Godly shop's cheat fragrance

Episode 45: Wilderness Supper Reservations

 いつもと同じ灯台へ向かう途中の高台で、朝食を作ってヤラライと二人で食べた。

 現在は食後のコーヒータイムである。

 昨夜の夕飯代などもあり残金は以下のように減っている。

 残金91万2876円。

「余裕があったら別のメニューも作りたいところだな」

 夕飯は相変わらずハッグがトンカツしか食べないので、つい俺も同じものを食べてしまう。

 日本と違ってカロリー消費が大きいので少々の脂質は気にしないで良さそうだが、さすがに毎晩では飽きる。だからといってわざわざ別メニューを用意するのも面倒くさい。

 そういえば前に魚の話が出た事があったが、ハッグは随分と興味がありそうだったな。何か魚料理でも考えてみるか。せっかくだしこの世界の魚を料理してみたい。

 幸い釣り好きの上司によく付き合わされたおかげで魚を捌くのは得意だ。

 さらに言えば別の料理好き上司の手伝いをさせられていたので基本的な料理は一通り出来る。もちろん一人暮らしであったというのも大きい。

 給料が全然上がらなかったせいで、節約のために自炊するしかなかったこともある。

 気になる点と言えば、この世界には冷蔵庫も冷凍庫もないので、作り溜めして冷凍保存するテクニックが使えないのが痛い。纏めて冷凍しておくのが節約するコツだというのに。

「おはようございます、アキラ様」

 魚料理に思いを馳せていると、いつもの如く紅い女がやって来た。

 強い日差しに負けない紅い髪に、強い意思が他人を貫く紅い瞳。紅く塗られた細い鉄製の鎖を十字に巻き付けて、年齢不相応な発育を見せる胸をわざわざ強調する紅く染められた皮鎧。さらに膝まで伸びる紅いブーツ。

 この都市国家の人間であれば知らない人間はいない大商会の一人娘にして責任者の一人、チェリナ・ヴェリエーロその人だ。

「……ヤラライ様もおはようございます」

 昨日ほどではないがやはりチェリナはヤラライを見ると不機嫌を隠さない。そんなにエルフが嫌いなのだろうか。

「ああ」

 ヤラライの返事もどこかそっけない。

「チェリナもコーヒーを飲むか?」

「そうですね……いただきます」

 俺は使っていたカップを2、3度振って空にしてから、砂糖2スティック分のコーヒーを煎れてやる。

 両手をカップに添えてちびちびとコーヒーをすする姿はいつもの商会トップとしての毅然(きぜん)とした態度とは正反対で歳相応の幼さが見えていた。まあ正確な年齢は知らないんだが……。

 おそらく高校卒業前後の年齢では無いだろうか?

 チェリナが飲み終わったのを待ってから、後片付けをして商会に向かった。

 今日も午前中にやることはあまり変わらなかった。

 主に書類仕事とそれのチェック、それと細々とした商談だ。その商談にしてもほとんどは商会幹部達が事前に煮詰めてあるので、最終確認していくだけの流れ作業だ。

 見目麗しいチェリナ嬢の後ろに素性不明の異邦人と筋肉過多のネイティブエルフが立つ光景は相手の商人にどう見えているのか非常に気になる所だ。

 自分としてはこの作業が午前の仕事という感じなのだが、どうもチェリナは日が昇る前から働いているらしい。主に書類仕事なので俺に早く来いと指示することも無かったらしい。

 ヴェリエーロ商会の人間は当然チェリナよりも早起きして仕事をこなしているわけで、重役出勤の上に特に何もしていない男がお嬢様にべったりしているのだから俺に対する嫉妬が凄まじい。俺は前の世界でもこの世界でも他人からのヘイトを集める立場から逃れられないようだ。

 従業員達の怨念こもった視線を適度に受け流しつつ午前の仕事を終える。相変わらず立ってるだけだ。

 昼飯になるとヤラライは近くの食堂に移動し、俺とチェリナの二人だけになる。

「美味そうだな」

 今日は珍しく肉のおかずだった。赤身肉だが見た目よりかなり柔らかかった。少々野性味が強いが全体的に味は良い。料理法は油で焼いて塩を降っているだけだったが、これはこれでシンプルで美味い。

「先日ヤラライ様が狩ったバッファロー肉ですね。少々仕入れてみました」

「ああ、それ気になってたんだ、バッファローとかデカイだろ? ヤラライってどうやって街まで運んだんだ?」

 牛と同じと考えたとして、ヤラライがマッチョといえども一人では到底運べる大きさではないだろう。……ハッグなら鼻歌交じりに運びそうで怖いが。

「それはもちろん商業ギルドの人間が手分けをして運んだんですよ。ヤラライ様は自分で狩った証明として身体の一部を商会に渡してバッファローの場所を教えるのです。すぐにギルドの人間が確認に行き、ヤラライ様に依頼料が払われる仕組みですわ。あとはギルドの人間が必要なだけ集められ現地で解体処理されて街に運び込まれたのです」

 運んだ方法だけでなく俺が知りたかった事を全てそつなく教えてくれる。やはり頭の切れる女だ。

「商業ギルドってどんな仕組みなんだ?」

「基本的には商会や商人の寄り合い組合ですね。この国のギルドは許可制ですから一定の権力を持っています。もっともこの数年でいくつの商会が消えてしまった事か……」

 どう話を振ってもこの国の斜陽に行き着く会話になってしまう不思議。

「一定の権力って?」

「そうですね、一部の税金が減税になったり、貴族のものに比べれば範囲は小さいですがある程度の専売特権などあります。この国では狩猟ギルドは無く、狩猟権の管理を商業ギルドが担っているのですが、バッファローの狩猟権もその一つですね。大規模狩り以外に関しては傭兵や放浪の戦士などに狩猟権を貸し出す形で依頼に出しますね」

 わかりやすくヤラライの件を例にしてくれた。

「なるほどね。国の管理する権限の一部をギルドが預かっている状態なのか」

「はい。ですのでギルドに加盟していない商会は活動が制限されますね」

「きっとそれはそれで完成された制度なんだろうけど……どうも好きになれないな」

「どういうことです?」

「いや、商売は平等であるべきだろ、禁止するなら全て禁止すべきだし、許可するなら全てに許可すべきじゃないか?」

「それは……」

「結局古い体制の商会ばかりが残って新しい商人は育たない。結果としては一部のギルドだけが肥え太り、その他は排斥されていく……なんとなくこの国の姿そのものに見えるけどな」

「……」

「まあ今までこれで上手く回ってたんだから、これが一番良い制度って事かもしれんがな」

「全ての……権利を解放してしまったら、危険な品物も流通してしまうでしょう」

「それこそ規制を掛ければいい、劇薬だが薬にもなるようなシロモノは免許制にしてしっかり監視と管理をするわけだ」

「免許制ですか?」

「そう。法律でしっかりと制定しておかなければいけないが、その品物を扱うのに必要な知識を試験するんだ。場合によっては実務経験が何年必要なんてのもいるだろうな。一種と二種とランクを分けて二種で数年の実務とかそういうのだ。法律では細かく一日に扱える量や、管理の方法、購入に関する書類の書式……そういう勉強だな。座学を何十時間必須にして、それでようやく試験を受ける資格が得られるなんて形でもいいと思うぞ」

「それを全て国が制定するのですか?」

 呆れた口調だった。

「当たり前だろ? 国がやらないで誰がやるんだよ。それこそが国の役目だろ」

 それを民間で勝手にやれば市場もモラルも崩壊していくだけだ。

「それこそギルドで決めていく事だと思いますが」

「で、都合が悪くなると決め事をどんどん変えていくわけだな?」

「……」

 心当たりがあるのか開きかけた口をそのまま閉じた。

「権利を持ってる人間がルールまで決められたら、最初はどうでもすぐに自分の為だけのルールに変更していくだけだ、人間はそこまで強くない」

「専門の知識のない国がそのような決まり事を作っても仕方がありません」

「だから専門部署を作らなきゃダメって事さ。例として薬なら薬の知識が豊富な人間を大臣に据えるとかな」

「その大臣がまともな法律を制定出来る保証は?」

「ギルドが権利を悪用しない保証は?」

 再びチェリナは黙りこむ。

「あー悪い。別に追い詰めるつもりも、議論するつもりも無いんだ。そもそもどっちが正しいかなんてわからんしな。ギルドの話が出てきたからちょっと気になっちまっただけだ。ただの雑談だから忘れてくれ」

 別に真面目に政治を語るつもりは無い。そもそもそれを語れるほど頭が良い訳じゃないから思ったことをそのまま口にしてしまっただけだし。

「もし……」

 チェリナが考え込みながら呟く。

「もし、国は必要な物だけをルール化して、その他の権利を全て商人に自由に使わせるとしたらどうなるのでしょうか?」

 興味が出てきたのだろうか。

「そうだな、まず誰でも自由に商売が出来るわけだから、その辺の人間が一念発起して商売を始める事が出来る。特別な許可の必要無いものであれば何を商ってもいいんだ。そういう時人は大きく2パターンにわかれるだろう」

「どのように?」

「一つは世間一般で普及している商売だ。そうだな……例えば食堂。これもギルドがあるんだろ?」

「もちろんです、ギルドに加入して親方株を購入しないかぎり食堂を開くことは出来ません」

「その制限がないんだ、資金を集めて食堂を開くことは可能だ」

「しかしギルドに加入していないということはどんな食事が出てくるかわかりません、最悪毒のような料理が出てくる可能性も……」

「そこは免許を発行するんだ。料理免許とかな。これがなければ国で食堂を開くことかなわずってな」

「ならばギルド制度で良いのでは?」

「ギルドだと結局自由に商売出来ないだろ? 新人が金だけ持ってきて親方株を買ったとして優遇されるか?」

「……無いですね」

「許可制なら全て自分の裁量次第だ。成功するもしないもな。さて一般に普及している食堂という商売を始めたとしよう」

「はい」

「だが、一般に普及している商売だ、当然ライバルも多い」

「当然ですね」

「ではより売上を上げるにはどうすればいい?」

「……そうですね……味を良くするとか、量を増やすとか」

「そう。他にも値段を安くするとか、サービスを良くする。逆に凄い高級店にして金持ちだけを相手にするなんて方法もあるだろう」

「なるほど。勉強になりますね」

「お前に教えられるほど俺は頭は良くないが……まあそうやって工夫して行くわけだ。他にも店の立地を考えたりな」

「そうですね」

「つまり頑張れば儲けられるチャンスがある。それが重要だ」

「必ず上手く行くとは限りませんよね」

「もちろん。その時は残念だが潰れるだろうさ」

「ギルドが管理すれば必要な量の食堂だけが作られるので、少なくとも潰れる確率は減ります」

「その代わり客が店を選べなくなるだろ?」

「それはそうですが……」

「ギルドに保証された店ってのは胡座をかいて、殿様商売なんじゃないか? この辺じゃウチ以外の店なんてねーぞ、と。さらにギルドを敵にしたらどうなるかわかっているか? なんて事もあるんじゃないのか?」

「……」

 これも心当たりがあるのかもしれない。

「それって今のこの国と変わらないんじゃねーのか?」

「?!!」

「俺に逆らうのなら、お前らに自由はねーよってな」

「……そ、それは……」

 ま、ただの雑談なんでどんどん行こう。

「続きだが、ライバルになった店はどうするだろうな」

「え? ああはい……新規店が工夫して売上を上げた場合ですよね……やはり同じように味を工夫したり値段を下げたりするしかないのでは」

「当然そうなるよな。相手に真似の出来ない新メニューなんてのが出来れば最高だろう」

「確かに同じメニューで価格競争になると下げ止まらなくなります。それを防ぐ為にもギルドは存在するのですが……」

「それは売り手の理論だな。買い手は同じ品物なら安いほうが嬉しいに決まってる」

「それはそうですが……」

 チェリナにも一理あるがここは話を先に進めよう。

「さて、そうやってお互い切磋琢磨(せっさたくま)する事で、新しい価格、よりよい品質、新しいメニュー、新しい店舗が増えることになっていく。お手頃になれば市民もどんどん利用していくだろう。なあチェリナ。大事なのは沢山の客に来てもらう事じゃないのか?」

「それは……そういう一面もあると思います」

「そうだな、一面だな。さて最初に方向が2パターンって言ったが、もう一つのパターンに行こう」

「はい」

「一つ目は世間一般で普及している商売だったろ、なら当然二つ目は普及していない商売になる」

「例えば?」

「うーん、そうだな……この辺りに無さそうな商売……ああ、銭湯とかいいかもしれん」

「銭湯?」

「簡単にいうと、有料で入れる風呂屋だな。成功するかしないかは別にして一つの例として聞いてくれ」

「はい」

 自分でもどうしてとっさに銭湯が出てきたのか謎だが、もしかしたら風呂に入りたいのかも知れない。

「特に許可が必要ないとして、街のどこかにその店をオープンしたいとしよう」

「はい」

「まずは土地の確保、従業員の確保、水や薪の確保なんかもあるだろう」

「随分初期費用がかかりますね。前提を崩すようですが成功するとは思えませんし……」

「そうだな。まあ大抵の人間は失敗すると思うだろう。だが、少なくとも最初の時点で確実に金は動くんだ。これは国の為にもなるし、職のない人間からすれば働き口が増える事になる」

「そうですね」

「なあ、もしこの国で普通に銭湯を作ろうとしたらどうなる?」

 チェリナはしばらく瞑目して考察する。

「そうですね……まず土地の購入を否定されると思いますし、水の使用も理由をつけて禁止されると思います」

「それはなぜだ?」

「それは、不必要な施設を城壁内に作らせるとは思いませんし……」

「そんなところだろうな。理解できないものは受け入れない。だがな、この銭湯が上手くいったと考えてくれ」

「はあ」

 ピンとこないらしい。たとえが悪かったな。今さらだが。

「今までにない商売がこの国から生まれたんだ。ここでノウハウをさらに磨いて他の国で新しく支店をひらいたりしてさらに儲けをあげることができる。儲かれば国が豊かになり、銭湯を利用する人間が豊かになるだろ?」

「なんとなくは理解出来ますが……普通の市民が銭湯なる施設を利用するほど余分な金銭を持っているとは思いませんが」

「店が多様化して、数が増えれば必ず人手不足になる。そうなれば働き口が増えて、市民の収入は必ず増える。そして増えた収入を店で使うようになるんだ。前に税金の話しをしたろ? 税金を下げる事によって人や商品が増えて結果的に税収が上がるってやつ」

「もちろん覚えています」

「減税とは違うがやれる事が増えて規制が減れば人は必ずチャレンジを始める。まあ失敗する奴も大量に出るだろうが……それは自己責任だろう」

「危うい気がします」

「……それは否定しない」

 自由経済ってのはそういうもんだ。それが正しいとも言わない。結果的にブラック企業が乱立する可能性だってある。

「まあ馬鹿の戯言だと思って忘れてくれ」

「難しいですね」

「すまん。どのみち俺たちにはこの国の有り様を変える手段なんてないからな。今あるシステム内でなんとか頑張るだけさ」

「……」

 出来るだけ軽く終わらせたつもりだったのだが、チェリナは黙考してしまった。雑談に振るネタじゃなかったのかもしれん。個人的にはこういう話は面白いと思うのだが。

 なにが面白いかといえば、どうせ国なんて変えられないので無責任に語れるというのが良い。下手に自分が手を出せる話だと疲れるばかりでまったく面白くないだろうからな。

「あーそうだ、どこか美味い魚屋を知らんか?」

 いつまでもこんな話をしていてもチェリナが疲れそうだったので話題を変えてみた。

「はい?」

 唐突に話が飛んでついてこれないようだ。

「夕飯に、なんぞ魚でも料理しようかと思ってな。どうせなら美味い魚が食いたいんだ。いい店を教えてくれ」

「そういう事ですか……、しかし魚を夜ですか? 悪くなると思うのですが」

 冷蔵庫とかないもんな。

「そうか、じゃああんまり良い魚は手にはいらないのか……」

「魚は普通朝に入手して昼までに食す事が多いですね。貴族などは理術士を使って鮮度を維持するそうですが」

「へえ。そんな事も出来るのか。便利だな」

「水を凍らせる理術があるのです。空理具もありますが非常に高価でわたくしでもほとんど商ったことはありませんね」

「それは欲しいなぁ」

 氷が好きなだけ作れたら料理の幅が広がる。

「個人が購入出来る額ではありませんよ」

「氷が大量に作れれば、魚の輸送も楽だろうに」

「アキラ様、普通は空理具を持っていても大量に作ったりは出来ないのですからね?」

 ジト目で睨まれた。

「そうなのね」

 空っ惚(そらっとぼ)けておいた。

「そうです」

「まあいいや、手に入らないならしょうがない」

 地元の食材を試してみたかったがSHOPで買えばいいだけだしな。

「いえ、手に入りますよ」

「え?」

「当商会の船が定期的に漁に行っていますので、そこから受け取れば良いのです」

「前に商品を卸はするけど直売はしないと言ってたじゃないか」

「アキラ様は身内ではありませんか。問題ありません」

「なるほど」

 自分としてはこの商会の人間になったつもりはまったくないんだが、社員特権が使えるのなら使わせてもらおう。

「ところで先ほど料理をなさるとおっしゃいましたが?」

「言わなかったか? フライの時に話した気もするが、俺は普通に料理するぞ。なぜかハッグにも宿の人間にも不思議がられたが」

「それはそうでしょう。料理人でもない男性が料理をするなど聞きません」

「そうらしいな。別に罪じゃないんだろ?」

「はい。そんな法はありませんが、珍しいと思います」

「んで、今夜にでも料理したいんで、魚を売ってくれ」

「そうですね……」

 チェリナはそこでやや言葉を止める。

「条件があります」

「なんだ?」

 また相談役になれ、みたいな無茶振りじゃねーだろーな。

「魚は用意しますので、料理はこの商会の食堂で作って欲しいのです」

「ここで?」

「はい」

 それって何か意味があるのだろうか。

「別にかまわんが、別の人間も連れてくる事になるぞ、最低でもハッグは食いに来るし、おそらくヤラライも来ると思う」

 宿の看板娘ナルニアが来るかどうかはわからんが……来そうだな。

「問題ありません。食卓もご利用ください」

「それはありがたいが……」

「ああ、わたくしもご相伴させてくださいね」

「男の素人料理だぞ?」

「問題ありません」

「そうか……んじゃ頼むわ」

「賜りました」

 いまいちチェリナの狙いがわからないが、たまには変わったものが食べたいのかもしれない。がっかりさせないようにちょいと頑張るか。

 話が纏まったところで扉がノックされる。

「俺、入るぞ」

 ちょうどヤラライが戻ってきた。

 聞き耳を立てられていたんじゃないかと疑うほどタイミングが良かった。

 ……マジで聞かれてねーよな?

 別にやましい事は何もねーけどな!

 俺は気持ちを切り替えた。

「午後は何があるんだ?」

 お仕事お仕事!