトリスを熱心にしゃぶった。

 気持ちいい部分をキースに気持ちよくして貰える。それがこんなに幸せなのかと夜鶲は目に快楽とは違う涙を浮かべた。

 そしてそう感じる事でどこまでも上がってゆく感度に身体が先に耐えられなくなり、

「ひぎゅ!!うぅううう!うぁ、うぁああ!きーしゅ、イク!!イってしまうぅううう!!あぁあぁああ!!きーしゅぅうううう!!うぉおお!」

 幼い身体をいっぱいにビクつかせ、夜鶲はクンニアクメを迎えた。尻尾と腰がいつまでも痙攣する余韻のある気持ちよさだった。

 口の端から涎を垂らして、「ほぉおお」と快楽余韻に息を吐いていると、キースが身体を起こして夜鶲を抱き上げた。

 抱っこセックスだと思うと夜鶲は嬉しくて顔をにへらとだらしなく微笑ませてしまう。

 雌蕩けした顔をみせる夜鶲の軽い身体を胡坐をかいた脚の上に座らせると、キースは唇を重ねた。互いの陰部を舐めた汚れた舌同士を絡め合わせる。

 ねっちょねっちょと口を開けてそれぞれの咥内を順番に舐め込むイヤらしいキスに夜鶲は腕と脚と尻尾をキースに絡めた。

 身体全体を使ってキースに巻き付いてくるチビドラゴンの火照りを感じ、いい感じに発情しているとキースは笑みを浮かべた。

 ここまで熱くなったトロマンコを肉棒で掻き回す気持ちよさを想像し、背筋が軽く粟立つ。

 舌が離れるとキースはまだ首筋や頬にキスをしてくる夜鶲に囁きかけた。

「夜鶲……ヤバいです……夜鶲がエッチすぎてザーメン出ちゃいそうですよ。挿入なきゃ」

 夜鶲はさっきから股間に押し当たっている肉棒の硬さと熱をキースの言葉を合わせて感じて唾を飲み込んだ。

「挿入てもいいですか?夜鶲の子宮にザーメン飲ませてあげてもいい?」

 子供に問いかけるような言葉遣いにももう反抗したりせず、夜鶲はコクコクと黒髪を揺らして頷いた。

「おちんぽ、もらしたらダメじゃ!はよ、いれろぉ!!」

 訴えかけるおちんぽおねだりにキースはもう一度キスをすると、そうしたまま夜鶲の身体を持ち上げ浮かせて雌穴に肉棒の位置を合わせる。

 とろ~っと粘つく愛液がちんぽの先端に零れて熱気が感じられる。熱く蕩けた下の口がガチガチに勃起した肉棒を飲み込もうとしているのがはっきり分かる。

 キースは夜鶲の唇に吸い付いたまま幼い竜娘に腰を下ろさせ中肉に亀頭をめり込ませた。

 にゅぶぶぶぶ!と小さく狭い膣道におちんぽが入り込み、中襞に絡めとられると気持ちよさに息が漏れた。

 すると今度は夜鶲がキースの唇に吸い付いて自分からまんこ内におちんぽを飲み込んでいった。

 完全に侵入したおちんぽは幼い膣襞にきゅうきゅうと締め付けられ、奥からドンドン溢れてくる雌蜜に全体を濡らされた。

「うぉ、いつもより……すご、なにこれ」

 ついそんな感想が漏れるほど夜鶲の膣中は濡れうねり肉襞の一枚一枚をおちんぽに這わせるようなエロ器官になっていた。

 各部が射精をさせる為だけに形状を変えていっているみたいで、気を抜けばすぐにでも搾り取られてしまいそうになる最高の状態だ。

 だがそれは夜鶲とっても同じで、幼いまんこは自分でも快楽を最高に感じ取れる状態にしていて、膣感度のいつもとは違うくらいに高まった状況に挿入しただけで軽くイってしまう。

 キースに抱きついたまま気持ちよさに涙と涎とダラダラと流した竜姫は、

「なんじゃ……なんじゃこれぇ……なにしたんじゃぁ……ひぐ!!あ、あぁ……きもちぃのぜんぜんちがうぅう」

 ぐしゃぐしゃの顔をキースに見せて自分の身体をどうしたと必死で聞いてくる。

 それが800歳を超えてやっと自分だけの特別な存在を得る事が出来た喜びに身体が反応してしまっているだけとまだ気づけない幼いドラゴンだった。

「何もしてませんよ。いつもと同じ……でも、ないか。きもちぃし。動きますね」

「うご……だ、だめじゃ!まだ、うご……ひぎゅ!う、うごくなというとるじゃろうがぁ!!あぁああああ!!うぁああ、ふぁああ!!」

 腰を抱えて前後に身体を揺すり出すキースの動きに夜鶲は脳まで痺れるような気持ちよさを感じて叫び吠えた。

 極太の肉棒が幼い膣をいっぱいに広げ、そこの中を雁首が擦ってゆくと襞がその快楽総てを余すところなく届けてくれる。

 今まで何度も経験した事なのに、初めてとも思えるほどの強い快楽に夜鶲は悶えながら問いかけた。

「ほぁ!ふぅうう!ふぅおおぉ!!な、なんれじゃ、なんれこれ、こんら!!ぎもちぃいんじゃぁあ!!あぁあああ!!なんれじゃぁああ!!!」

 悶える唇に甘いキスをしてからキースはまた嘘を教えた。

「それはやっぱり、勝負じゃないからですよ。きっと」

「ふぇ?」

 意味が分からなくて赤い顔を切なげにしたまま見つめてくる夜鶲をキースは腰を止めて強く抱き締めた。

「これは勝負のセックスじゃなくて、俺と夜鶲が本当に心から繋がってるって証明する為の約束セックスだから……二人だけの約束のセックスだから。だから気持ちいいんですよ」

「そ、そんな……うそ……じゃ」

「じゃあ俺の心を読んでいいですよ。俺もいつもより気持ちいいって思ってますから」

 ダメだ。そんなの認めてはいけない。確認しちゃいけない。

 だってそうすれば、これからはどうしても勝負なんかより繋がりを確認し合うこっちのセックスがしたくなってしまう。

 それではまるで……本当にツガイの雄雌みたいじゃないか。だからそれだけは認めちゃダメだ。確認してはいけない。

 そう考えているくせに、夜鶲の神箴眼はキースの心がいつもより自分の身体を気持ちよく感じてくれている事を読み取り、

「うぅ……ううぁああ、きーしゅ、きもちぃのか?わし……わしのからだ、いつもより」

「ええ。そう言ったでしょ?これが本当のセックス……二人の繋がりを確かめる最高の行為なんだなって……思います」

 もうダメだった。もう無理だった。夜鶲ははっきりと自分の身体がキースに総てを明け渡す瞬間を感じてしまった。

 子宮が降りて膣が締まって乳首やクリが痛いほど勃起してしまう。完全な孕み雌になったドラゴンは幼い身体を自分から揺らし動かした。

「きーす……きーす!きーしゅぅうう!!わ、わし、わしぃいい!!」

「おぉおお!?や、やお!うそすっげ!あぁあ、ちんこが!!搾られてるぅ!」

 直立した肉棒が夜鶲の膣襞で扱きあげられ、まるでザーメンを搾り取られるような感じになってキースは悲鳴を上げた。

 キースのそんな声に構わず夜鶲は喜びと快楽で止められなくなった身体を全力で動かしてキースを感じた。

 自分の身体をいつもより感じてくれているキース。心からの繋がりを自分と一緒に感じてくれているキース。自分がキースと感じている繋がりをキースもまた感じてくれている。

 その総てが孤独に喘いでいたドラゴン娘を喜ばせ、一匹の雌竜に変えてしまう。

「夜鶲!気持ちいいですよ!!すっごいいい!!あぁ、マジで最高」

「きーしゅ!!わしもじゃ!わしもきもちぃいよぉ!!あぁああ!んぁあああ!!」

「じゃあ、これからは勝負とは別にたまにこっちのセックスもしましょうね?確かめ合う約束セックス!!いいですよね!?」

 押し付けるような物言いにしかし今の夜鶲は逆らう余裕もそして意思もなかった。

「しゅる……しゅるぅうう!!きーしゅと、またやくそくせっくす!!するんじゃぁ!!これするんじゃぁあ!!」

 うっしゃ!!亜竜種のお姫様ゲットぉ!!

 心の声を読まれないようにすぐに打ち消したキースは、それでもこれからは何だかんだ言ってこっちのセックスをしまくるんだと言う事に満足げに微笑んだ。

 これなら互いをイカせた回数もイッた回数も気にせずにロリドラゴンの身体をむしゃぶりつくせる!!これって天国だろ!!

 嬉しい下種な思いがキースの腰の動きを再開させ、夜鶲の幼い膣をいっぱいに責め込ませた。

 二人の動きが合わさって部屋中にずぢょずぢょずぢょ!と卑猥な粘膜が擦れる音を響かせる。

 夜鶲の濡れ膣襞はどこまでも柔軟に雄器官を受け入れ、そこに快楽を与え、また自らも快楽を貪る。

 勝負ではなくただの雄雌の繋がりがこんなに気持ちいいと思い込んでしまった夜鶲は自分が何度も小さくイっている事に気づいていなかった。

 アクメ感覚が連続し過ぎておまんこが馬鹿になっているようだった。

「きーしゅぅう、いうへくれ!!もういっぺん、いうへくれぇええ!!わしだけとくべつじゃって!!わしと、きーしゅはとくべつじゃってぇええ!!くあぁああああ!!」

 大きくイきたがる本能が最高に嬉しい言葉を求めてしまう。それに応える為にキースは体位を夜鶲を一番責められる種付けプレスに変えた。

 押し倒して伸し掛かり、そして頭を何度もいい子いい子と撫でる。そのまま、

「特別ですよ……俺と夜鶲はこの世界で唯一の間柄です。絶対離しませんよ夜鶲のこと……だから、俺にも言って?好きだって……離れないって」

 離れないはいいが好きの意味が良く分からない。だがそこに夜鶲は何の疑問も抱かず、

「しゅきじゃ……きーしゅらいすきじゃぁ!!このせかいでいちばん……ととさまよりかかさまより、らいすきじゃぁ!!うぁあ!!きーしゅぅうう!!」

 甘えてしがみつくロリ竜にキースは全力でピストンを行い始めた。

 膣奥に向けて夜鶲をイカせる為にゴリゴリと抉るような子宮口責めを本気で行う。

「おぐ!おぎゅふううぅ!!はら!!はらんなか!!かきまわしゃれ……おしちゅぶしゃれとるぅうう!!おぉおおう!!おおふぉおお!!なんじゃごれぇえ!!ぎもぢぃいいい!!」

 800年かけて雌になった喜びを感じる心と身体はドラゴンの強靭な肉体でどんな責めでも最高の快楽として受け止めていく。

 まだ準備の仕方も知らない子宮を無理やりこじ開けて押し潰し、肉棒で突き回すキースは本気でイカせようと頭を撫でてキスも繰り返す。

 全身がキースで染まってゆく夜鶲は誰にも見せた事のないだらしのない女の表情で幸福感に満たされて雌マンコをぶるぶる震わせた。

 イキそうだとキースもピストンの速度をあげると、膣肉は更に襞を激しく擦られ、中奥を突かれて、

「あぎゅ!ほぎゅううう!!お、お、おおぅうう!!うほぉおお!!らべじゃ!!もうらべじゃぁああ!!しゅごいの!!しゅごいのれイぎゅ!!イっでじまうぅううう!!おぉおお!!んおぉおお!!きーしゅぅうう!!きーしゅぅううううう!!あぁあああ!!」

 小さく華奢な身体を本気の雌イキで大きく跳ねさせてビグッ!ビグッ!と痙攣しながらアクメの衝撃に愛液を噴出させた。

 そこにキースはほぼ同時に膣襞がアクメ絡みする気持ちよさを感じて、

「ふぉおお!!お、おおっく!!!このまんこ……マジすげ……ドラゴンまんこ……うぁああ!!」

 どっびゅ!!どびゅぐ!どびゅぐ!!びゅ!びゅ!びびゅ!!!ぶびゅうう!!

 夜鶲のおしっこを直飲みしたせいで精力絶倫になっていて、とんでもない量の精液を膣内に吐きだしてしまった。

 急いで腰を突き出し、責め込み過ぎてすっかりほぐれた子宮口に先端を密着させ中にザーメン液を飲み込ませる。

 ほっと息を吐いて射精快楽に酔っていると、精液が入ってくるのを嬉しそうに感じていた夜鶲が、

「は、ぅ?へぅ!!あ、あちゅ……なんじゃ!?あちゅいぃいい!!」

「え?は?や、やお!?」

 声に慌てて身体を起こすと、二人の結合している部分の少し上、夜鶲の恥骨あたりに何か痣のようなものが浮かんでいた。

 驚いているとそれはやがてはっきりとした形となってそこに浮かんだままになる。

「な、なな、なんじゃこりゃぁ!!お、おにょ、おにょれ!またなにをしたぁ!!こんどはらにをしたんじゃぁ!!」

 アクメに怠い脚を尻尾を振り回して暴れる夜鶲にキースはおちんぽを抜くと、

「し、知りません!今度はマジで知らないです!!」

「こんどはってろーゆーことじゃい!!まえはなにかしたんじゃな!!なんじゃ、こにょ!なにをしたんじゃぁ!!」

「知らないですって!!しんじてくださいぃ!!」

 そんな言い争いが1時間続き、折角の甘い時間の余韻がちっとも味わえないのだった。

   §§§

 セイムラッドから遠く離れた、別地のエルフ領にある小国ルゼリア。

 そこはヒト種の国基準としては小国だが、エルフの国としてはそこそこの規模がある国だった。

 その一番の理由は、国王であるアルバートが亜竜種の姫君を王妃として迎えているからである。

 これは各種外交として有利に働き、ヒト種の国との貿易でも平等な地位を固められている。

 まさに亜竜種様々だが、この二人は政略結婚ではなく大恋愛の末に結婚したというのだから驚きだ。

 本来亜竜種は亜竜種としか結婚はしない。それは寿命や身体能力の違いが大きい。

 それさえ乗り越えようとした二人だったが、流石にこう続くとアルバート王も泣きそうになっていたりする……。

「か、かの……ま、まて!昨日もしたではないか……朝まで8回もだぞ?」

「せやね。だから?」

「だから今夜はゆっくりとだな……ゆっくりと休もうではないか、な?」

 長身で美しい顔をしたエルフに亜竜種のお妃様はエロい下着でにじり寄った。それは獲物を捕食するハンターの動きである。

 大きな乳房を薄絹越しにはっきり見せて、既に準備万端になった迦廼はアルバートの上に伸し掛かる。

「なんや、そんな事言うて。こっちはもうギンギンやないの……このむっつりスケベぇ」

「これは迦廼が夕食に自分の血を混ぜたからだろう!た、頼む!今夜は寝かせてくれ!明日は会議が!!」

「うっさい!出入りの商家の未亡人に色目使いくさって!!その元気があるならウチに回さんかい!!うりゃあ!」

「やめろぉ!!ぬがすなぁあああ!!あぁ、やぁあああ!!やめてぇえええ!!」

 絹を裂く悲鳴が響き、扉の前に立つ警護の兵隊が首を振った。どうやら毎日の行事になっているらしい。

 ベッドの上で逃げ回る夫を迦廼は笑いながら追いかけ回す。ある種の悪夢じみた光景である。

 そんな時だった。部屋の窓がコンコンと叩かれ、外から「ねーさまぁ」と声がする。

 二人の視線が向かうとそこには小さな妹が翼を畳んで立っていた。

「なんや、夜鶲……どないしたんや?」

 ナイトガウンを羽織り窓に向かう迦廼にアルバートは心底ほっとして、

「は、話があるようだな!うん、それでは私は別室で……」

「終わったら行くから精力剤飲んで待っとき」

「ひぃ!」

 悲鳴を上げながらそそくさと部屋から出てゆく夫を見送り、迦廼は夜鶲に視線を向けた。

「で?なんや?姉ちゃんの大事な夜の営みを邪魔してまで話に来たんやろ?その要件は何やねん?」

 部屋に招き入れられた夜鶲は暫く黙ったままだったがその内ポツリポツリと語り出す。

「あ、あのな……姉さま……き、聞きたい事があってな」

 そう言って見せられた妹の恥骨の上にある痣を見て迦廼は固まり、そして、

「な、ななな、なんでやぁあああ!!なんでそれ!!それが夜鶲の身体にぃ!!」

 叫び声にビクっとなった夜鶲の肩を掴むと迦廼は部屋中に結界を張ってから怒鳴った。

「夜鶲!お前シタな!!あれほどシタらあかん言うとったのに!!シタなぁあああ!!」

 それが何を指すか理解した夜鶲は首を左右に振った。

「し、しとらんわい!!そんな、儂……しと」

「嘘つくな!だったら何でそこに竜結紋が浮かんでんねん!」

「りゅ……けつ?なんじゃそれ?」

 問いかける夜鶲が迦廼から受けた説明に小さな竜姫は真っ青になった。

 竜結紋は簡単に言うとツガイを見つけた雌竜の身体に浮かぶ証のようなものだ。

 それを持っている雌竜は既に誰かにその身も心も総てを明け渡した事を示しており、つまりは一人前の大人になった事を表している。

「ウチらが生涯一人の雄としかツガワんのは知っとるな?それはしきたり以前に身体がそういう作りになっとるからや……それが浮かぶと、それをつけてくれた相手以外には抱かれても……身体が反応せぇへんねん」

「そ、そんな!そんなの儂聞いた事な」

「当たり前や!これは幼生体が終わって初めて母親から説明される事や!しかもツガイになった相手にも教えたらあかん雌竜だけのトップシークレットなんや!!」

 それ故にあらゆる文献にさえ載っておらず、キースでさえも……いや、ドラゴンの研究者さえもしらない秘密なのだ。

 身体の特定の部位に出来るわけではなく、個体によりバラバラで、しかも痣にしか見えないので、それが何かの魔力的な証だとは誰も気づけない。

 まさに雌の竜だけが脈々と受け継いでゆく、秘密の紋章なのである。

「それがあっても他の雄に抱かれる事は出来るけど……はっきり言うておくと、糞ほども感じへん。ちゅーかむしろ触られてる感触だけが走って気持ちわるーて」

「何で詳しんじゃ姉さま」

「そこはツッコムな。あとアルにこの事言うたらマジぶっ殺す」

 兎に角そんなものが身体に浮かんでいる幼い妹に迦廼は溜息をつくと顔を上げて、

「あの男やな……キースやろ……っ糞ボケあれほど手は出すな言うておいたのに……ぁあああ!!」

 怒りで迦廼の身体が戦闘形態になり魔力で部屋が震える。

 当たり前だろう。夜鶲が成体になる前に死んでしまうヒト種の雄如きが幼い妹にマーキングしてその後の人生を狂わせたのだ。

 これでは夜鶲は子供もまともに作れないし、成体になってからずっと死んだ男を思って生きなきゃいけない。

「下種がぁああ……ウチの大切な妹を……殺すっ!!」

 そう言った時、迦廼は夜鶲に突き飛ばされた。「へ?」と声を上げる迦廼の前で夜鶲は自分も戦闘形態をとると、

「た……例え迦廼姉さまでも、キースを傷つける事は許さん!!あ……あれは儂のじゃ!!儂の……儂の大切な……キースなんじゃぁ!!」

 吠えた妹の目が一人前の雌になっている事に迦廼は驚きそして諦めた。

 敵わないと分かっていても、愛しい人の為になら全身全霊をもって相手に立ち向かう。

 昔の……アルバートとの結婚を姉の瓏良に止められた時の自分を思い出して、

「……姉妹やなぁ……ほんまに」

 そう呟くと戦闘形態を解き威嚇を続ける妹に近づいた。

「しゃあないなぁ……瓏良姉やおとうやおかんに秘密にしとく方法考えんと……何しとんねん夜鶲。いつまでも怒っとらんでこっちこんかい。取り敢えずはそれ隠す方法考えんと」

「ね、ねえさま?」

「しっかしとんでもない場所に出来たなぁ……まぁウチも太腿の内側やから人の事は言えんけど」

 優しい姉に抱き寄せられて夜鶲はほっとした。やっぱり迦廼に相談して正解だったと泣きそうになる。

 そして心の中では、キースとの証が目に見える形で身体に刻まれた事に少なからず喜んでいる自分がいる事にまだ夜鶲は気づいていなかった。