目を開けるとそこは宇宙だった。ただ普通の宇宙ではないだろう。見えない足場はあるし、辺りには太陽や隕石はなく、ただ星が輝いている。

「ここが今回の試練の舞台ですか? 聖輝龍王様?」

俺がそういうと正面が真っ白に光輝き、聖輝龍王様が現れた。

『そういうことになります。試練の内容は言うまでもないですね?』

「はい。竜化したリリーと戦うことですね?」

『その通りです。より正確にいえば進化したリリーの竜化した姿と戦って貰います。あなたが勝てば合格。負ければ不合格です』

単純明快な試練だな。一応気になったから聞いてみよう。

「負ければどうなるんですか?」

『負ければ進化は取り消し、リリーは聖竜のまま進化が止まることになります。あなたとリリーを引き離すことはしませんから安心していいですよ? 最も試練のやり直しをさせるほど優しくもありませんが』

でしょうね…ただ唯一の不安は無くなった。後は俺がリリーに勝てるかどうかだ。

『改めて試練のルールを説明します。勝負するのはあなたと星竜となったリリーです。フィールドはこのフィールドを使います。どんなに暴れても壊れることはありませんから後悔がないように思う存分、暴れていただいて結構です』

まぁ、わざわざ前回とは別のフィールドを用意したんだ。そこの心配はしていない。

『武器、アイテム、魔法の使用は自由。それとこのフィールドでは魔力の消費はありませんし、デメリットも解消させて貰います。それと発生もしません。ただしアイテムの消費は適応させて貰います』

凄い大盤振る舞いだな…魔法もスキルも使いたい放題。デメリットの解除ってことはスカーレットリングの宝玉解放が使えるようになって、その状態が解かれることがないってことだ。

アイテムの消費は仕方無いだろうな。アイテムまで無限なら俺が有利すぎるからな。

『最後に星竜となったリリーには意志がありません。また倒しても元の姿に戻るだけなので、何も気にせず戦ってください。質問は?』

「アイテムならなんでも使っていいんですか?」

『あなたたちが現在持っているものならなんでも使って構いません。前回のように欲しいものが手に入ることはありません』

言ったな?俺たちが持っているものならなんでも使っていいんだな?なら俺は手加減しないぞ。

『装備やアイテムの更新が済んだら、声をかけてください』

俺は自分の装備やアイテムを見直す。回復ポーションは必要ない。生命力の回復は魔法でするし、魔力の回復は必要無いからな。変わりにポケットの中に切り札をいれる。遅延魔法も使い、最後に確認する。そして準備運動し、神経を研ぎ澄ます。ふぅ…よし!

「終わりました」

『分かりました。では試練を始めましょう!』

聖輝龍王様がそういうと一匹の巨大な白いドラゴンが現れた。ただ白いだけじゃなく、星のようにキラキラ光っている美しいドラゴンだった。識別出来た。

スターライトドラゴン?

? ? ?

間違いない…スターライトドラゴンの目を俺は以前見ている。あれから随分心配や苦労をしたものだ。

心配していたらリリーたちに怒られて、大量にスキルポイントを使い、スカアハ師匠の訓練を受けた。

…あれ?何故だろう?イライラしてきたぞ。全部こいつに振り回されたせいな気がする。よし、こいつに今までのストレスを返そう。大丈夫、こいつはリリーじゃない。問題はないはずだ。

スターライトドラゴンが叫び、戦闘体勢になる。俺はファミールを起動させ、スカーレットリングとエストオラシオンを取り出す。俺たちの武器が使えるなら当然エストオラシオンを俺が使っても問題ないはずだ。

『その力、いずれ解き放つ時が来るじゃろう』

爺さんは全て知っていたのかな…こんな日が来るって…

「そういえばリリーには俺の本気を見せたことがなかったな…加減なしだ。行くぞ! 宝玉解放!」

スカーレットリングとエストオラシオンの真の力が解放される。

エストオラシオン(宝玉解放):レア度9 魔法大剣 品質A

重さ:150 耐久値:150 攻撃力:250

魔法剣効果:星の加護、詠唱破棄、星光

宝玉効果:集束、魔法再時間短縮(大)、ガンマレイバースト

刻印効果:俊敏値アップ(大)

オパールの宝玉を組み込んだ星の力を内包した魔法大剣の真の姿。武器としては最高クラスに引けを取らない。強大な武器なので使い手を選ぶ。

俺に炎と星の力が包まれる。だが、このままでは俺は筋力が足りず戦えない。だからバフと力のルーンを使用する。

「「アクセラレーション!」」

一瞬で間合いがつまる。

「竜穴!」

スターライトドラゴンの首に竜穴が炸裂する。スターライトドラゴンの動きが止まる。一気に行くぞ!俺は竜穴を連続で当てる!だが、スカーレットリングの灼熱の効果は発動しない。恐らくスターライトドラゴンの効果だろう。

そしてアクセラレーションの効果が消える。スターライトドラゴンはそれを待っていた。竜爪が光の速度で放たれる。俺は力のルーンを使い、エストオラシオンで竜爪を止める。コースがバレバレだぜ!

俺は竜爪を弾き飛ばすとエストオラシオンを構える。

「星光…集束!」

星の光がエストオラシオンに集まる。覚悟はいいか?こいつはきっと今までで一番凶悪な技だぜ!

「ガンマレイバースト!」

エストオラシオンから凶悪なガンマ線の光線が放たれる。スターライトドラゴンは危険を感じ、光の壁を出現させ防御する。時間を与えたのは不味かったか…だがこの火力、止めてみろ!

俺とスターライトドラゴンの叫びあい、光の壁が粉々に爆散する。だがガンマレイバーストはスターライトドラゴンに届かなかった。痛み分けか…そして俺はエストオラシオンを持つ手が痺れている。更に重さが加わる。不味いな…力のルーンがもうない。

するとスターライトドラゴンが翼を羽ばたかせると無数の光弾が雨のように降ってきた。これはやばい!?これはエストオラシオンを地面に突き刺す。

「もう少し手が焼けるお前の主人のために、力を貸してくれ」

俺は俊足とアクセラレーション、速さのルーンで攻撃を躱そうとしたが、攻撃が多すぎる。体のあちこちに当たる。このいい加減にしろ!

『ダウンバースト』

スターライトドラゴンがダウンバーストをくらい光の雨はようやく止まった。致命傷は防いだがかなり効いた…

するとスターライトドラゴンが息を吸い込み、膨大な星の光が集まっていく。スターライトドラゴンのブレスが放たれる。俺はこれを待っていた!

『テレポート』

ファミールでテレポートが発動し、俺はスターライトドラゴンの右目の近くに移動する。

「リリース!」

右手に突き刺したエストオラシオンが現れる。遅延魔法にはアポーズをストックして置いたのだ。そして俺はスターライトドラゴンの右目をエストオラシオンで突き刺した。下に刺すだけなら筋力は関係ない!

たまらずスターライトドラゴンが叫び、竜爪で攻撃してくる。それはダメだろ!

「テレポート!」

俺はエストオラシオンを刺したまま、スカーレットリングを構えて左目に移動し、突き刺す。スターライトドラゴンは自分の攻撃でエストオラシオンを更に突き刺し、両目の激痛で叫ぶ。

まだ行くぜ!さっき覚えた新魔法と俺のスキル、スカーレットリング、ファミールの組み合わせた攻撃をくらえ!

「「チェーンエクスプロージョン!」」

『『チェーンエクスプロージョン』』

『『ダークレイ』』

チェーンエクスプロージョンとダークレイを使う。

するとスターライトドラゴンに闇の光線が魔力操作で自在に襲い掛かる一方で周囲に無数の魔方陣が描かれる。すると次々起爆していくと起爆する度に爆発がでかくなり、最後には四つの大爆発がスターライトドラゴンに炸裂する。

俺はこれを乱射し、スターライトドラゴンが追い詰める。するとスターライトドラゴンが叫び、傷が治り、真っ赤なオーラを纏う。

これやめろよな…するとスターライトドラゴンが見たことがない黄金の魔方陣を展開する。竜魔法とは異なる大魔法か?発動させるわけにはいかないな。

スターライトドラゴンが叫び、魔法が発動しようとした瞬間を狙う。これで決める!

『テレポート』

俺はスターライトドラゴンの口近くに移動し、ポケットからアイテムを取り出し、それはスターライトドラゴンの口の中に投擲で投げる。叫ばないと魔法を発動出来ないのはこのでかさでは致命的な隙だ。

するとアイテムを飲み込んだスターライトドラゴンの様子が激変する。

金色の魔方陣は崩壊し、真っ赤なオーラがなくなる。更に綺麗な白く輝く体が真っ青になる。スターライトドラゴンは首を抑えながら落下する。

『フライ』

俺は空から地面でもがき苦しんでいるスターライトドラゴンを見る。

どうだ?効くだろう?失敗した浄化の丸薬は…俺はセチアにお礼をいい、スカーレットリングをインベントリに仕舞い、スターライトドラゴンに刺さっているエストオラシオンをアポーズで手元に戻し、構える。

俺は急降下し、苦しんでいるスターライトドラゴンの間合い詰める。くらえ!

「竜穴!」

俺のありったけの力を加えた竜穴が当たるとスターライトドラゴンが悲鳴をあげる。悪いな…これでリリーの中で眠ってくれ。

「ガンマレイバースト!」

竜穴に決まっているところにゼロ距離ガンマレイバーストが炸裂するとスターライトドラゴンは悲鳴を上げながら光り輝き、姿がリリーになる。するとインフォが来る。

『おめでとうございます! 『星竜の試練』をクリアしました!』

『高速詠唱のレベルが40に到達しました。詠唱破棄に進化しました』

『刀スキルのレベルが20に到達しました。刀【居合斬り】を取得しました』

『魔力切断が解放されました』

どうやらクリア出来たようだ。

「はぁ…はぁ…ふぅ~」

俺は仰向けで倒れる。もう無理。失敗した浄化の丸薬には強化効果を解除する効果があったからこの激怒モードは強化だから効果があると思ったが、予想通りだ。

麻痺の薬は実体験済み、普通の薬ですらシルフィ姫様に絶大な効果を発揮したものだから入れておいたのだが、あれだけ頑張って決め手が浄化の丸薬とはなんとも俺たちらしい。さて、元に戻ったリリーを見る。

「ブクブクブクブク……」

顔が紫色になり、泡を吹きながら痙攣していた。

「リリー…生きてるか?」

聖輝龍王様が降りてくる。

『素晴らしい勝負でした。エルフの凶薬…これほどの物とは思いませんでした。まさか竜の逆鱗を消し飛ばすほどの不味さとは予想外です。素直に驚異を感じますね』

聖輝龍王様からお墨付きを貰ったぞ!毒物としてだけど!

『では、契約に従いあなたの回復とリリーを進化させましょう』

未だに瀕死のリリーに天から強烈な光が降り注ぎ進化する。身長が俺と同じくらいになり、服装は上が銀の胸当て、銀の手甲が装備された。なんか以前見た騎士っぽいリリーだな。インフォが来る。

『リリーがドラゴニュート・ホープに進化しました。片手剣武技【光剣】が【星剣】に進化しました』

『星鎧、星読み、星壁、星雨、聖櫃、星光、逆鱗、起死回生を獲得しました』

『竜化のデメリットが一日となりました』

滅茶苦茶スキルが追加されたみたいだ。そして俺も刀が20になったから、魔力切断の条件が整ったみたいだ。早速取得を…必要スキルポイント20pt。現在スキルポイント12pt…終わった。

『これからの時代は魔王や神々が暗躍する時代となるでしょう。そんな中、あなたはあなたが大好きな人たちの希望となりなさい。あなたは今日からドラゴニュート・ホープです』

リリーが目を開ける。

「…なんか口の中が苦~い!」

リリーがじたばたしている。うん。いつものリリーだ。良かった良かった。さて、ステータスを確認する。

名前 リリー ドラゴニュート・クーラLv30→ドラゴニュート・ホープLv1

生命力 110→160

魔力  110→160

筋力  226→276

防御力 70→120

俊敏性 90→130

器用値 82→122

スキル

光拳Lv10→星拳Lv10 飛行Lv28→飛翔Lv28 片手剣Lv38 大剣Lv33 鎚Lv13 

危険予知Lv7 超感覚Lv1 竜眼Lv1 星読みLv1 物理破壊Lv1

星鎧Lv1 星壁Lv1 星雨Lv1 聖櫃Lv1 星光Lv1 連撃Lv14 

集束Lv1 超再生Lv1 錬気Lv32→星気Lv32 光魔法Lv12 光波動Lv10→星波動Lv10 

逆鱗Lv1 竜技Lv13 竜魔法Lv3 竜化Lv7 ドラゴンブレスLv5 

起死回生Lv1 聖竜の加護Lv6→星竜の加護Lv6

うわ~…なんじゃこりゃ。リリーがとんでもないことになってる。

『それだけ価値がある試練だったということです』

俺は聖輝龍王様を見る。

『私たちドラゴンは上位種に君臨し、力と破壊の象徴です。故に力あるドラゴンに暴走は許されない。だからこそ私たちはあなたたち人間に私たち以上の力を求めます』

「暴走した時は止めるためにですか」

『そうです。星竜の領域になればドラゴンの力を全て制御できるようになりますので、暴走の危険性はほぼありませんが、それでもあなたの力と覚悟を見せて貰いたかったのです』

「合格でしたか?」

聖輝龍王様は優しい顔になる。

『もちろん合格です。リリーをよろしくお願いします。あなたたちと再び出会える日を楽しみにしています』

最初はリリーの分身、今回は竜化したリリー…じゃあ、次は?まさかね。俺たちとの再開を楽しみにしている聖輝龍王様を見て、冷や汗を感じる中、現実に戻った。

名前 タクト 寵愛の召喚師Lv1

生命力 120

魔力  270

筋力  120

防御力 70

俊敏性 90

器用値 176

スキル

格闘Lv26 蹴り技Lv23 杖Lv35 片手剣Lv32→Lv33 槍Lv20 刀Lv18→Lv20 

投擲Lv10→Lv11 高速詠唱Lv40→詠唱破棄Lv1 魔力操作Lv1→Lv3 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26 

ルーン魔術Lv5 騎手Lv34 錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33 

解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv39→Lv40 疾魔法Lv3→Lv4 炎魔法Lv4 

地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3→Lv5 神聖魔法Lv11 雷魔法Lv32 

爆魔法Lv35→Lv37 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv42→Lv43 獣魔魔法Lv4 

遅延魔法Lv9→Lv10 連続詠唱Lv13→Lv15 水中行動Lv15 俊足Lv16→Lv18 読書Lv16

料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 エンゲージLv1 

連携Lv8