「ロゼ?」

(はぁ、エルはどう答えるんだろう...)

「ロゼ〜?」

(とりあえず最悪の事態だけでも想像しとけば対処出来るよね!)

「ローゼー」

(いや〜でも、最悪の事態なんて想像するのも嫌、だなぁ)

「ロゼッ!!!」

「わぁっ!!!!」

いきなり背後から大きな声を掛けられて私は驚きすぎて淑女らしからぬ声を上げてしまった。

「エ、エル!?...ビックリしたぁ...いつからここに!?」

「何度も声を掛けたんだけどね」

エルは苦笑いで『驚かせてごめんね』と謝ってくれた。

私はエルがリノア様にどう答えるのかをずっと考えていて誰かが私の後ろにいる事に気が付かなかった。

「...エル、1人、なの?」

エルの傍にリノア様がいないことに安堵してしまった自分に嫌気がさす。

「え?リノア?うん、先に皆の所へ行ったよ。」

「そ、そうなの...」

(エルは、何て返事したのかなぁ...聞きたいけど、聞きたくないなぁ)

「...ロゼ、気になるの?」

「ええ...」

本当はそんな事聞くのは良くない事だと分かっている。だけどリノア様の想いにエルがどう答えたのか気になってしまう。先程までエルがリノア様とくっつこうがちゃんと自分の想いを伝えるんだ!って思っていたのにいざ、エルを目の前にするとその気持ちが揺らいでしまう。

「何でそんな悲しそうな顔をするの?もしかして、リノアとくっついたとか思ってる?」

いきなりエルが距離を縮めてくる。

「え、そ、そんな顔してる!?...っていうか、ち、近いよ...」

先程の驚きといきなり距離を縮めてくるエルに私は動揺しまくりでローゼリアよりも前世ののぞみが強く出てしまい、言葉遣いが雑になってしまう。

「そんな信用無いかなぁ?」

「そんな心配しなくても僕はロゼ、君だけしか見えていないんだ。この気持ちは絶対に揺るがない。」

そう言うと私の髪を一房とって口を附けた。

その仕草はあまりにも色気があり私は真っ赤になるしか無かった。