Helping with Adventurer Party Management

Episode 584: A Skinny Two-Person

「さて、依頼を請ける連中の動きは一区切りしたようだし、ちょっと声をかけてくるか」

例の3人組は、すでに別のパーティーに加えてもらうことが決まっているようなので、あぶれている駆け出しを探す。

とはいえ、駆け出しの数が多すぎて誰にするか、なかなか決められない。

そうしているうちに、依頼を請けた冒険者たちはどんどんとギルドから出ていってしまう。

堪りかねたように、キリクが口を出してきた。

「どんな奴を探してるんですか?」

「お前が剣牙の兵団に推薦したくない奴だ」

要するに、駆け出しで、体が小さく、要領が悪い奴、という意味だ。

「あれは、どうですかね。俺なら雇おうと思いませんが」

キリクが指し示したのは、依頼の掲示板の前で呆然としている2人組の少年たちだ。

目端が利く駆け出し達は他のパーティーに入れてもらっているし、行動力があれば常時依頼を請けるために動き出している。

そのどちらもしていない、というのは街に来たばかりなのか、それとも余程に要領が悪いか、だ。

「サラ、ちょっと声をかけてきてくれないか」

どうも俺はギルドでは顔と名前が売れすぎているようだし、強面のキリクが呼びに行ったら怯えられそうだ。

その点、サラならば少年たちも安心するだろう。

「そうね、ちょっと待ってて」

軽く返事をして、2人組に声をかけに行ったサラは暫く立ち話をしてから2人組の少年を連れてきた。

「この子達、2日間も何も食べてないんですって。まずは何か食べさせてあげたいんだけど、いいでしょ?」

「ああ」

話を聞かせてもらった後に、どのみち報酬を払う予定だったのだ。

先払いしても構わないだろう。それに、空きっ腹ではろくに頭も働くまい。

「今の時間なら、屋台も出ているか」

冒険者ギルドの近くでは、賤貨の1、2枚で買える怪しげな串肉や麦粥を食わせる屋台が出ている。

ある程度は稼げるようになった今では手を出す気になれない代物だが、腹を空かせていれば何でも食えるだろう。

「そうなんだけど、工房のご飯を食べさせてあげたらダメ?朝の残りがあるでしょう?このあたりのお肉って、体が弱い時はお腹壊したりするから」

2人組を見てみれば、体も小さければ手足も細い。おまけに顔色まで悪い。

2日間、何も食べていないというのは嘘ではなさそうだ。

「とりあえず、飯を食わせてやるからついてこい。歩けるか?」

そう聞けば、黙って頷くばかり。

空きっ腹で判断力が落ちているのだろうが、俺が人買いだったら、どうするつもりなのか。

まあいい。

聞き取りもお説教も、全ての話は腹が満足してからだ。

◇ ◇ ◇ ◇

「それで、話を聞かせてもらいたいが、いいかな」

靴の工房が珍しいのか、それとも腹が人心地ついて今更に自分達の置かれている状況に不安を覚えたのか、周囲をキョロキョロと見回していた2人組は、俺の呼びかけにコクコクと頷いた。

まあ、普通に考えれば怖いよな。

腹が減って、ぼうっとしている間に、普段は人が近付かない妙な匂いのする奥まった通りの、そのまた奥にある工房の事務所まで連れてこられたのだから。

「大丈夫よ、このオジさん達は怖い人達じゃないんだから。ただ、あなた達の話が聞きたいだけなの」

サラのフォローがなにげに胸を抉る。