Eternal Log

Episode 195: Events in Pope Lars, Part 58

 「帰ってきたな……」

 ウィルが馬車の中で呟く。

 今はアンジェさんが馬を走らせ、馬車の中には俺たちの他にメイファちゃんとエイブラム司教の遺体、そしてアンジェさんの見張りをしてた奴らを捕らえて乗せている。

 元々巫女用に作られた物で護衛も乗ったり合わせて荷物を運ぶ事もある為大きく作られている為に中は広い。

 俺とロイはあの後、エイブラム司教の遺体を俺が異空間から出した木の板に乗せて運んだ。

 この板はいろいろ作るのにとりあえず手に入れといたものだけどこんな場面で役にたつとは……。

 ちなみにメイファちゃんも別の木の板に乗せてある。

 本当はちゃんとした柩を作って入れてあげたいけど今は時間がない。

 エイブラム司教の顔は俺の最初見た時の印象と違い安らかだった。

 最後な綺麗な心で奥さんと子供のところへ行った事を願うばかりだ。

 「なんか凄く長く感じたね……」

 「そうだな……」

 俺はシャーリーの呟きに言葉を返す。

 ラース教皇国を出てから今帰って来るまで半日程だ。

 太陽は少し降り始めているけど、まだまだ明るい。

 朝が早かったってのもあるけどエイブラム司教の事や戦闘、そしてメイファちゃんの死……半日の間にいろいろあって凄く長く感じて一日の間の出来事、それどころか半日程の事だったとは思えない。

 「みなさんいろいろ申し訳ありませんでした」

 ルルは俺たちの様子を見て謝り頭を下げる。

 「ルルは悪くない」

 「そうよ、ルルちゃん気にしちゃダメ」

 ウィルとアリィがすぐさま言葉を返す。

 俺も含めみんな頷く。

 そう、ルルは悪くない。

 悪いのは……。

 「俺たちに出来る事は一つ。あった事をそのまま伝えよう」

 ロイの言葉にみんな頷き馬車はラース教皇国へ入って行った。