フランソワ編 主要登場人物紹介

○佐山貴大(21歳)

お嬢様に恋慕されたり、犯罪集団に命を狙われたり、望む安寧とはほど遠い生活を送っている主人公。

黒騎士に扮して、見かけた犯罪を摘発してはいるものの、『見える範囲で!』ということは徹底している。

街全体の治安は、個人が解決するような問題ではなく、また、してはならないと考えている貴大は、大人といえば大人であった。

○フランソワ=ド=フェルディナン(17歳)

言わずと知れた大貴族のお嬢様。金色のバラとも讃えられ、数多くの男性から求婚を受けている少女は、しかし、心に決めた人がいた。

不思議な青年、佐山貴大。他の人とは違う何かを彼から感じ取り、それに気にしているうちに、すっかりぞっこんとなったお嬢様は、他のヒロインに先んじて、彼に思いのたけを打ち明けていた。

そのように、ヒロインらしい行動をしていたにも関わらず、本章ではなんと、別の男性に惹かれてしまう! すわ、ヒロイン脱落か!? と、思われたが、何のことはなく、黒騎士の正体は想い人でしたとさ。ちゃんちゃん。

なお、黒騎士の正体を知っているのは、自分一人だけだと勘違いしている模様。相変わらずのフランソワであった。

○マチス(28歳)

グランフェリア下級区、スラム街に潜む犯罪組織、『アンダー・ザ・ローズ』の現頭目。

見た目は細身の青年で、身なりを整えれば、一般市民のようになる。しかし、へらへらと笑う顔、どんよりとした瞳は、明らかに常人のそれではなく、見る者に異様な感覚を覚えさせる。

レベルやジョブが飛び抜けて高いわけではない。なのに、アンダーグラウンドの一つの頂点に位置しているのは、予言めいた直観力と、引き際の良さによるもの。

危機的な状況からもへらへら笑って生還する彼に、『アンダー・ザ・ローズ』の構成員たちは、敬意よりも恐怖を抱いている。

○セバス・S・サーバス(62歳)

古くからフェルディナン家に仕えている老執事。

フランソワはおろか、オデュロンのおしめすら取り換えたことのある、長いキャリアを持つ人物。

魔法剣士〈マジック・フェンサー〉であり、彼のレイピアさばきは、並の騎士では視認することすら不可能だとか。

夢はフランソワの子どものおしめを取り換えること。気が早い話である。

○オデュロン=ド=フェルディナン(38歳)

(聞こえ……ますか……聞こえますか……読者のみなさん……オデュロンです……フェルディナン家の……現当主です……今、貴方の脳内に……直接、話しかけています……)

というコミュニケーションではなく、仕事の時など、しゃべる時はちゃんとしゃべるようだ。

しかし、基本的に無口なのは事実である。