Eternal Log

Episode Two Hundred Four: We're Going Down Rude Street, Part Three.

 俺たちは旅を進め目的地であるアノルド工房のあるダンノームまであと少しというところまでやってきた。

 ルード街道を進んできて最初は周りの景色に緑が多かったけど、段々と景色から緑が減ってきている。

 それと共に気温も上がってきて暑くなってきた。

 「シャーリー大丈夫?」

 「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。でも、暑いね。ハル君がいなかったらみんな倒れてるかも」

 確かに。

 この暑さは予想以上だった。

 水とかは貴重と聞いていたのでラース教皇国である程度買って俺の魔法で異空間に収納していたけど、思っていたより消費してしまい何度か水を購入の為に魔法で水を買い足しに戻ったのだ。

 「そうね、それにハル君の作ってくれた服は着心地もいいしセンスもなかなかだし」

 アリィは俺が作った服を気に入っているようだ。

 今まではみんな自分が持ってきていた動きやすい服を着ていたけど(それでも王族だから俺が思うに動きにくいと思う服装だったけど)それでもここで着て動くには暑くて動きにくかった。

 なので、この際少しでも動きやすい服装と防御力を高める為にエターナル・ログの知識から簡易の魔法宝具(マジック・アイテム)のような服を作ったのだ。

 ちなみに簡易というのは素材は錬金術では作れず、作れるのは鉱石だけだからだ。

 なので、素材に関しては簡単に入手できる物しか使えない為、服の効果としては魔法に対する耐性が少し上がるくらいだ。

 そして、服のデザインは女性陣の意見からシャーリーが着ている服の中にあった白いシャツにベージュ色の膝上のスカートといったのをベースにして、それぞれの属性の加護を表す色をアクセントで加えてある。

 そして、膝上までの属性に合わせたソックスを履いている。

 「そうですわね、アリィお姉さま! ハル、なかなかですわ! 簡易ドレスといった感じみたいね!」

 「へいへい」

 どうやらソニンも気に入っているようだ。

 簡易ドレスってのはスカートの事だろう。

 「こんなの初めて着ました……私には似合わない気が……」

 「ルルちゃんよく似合ってるわよ?」

 ルルもローブでは暑いし、いざという時の動きやすさを考えてみんなと同じ服を着ている。

 ちなみに男連中は属性の色の色のシャツに黒のハーフパンツだ。

 「ハルは真っ黒で良かったのにな」

 「それは嫌だ!」

 俺だけはハーフパンツを白にさせてもらった。

 じゃないと真っ黒になるから。

 「それはそうとハル……」

 ロイが急に近づいて小声で話す。

 「なんだ?」

 「いや、おまえ欲望の為に服作ったんじゃないだろうな?」

 「違うわ! そんな目で見てるのかロイ?」

 「い、いや、そんな事は……ただいつもと違うから新鮮で……」

 「そういう目で見てるじゃないか!」

 「ぐっ! ……ちょっとだ」

 ……勝った!

 ロイに口で勝てる日が来るとは。

 「ダメじゃないか、なぁウィル?」

 「……」

 ん?

 「ウィル?」

 「ん? あ、あぁ」

 もしかして……。

 ウィルの奴、ルルが気になってるとかだろうか?

 ルルもウィルに似て、芯がしっかりしているところがあるしそういう事があっても不思議ではない。

 でも、今はそっとしておいてあげた方がいいか。

 ロイに知れてたら可哀想だし。

 たぶん今のロイは自分が慌ててから気づいていないはず。

 でも、年の差とか巫女とか身分とかいろいろハードルがあって大変かもな。

 「あっ、ハル君あれダンノームじゃない?」

 「ん? あっ、そうかもしれない! 先を急ごう!」

 俺はウィルの事を心にしまいみんなに先を促した。