Elysion Online - Dragon Newt and Summoner
# 179 Reapling VS Dark Summoner
俺たちが1階を走っていると先頭を行くイオンと恋火がゴブリンとマッスルゴリラを我先にと仕留めていく。全く出番がない。
「イオンちゃん、恋火ちゃん。リリーにも敵を残してよ〜」
リリーが懇願するほどだ。
「イオンと恋火はだいぶ飛ばしてるな」
「恋火の仲間を助けたい気持ちは当然ありますけど、リビナが強くて、焦っているんですよ」
セチアの発言に納得してしまう。つまり俺がリビナばかり使うようになるんじゃないと心配して、自分たちも強いとアピールしているわけか…
そんなことしなくても俺は全員強いのを知っているつもりだし、なるべくみんなと平等に冒険したいと思っているだけどな。
「分かっていても焦ってしまうものなんですよ。タクト様」
「微笑ましいよね〜」
確かに微笑ましいが本番前にスキルを乱発しすぎているんだよな。
「このままだと二人にはハルさん特製のMPポーションを飲んでもらうことになっちゃうな」
「まぁ、後先考えないお二人にはいい薬になると思いますよ?」
エントラストを使うこともできるが俺たちが開発したポーションはハチミツで加えてまずさを抑えている。対してハルさんのは効果重視。どんな味かわからない。
そんな会話をしていると階段を発見した。随分簡単に見つかったな。
「はぁ…はぁ…タ、タクトさん! 倒しました!」
「が…頑張り…ました」
「お疲れ様。頑張ったな」
俺は二人の頭を撫でる。目を細める二人。
「でも、スキルを使いすぎで魔力が無くなっているぞ。というわけでハルさん特製のMPポーションな」
二人が固まる。まぁ、この恐怖の薬の破壊力は二人も知っている。
「えぇ!? それはそうですが…」
「エ…エントラストは?」
俺の代わりにセチアが言う。
「お二人共、エントラスト頼りのスキル乱発ではタクト様も私の身ももちません。今日は罰としてこれを飲んで魔力を回復させるのがどれだけ大変か味わってください」
「「そ、そんな…」」
リリーがセーフと思っているがこれはリリーにも言えることなのでちゃんと言って聞かせると一生懸命頷いている。
というわけでイオンと恋火はMPポーションを飲んで倒れているところにルインさんたちが来る。
「何かあったの?」
「ハルさん特製のMPポーションの効果です」
『あ〜』
全員それで納得してしまう。
「皆さん、ひどいです! 私もまずい薬を作りたくて、作ってるわけじゃないのに!」
ハルさんの名誉のために言っておくが、効果は魔力50回復でかなりいいものだ。これに味さえ良ければかなり売れることになるだろう。
みんなとはここでお別れだ。
「気をつけてね?」
「ルインさんたちも頑張ってください」
「えぇ。みんな、行くわよ!」
『おぉ!』
ルインさんたちが階段に向かって行った。俺たちはイオンたちの回復を待つ。
復活したイオンと恋火の口直しを含めて、全員に料理バフを付ける。準備完了。じゃあ、本番と行きますか。
恋火とリリーが先頭で下に降りると見張りのゴブリンとマッスルゴリラたちがいたので、リリーが吹っ飛ばす。
そして恋火が仲間の気配を察知して一つの地下牢に走り出し、止まる。
「酷い…」
そこには鎖で吊るされ、長い巫女服を傷つけられた恋火とそっくりなセリアンビーストがいた。
確かにこれは酷い…血とかないが、それはゲームのためだろう。本来ならあっても不思議じゃない。
とにかく助けてあげたいが鍵がない。強引にこじ開けられるものなのかな?試すしてみるか。
「リリー、頼む。恋火、危ないから離れてくれ」
「は、はい! リリーお姉ちゃん、お願いします!」
「まっかせて!」
リリーが剣を構えて、力を溜める。
「チャージスラッシュ!」
金属と金属が激しくぶつかり合う音が響く。
「い…いったーい!」
リリーのチャージスラッシュで無傷となるとやはり鍵を探すしかないみたいだな。
そう考えた時、俺と恋火が同時に反応した。
反応したところを見るとワープからフードを着た男のNPCが現れたところだった。まさかここにゲートポイントを設置していたのか?
「まさか強引に檻を壊そうとするとは…随分乱暴な召喚師だな」
こいつが犯人なんだろうな。
「女の子を虐待するお前に言われる筋合いはないと思うが?」
「はぁ? 女の子の虐待? そんなこと俺がするわけないだろ? 獣の躾ならしたけどな」
男のNPCがそういった瞬間だった。恋火が謎のNPCに斬りかかった。だが恋火の剣を男は素手で止めてしまう。
「っ!?」
「なんだ? あの獣の家族か何かか? チッ! そういう面倒くせーのはいらねーんだよ!」
男が恋火を蹴り飛ばし、恋火が檻に叩き付けられ、倒れる。
「うぐっ…」
「まぁ、売り物が増えたと考えれば悪くないか」
男が恋火に手を伸ばした時、イオンが斬りかかる。完全な背後からの攻撃に対して男は振り返り、イオンの双剣を素手で受け止める。
「危ないことするな…けど、おせーよ!」
男はイオンを振り回し、また檻に叩きつける。
「くっ…」
「イオンちゃん!? よくもイオンちゃんと恋火を! 光波動!」
リリーの光波動は通路では逃げ場はない。男に直撃するが男は整然と立っていた。
「はは! 残念で~した」
これは…間違いない。こいつはリリーたちに対して特別なスキルを持ってるみたいだ。
「エントラスト!」
セチアがリリーの魔力を回復させる。
「ありがとう! セチアちゃん! やぁああ! 竜技、ドラゴンクロー!」
リリーがドラゴンクローを放つが腕で弾かれ、首を捕まれる。
「うぅ…離して」
「教育がなってない獣には躾ないとな!」
男が謎のスキルをリリーに使う。するとリリーの顔が絶望に染まる。
「あ…あぁ…」
「今からあいつ、殺すからそこでよーく見てろ」
男がそう言うとリリーを解放する。だがリリーは震えながら、立ち尽くす。リリーのステータスを確認すると見たことがない状態異常になっていた。
リリーには聖竜の加護がある。状態異常にはならないはずだ。つまりこいつは聖竜の加護を無効化している。
「えーっと…これってさ。やばくない?」
リビナがそういうと男が返す。
「夢魔種にしては賢いな。安心しろ。お前も奴隷として売り飛ばしてやるよ」
「ボクはそういう性癖じゃないから遠慮しとくよ」
『リビナ』
『ダメだ…こいつ、魅了にかからないよ。ボクには打つ手なし』
セチアもエントラストの使用で戦えない。とすると俺が戦うしかない。俺は自分の剣を仕舞い、イオンのガラスの剣をアポーズで引き寄せる。
「…タクトさん」
「イオンの剣、借りるぞ」
「はい」
イオンが必死に笑顔を見せる。
任せろ…リリーたちのおかげで大体こいつのスキルのことがわかった。それにリリーたちをいじめられて、我慢するほど俺は大人じゃない。
「なんだお前? 俺とやるつもりか?」
「これを見てそんなこともわからないのか? 医者に頭でも見てもらったどうだ?」
「…ほぅ。雑魚の分際で随分とこけにしてくれるじゃねーか」
「俺の方がお前より強いからな。当然だ」
俺がそういうと男は一瞬で俺との距離を詰める。対して俺は男の動きを予測し、男の腹に左手のガラスの剣が刺さる。男の顔が驚愕に染まる。
俺は右手のガラスの剣で首を跳ねようとしたが、流石に男は後ろに下がり、攻撃を回避する。
「てめぇ…」
「無様だな。力に自惚れるからそうなるんだよ」
俺の言葉にぶちギレた男が殴りかかってくる。俺は構えていた双剣を手放し、男の拳に対して、クロスカウンターをお見舞いする。そして怯んだ男の股間に横蹴りが炸裂し、蹴り飛ばす。
「ぐは!? てめぇええ! ッ!?」
股間の痛みで下を向いた男が前を見た瞬間、男の肩にガラスの剣が刺さる。俺が投擲したものだ。そして剣はもう一本ある。
俺が男の死角から攻撃するが男は咄嗟に飛び退き、これを躱す。
だが甘い。逃げた男は牢屋の柵に阻まれ、俺の間合いから脱出できなかった。
俺の剣が男の首を捉えたと思った瞬間、男の指輪が光り、俺の攻撃が見えない壁に防がれる。どうやら一回攻撃を防御するアイテムみたいだ。
男が逃げ出した先にはリビナがいた。男が邪悪な笑みを浮かべた。
「ひっ!?」
リビナは恐怖に捕らわれるが、リビナが襲われることはなかった。
邪悪な笑みを浮かべた男の首を俺が斬り飛ばした。
「殺し合いの最中に余所見なんてするからこうなるんだよ。リビナ、無事か?」
「う…うん。…やばい。惚れちゃいそうなんだけど…」
「何か言ったか?」
「な、なんでもないよ! あははは」
リビナの様子が変だが、とにかくこいつが鍵を持ってるかも知れないから調べるか。俺が手を伸ばした瞬間だった。男のズボンにつけられていたアイテムが輝き、男の姿が消える。
「まさかこんな化け物召喚師が助けに来るとは予想外だったぜ。貴重な防壁の指輪と蘇生のネックレスを使うはめになるとは大損じゃねーか」
男は最初に現れた場所にいた。
「お前が俺に挑んだ結果だろ? 実力差を知った瞬間に逃げないから損をするんだよ」
「ふん。お前らが欲しいのは牢屋の鍵だろ?」
男はそういうと懐から鍵の束を取り出す。やっぱりこいつが持ってやがったのか。
「俺に勝った褒美だ。やるよ」
男はそういうと鍵の束を横の牢屋の中に放り投げた。
『あ!?』
「はっはっは! あげると思ったか? バーカ! やるわけねーだろ! これであいつは牢屋から出ることが出来なくなって、衰弱死だ! ざまーねーな! てめぇの面は覚えたからな! 絶対殺してやる」
そういうと男はワープでいなくなった。
「さいてー! 何あいつ! タクトを見習え!」
リビナが男がいなくなった途端に言う。やれやれだ。
とにかくみんなを回復させる。
「負けた~! 悔しいぃ~!」
リリーが本気で悔しがる。リリーがなった状態異常は恐怖。男が怖くなって動けなくなってしまったらしい。
「そんなに叫ばなくてもわかってます…タクトさん、流石です」
「はい! でも鍵が…」
恋火が檻の中の鍵を悔しげに見る。俺は恋火の頭を撫でる。
「あいつがせっかく置いていってくれたんだ。遠慮なく貰おうぜ」
『え?』
全員が驚く。イオンが聞いてくる。
「タクトさん、まさか鍵を取れるんですか?」
「俺は取れないな。でも檻の中に入れる娘がいるだろ?」
全員がハテナを浮かべる。俺はレギオン召喚でノワを呼び出す。それを見て、全員気がついたようだ。
「…呼ばれた」
「ノワ。悪いけど影移動で檻の中の鍵を取ってくれないか?」
「…影が檻の中にない」
「わかってる。俺の影を檻の中まで伸ばせばいいんだよな?」
俺はライトで自分の影を檻の中に伸ばすとノワが影移動で檻の中に入り、鍵を取って来てくれる。ノワの頭を撫でてあげる。
俺は今こそあいつに言おう。お前のほうがバカだ!こんなことしないで鍵持ったまま、帰ればよかったんだよ!
因みに最初のリリーの攻撃は敵を誘き出すためだ。決して思い付かなかったわけじゃない。
「ノワちゃん! すごーい」
「あの人、最後の最後までタクトさんに勝てませんでしたね」
「あの捨て台詞が実に滑稽です」
「あんな人に負けちゃうなんて、ショックです」
「あははは! ボクは面白いと思うよ! 凄くダサくて面白い!」
ボロクソに言われるが事実だからどうしようもない。そこでインフォが来る。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント2ptを獲得したした』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント2ptを獲得したした』
ステータスポイントは全て俊敏性にした。残りスキルポイント61ptだ。そろそろポイントを使ってもいいかも知れないな。
じゃあ、恋火の仲間を救出してクエストクリアと行きますか。
名前 タクト 中級召喚師Lv11→Lv13
生命力 45→47
魔力 90→94
筋力 32→33
防御力 22→23
俊敏性 30→33
器用値 65→67
スキル
格闘Lv7→Lv8 蹴り技Lv14→Lv15 杖Lv21 片手剣Lv12→Lv13 投擲Lv3→Lv4
高速詠唱Lv14 召喚魔術Lv24 封印魔術Lv3 錬金Lv9 採掘Lv14 伐採Lv17
解体Lv25 鑑定Lv13 識別Lv20→Lv21 風魔法Lv20 火魔法Lv21 土魔法Lv22
水魔法Lv20 闇魔法Lv20 神聖魔法Lv3 雷魔法Lv21 爆魔法Lv20 木魔法Lv20
氷魔法Lv19 時空魔法Lv20→Lv21 水泳Lv8 読書Lv8 料理Lv30 餌付けLv6
釣りLv14 シンクロLv9
名前 リリー ドラゴニュート・クーラLv1→Lv3
生命力 60→62
魔力 42→46
筋力 105→111
防御力 42
俊敏性 39→40
器用値 35→36
スキル
光拳Lv7 飛行Lv7 片手剣Lv22 大剣Lv14 縋Lv1 連撃Lv3
錬気Lv12 光魔法Lv2 光波動Lv2 竜技Lv4 竜化Lv5
聖竜の加護Lv3
名前 イオン ドラゴニュート・エンベロープLv1→Lv3
生命力 60→62
魔力 82→86
筋力 53→55
防御力 32
俊敏性 104→108
器用値 85→89
スキル
二刀流Lv24 槍Lv1 投擲操作Lv6 飛行Lv7 遊泳行動Lv11
氷刃Lv12 連撃Lv3 水魔法Lv2 蒼波動Lv1 竜技Lv4
竜化Lv6 海竜の加護Lv2 料理Lv2
名前 セチア エルフLv27→Lv29
生命力 33→34
魔力 84→88
筋力 24→25
防御力 20→21
俊敏性 21→22
器用値 84→88
スキル
杖Lv13→Lv14 弓Lv6 木工Lv10 採取Lv14 調薬Lv8 風魔法Lv7 火魔法Lv12
水魔法Lv14 土魔法Lv13 木魔法Lv15 樹魔法Lv6 エルフの知識Lv13
精霊召喚Lv5 料理Lv2
名前 恋火 セリアンビーストLv26→Lv28
生命力 53→54
魔力 56→60
筋力 54→56
防御力 32
俊敏性 62→66
器用値 45→47
スキル
刀Lv13 二刀流Lv1 炎魔法Lv6 狐火Lv12 気配察知Lv14
危険察知Lv13 妖術Lv2 血醒Lv5 料理Lv2
名前 リビナ リリムLv15→Lv19
生命力 23→25
魔力 52→60
筋力 11→13
防御力 11→12
俊敏性 27→31
器用値 32→38
スキル
素手Lv1 飛行Lv5 隠密Lv1 夜目Lv5 誘惑Lv10
魅了吸収Lv10 闇魔法Lv1 幻術Lv3 魔弾Lv2