アカペラでもレオノラとナイアのハーモニーは素晴らしいものだった。

 透き通ったレオノラの声は鈴を鳴らすような可憐なナイアの声を裏側から支えて音域を深めてゆく。

 この間までのレオノラなら絶対に自己主張のみでナイアの事なんか考えずがなり散らしていた所だろう。

 しかしお姉ちゃんになったレオノラは歌のレッスンで知ったナイアの歌に合わせる技術を存分に発揮する。

 だからと言って完全に裏役に回る訳ではなく、時には自分の存在を主張する。

 するとナイアも楽しそうにレオノラの歌に合わせて歌声を大きく美しく澄み渡らせてゆく。

 その歌のあまりの素晴らしさに音楽好きのエルフ種女性たちは勿論、高音が嫌いな猫のルーでさえが聞き惚れていた。

 キースでさえも二人のお姫様の見事な仲良しハーモニーに口をポカンとあけていた。

 するとそのうち静かに低音域が多くなり、やがて曲は終わりを告げた。

 暫し静寂が場を包むと、一斉に拍手が沸き起こった。それはキースは幻覚魔法で作った人物達にさせて音をつけたものだ。

 それに合わせてアイシャやベルナ、それにクローネ達も拍手を送り、ルーは肉球をぽよぽよ叩き合わせている。

 キースも皆に合わせて幻覚魔法と幻聴魔法を組み合わせて使いながら自分でも拍手を送る。

 ベッドに立ったナイアとレオノラは嬉しそうに微笑み合うと満足そうに頷きあう。

 それを見たサーシャが拍手をしながら、

「姫様!もっと聞きたいです~!アンコール!!」

「ちょ、サーシャ!」

 クローネが慌てて諫めるが、ベルナの膝に乗っていたルーも「聞きたいニャ」と言うとナイアとレオノラは悪戯っぽく互いを見つめ合った。

 そしてレオノラが「しょうがありませんわね!」と言うと今度は今のとは違うノリのいい曲を選んで歌い始めた。

 ナイアとのデュエット曲を選ぶのに探した都会での流行歌だ。

 それを聞いたキースは幻覚魔法の人物達を立ち上がらせ歓声を上げさせた。同時に思い立って妖精を数種類召喚した。

 妖精の中には楽器を弾くものが多く、それで色んな種族を妖精郷に迷い込ませるのだが、今日はキースが召喚主なのでそうは出来ない。

 何より楽器好きの妖精たちはナイアとレオノラの歌を聞いてノリノリになって曲を奏で始めてしまう。エルフ種の歌声は妖精を喜ばせるのだ。

 突然現れた妖精たちに驚いた二人のお姫様だが、すぐにキースがしてくれたんだと気づいて喜びに溢れた。

 すると俄然歌声も妖精達の木や草や動物の骨で作った楽器に負けないように張りが出てくる。

 その声は廊下にまで響き、元来音楽好きのエルフ達には堪らない誘蛾灯となった。

 覗き見してくるメイドや兵士たちをレオノラが、

「何してますの!覗き見なんてはしたない!堂々と聞きにいらっしゃいな」

 ニッコリ微笑んで手招きする。それにナイアも合わせて手招きをした。

 人が集まると幻覚魔法と合わさってナイアの広い部屋は本当に寿司詰め状態になってゆく。

 熱気や歓声がキースが魔法を使うまでもなく響き、まるで本当のライブハウスみたいだった。

 こんな状況で歌った事のないナイアとレオノラは汗をかきながら全力で妖精達と共に歌を奏で続けた。

 少し後ろの方で幻覚魔法に紛れてそれを聴いていたキースの元へアイシャがやって来た。

 アイシャは少しむっとしたような顔でメイドや兵士達がステージ(ベッド)に集中して、自分達からある程度距離があるのを確かめると、

『……さっきの裸って何だ……一体魔導師様はナイア様にどんな方法であがり症を治して差し上げたんだろうなぁ』

 こんな場所で幾ら人目につかないし念話なので周りに聞こえないからと言ってそんな事を聞いてくるアイシャにキースは少しびっくりした。

 しかし夜に二人っきりで問い質そうとすれば間違いなく身体を弄られてトロトロにされて話なんて聞けなくなるのでアイシャなりに考えた末の行為なのだろう。

 キースは聞こえないふりをしていたがアイシャがじーっと見つめてくるので仕方なく、

『いや、ほら……裸でね、こうやってお歌を歌わせたら……緊張なんてしなくなるかな~……なんて』

『それはこの幻覚魔法の中でって事か?事なんだな!?……っこの下種馬鹿!!ナイア様に何て事させるんだぁ!!』

 叱責にキースはビクっとなった。それでもアイシャは続けて言う。

『全く!!どうせナイア様の為とか言って実は恥ずかしがらせてその中でイヤらしい事をしたかっただけなんだろう!!』

 よく分かっているくせにひっかかるんだね。

『あの可憐なナイア様にどれだけ下劣な事をしているんだ!!まったくだぞこの馬鹿!エロ馬鹿!!』

『そ、そこまで言わなくても』

『言わなくてもだとぉ!?言わせて貰うさ!!大体だな、あの時はナイア様に手を出さないって私と約束してたど真ん中あたりだぞ!!なのに……なのにぃ』

 その言葉でキースはやっと理解した。ナイアの事を怒っているのは本当だろうが、それ以上にアイシャはバッチリ二股かけられていた事が辛いのだ。

 いや現状の方が股数は多いだろうが、それはアイシャが知っている上での事で、あの時は完全に知らずに嘘をつかれ騙されていたと言う事で。

 それがとっても腹に据えかね、そして悔しくて怒って拗ねているのだ。

 ここまで堕ちておいて相変わらず可愛く面倒臭い騎士さんだとキースは笑いそうになるのを堪えてアイシャに少し身を寄せた。

『ごめんなさい。本当にエロ馬鹿ですね俺って』

『ああ、そうだな!本当にな!!ふん!』

『本当はアイシャでしたかったんですけど……嫌がられちゃうかなって……だから』

『……は、はひぃ!?』

 目を剥いて見つめてくるアイシャに自分はあくまで前を見つめたままキースは続けた。

『こういう人が大勢いる中でアイシャに悪戯しちゃうって考えただけで俺……でもアイシャが嫌がると思ったから』

『い、いやに決まって……そ、んな……』

『だからナイア様で……おれ、最低ですよね……』

 自分の代わりにナイア様を?ナイア様の代わりに自分ではなく、自分の代わりにナイア様を??

 その事にアイシャは戸惑い、そして赤くなってしまった。

 あの頃どこかで思っていた「自分はナイア様の代わりに可愛がられているだけ」と言う想い。今もどこかで奥の方に微かに残っているその想いが完全に否定されたのだ。

 また嘘を吐かれている。そんなの分かってる。分かっているはずなのに身体が喜んでしまう。

 嬉しい嬉しいとキースに抱きつきたくなるのを人前だからと必死に堪えていると、嘘つき男がまた嘘を吐いた。

『許してくれますか?アイシャにしたい事、他の皆にしちゃってた事……許してくれます?』

『ゆ、ゆるすって……そんな、わ、わたし……だから、えっと、その』

 許すも許さないも……何時の間にか論点をずらされている事に気づきもしないで、そんな事を言われると何をどう考えたらいいかさえ分からないアイシャにキースはもう肩が触れ合うまで近づいた。

 ヒクっと息を飲むような身体の震えがアイシャから伝わった。

『それと、秘密にしてくれたら嬉しいです……他の皆にしてた事が、実はアイシャを思ってたなんて……ね?』

 ここは嘘じゃない。他の誰かに変態プレイをすると必ずアイシャを含め別な誰かでやったらどうなるだろうと想像するのはキースの癖だ。

 けれどそれを知らないアイシャは自分がまるで特別扱いされてキースの中の一等賞を取ったような気分になった。

『ぜったいうそだ……騙されるな私、騙されちゃダメだ、騙されちゃダメだ、だまされ』

『アイシャ、心の声だだ漏れてますよ』

 アイシャはもう泣きそうな顔になってキースを見つめると、周りにバレないように頭を左右にブンブン振ってから離れようとした。

 やっぱりキースには勝てない。どこにいても負けてしまう。だったら離れていた方が安全だと思ったのだ。

 特にこんな部下やメイド達が大勢いる中で恋する女の子エルフの顔を見られちゃ拙いと足を踏み出そうとするが、

『騙してない証拠を見せてあげますね』

 そう言う声が頭の中に響き、「え?」と口に出して言うアイシャのスカートの中にキースの指が入り込んできた。

 思わず声を出しそうになるのを慌てて堪え、念話で怒ろうとするが上手くいかない。それもそのはずでキースの指はスカートの中で太腿を撫でパンティ越しにおまんこを触り始めたのだ。

『な!なにす……はひゃ!やめ、ろ……んん!!やめろ馬鹿!ひと、いっぱい……』

 周りに目を配り見られていないかを確認するアイシャは、その見られているかもと言うハラハラ感でおまんこを敏感にさせていた。

 そこを狙うかのようにキースの指先が巧みに動いて中央部分を撫で、そしてクリトリスを布地越しに擦り出した。

 漏れ出そうになった喘ぎ声を唇を噛んで耐えるアイシャは、目にいっぱい涙を浮かべてキースを見つめた。

 こんな場所でそんな優しい触り方されたら立っているのだってやっとになる。膝がガクついてしまう。

 キースと肩を寄せ合っているだけでも誰かに見られたら不審に思われるのに、こんな反応をしているのがバレたら一巻の終わりだ。

『やめ……ろ、やめて……バレちゃうぅ……バレちゃうぞぉ……あうぅう!!あん、ひぁあ!こえ、でちゃうぅ』

 念話でも甘えた声を出し、律儀に喘ぎまで再現して聞かせてくれるアイシャにキースは指先を中央部に捩じり込ませながら、

『大丈夫ですよ。これで……ね?バレません』

 キースは幻覚魔法を操り、自分とアイシャの周りにエルフを多数配置して周りから何をやっているか分からないようにした。

 同時に少し人数を増やし、周りへの配置替えも行ってそこだけ人だかりができるているようには見えなくさせる。

 完全に死角になった状態なので少し大胆に軍服のスカートを捲り上げお尻を撫で回し始めるキースにアイシャはその手を掴んで抵抗しようとする。

 けれど力強い手を体術で捻りあげる事も出来ず、ただギュっと握り締めたまま、

『よせぇ、ほんと……だめ、なんだ……だめぇ、おしり……揉むな、おまんこ、触っちゃダメだぁ!!きゃぅうう!!』

 アイシャ自身も見えないという事が分かって少し気持ちが楽になってしまったのだろう。膝が大きく震えお尻が悶えるように震えた。

 周りには幻覚を除いても結構な人数のエルフがいて、その中にはクローネ達やアイシャの部下だっているのだ。

 そんな中で触られている事が何故こんなに気持ちいいのだろう。何故身体は喜んでいるのだろう。そんな疑問が湧いてきて、

『きーすの、せいだぁ……ひゃぅ!!わたしのからだ、キースがおかしくしたぁ、いちねんで、変にしちゃったぞぉ……ばか、ばかものぉ!うぅう、ばかぁ!!』

 その変態的に作り変えられた事さえ心のどこかでは喜びを感じながらアイシャはお尻をくねらせ続けた。

 立っている場所の床にはふかふかの絨毯の上に愛液が落ちてしまっている。

 そろそろ頃合いかなとキースは指でパンティをずらすと中に侵入させて秘裂の内側を擦り出した。

「くふぅう~~~~~っ……うぅ、うぐぅうう……!!」

 本物の声が漏れそうになってアイシャは自分の手で口を押えた。

 吐きそうなのを堪えているようにも見えるが、堪えているのは吐き気ではなく喘ぎ声だ。

 暗くしてあるので仮に覗き込んでも見えない下半身部分ではキースの指がおまんこビラを掻き割り、中のピンク粘膜をネットリ擦っていた。

 膣口からクリまでを何度も往復してヌチュヌチュと愛液を広げながら、執拗に弄繰り回してゆく。

 股間から流れてくる気持ちよさにアイシャは涙目で口を押え必死になって快楽と戦った。

 その頃にはもう念話も難しくなっていたがそれでも、

『きーすぅ、ばかもの!ばか、ぅうう!!あ、あふぁああ!やめ、ろぉ!!ばれるぅ、こえでちゃうぅうう!!きもち……んん!!きもちよすぎて、こえでちゃうぅうう!!あぁあああ、やめてくれぇええ!!』

 必死な叫びを悉く無視して、キースは遂に充分濡れた穴の中に指を挿し込むと、中襞を丁寧に擦った。

 アイシャの大好きな丁寧で優しい擦り方だ。その刺激にアイシャの咽喉が「んぉ」と声をあげそうになった。

 我慢する事が内側に快楽を蟠らせて、どんどんとその度合いを大きくさせてしまう。

 叫びまくる事で快楽を大きくするのではなく、ひたすら堪えて快楽を溜めるという行為にアイシャはもう堕ちかけていた。

 そこに二本の指がネッチョリと愛液を纏わりつかせ掻き穿るのだ。

『も、だ……ぐぅうう!!も、ぅ、むりだぁ……むりだぞぉ……あ、ぁ、あああ!!あぁああ、っく!ひぁああ!!むりだぁあああ!!イ、イくぅふぅううう!!うぅうっ!!』

 最後の「うぅうっ!!」は言葉に出してしまいながらアイシャは身体をビクンと震わせて立ったままアクメった。

 快楽が一気に弾け、身体の中をぐちゃぐちゃになるまで駆け回ってゆく。こんな快楽初めてだった。

 倒れそうになるアイシャをキースが軽く支えてあげた。そしてハヒハヒと呼吸を繰り返すアイシャに愛液塗れの指を見せた。

 ドロリと粘着質な液がしみまくっている濃い匂いをさせる指をキースはアイシャの目の前でしゃぶってゆく。

 それはこれと同じ事をおちんぽにもして下さいと言うキースの無言のお願いだった。

 最早命令に近いそれを泣きそうな目で見つめたアイシャは首を何度も左右に振る。ここじゃ無理だと知らせる。

 するとキースはアイシャの身体を掴んだままごく短距離の転移魔法でナイアの部屋にある大きなクローゼットの中へと移動した。

 これくらいの短距離なら吐き気もそれほどではないので耐えられる。

 既に4曲目に入っているナイアのレオノラの曲は一層盛り上がりを見せていて、クローゼットの中までその音と観客の歓声が聞こえた。

「……いいお歌ですね……でも俺は、ぜひアイシャにこのマイクで歌って貰いたいなぁ」

 ここならある程度声も出せるのでそんな最低に下品な事を平気で言うキースにちんぽを見せつけられたアイシャは、

「げす……げすおとこぉ……さいていだぞ……本当に最低だぁ……なんで、こんな男、大好きになっちゃったんだぁ……ぐす」

 半泣きになりながらクローゼットの中で膝立ちになり目の前のおちんぽの匂いを嗅ぎ始めた。