I Aim to Be an Adventurer with the Jobclass of “Jobless”
Cutting in the first place
まず、そもそもの切っ掛けになった話をしよう。
*
「あ、あなたは、冒険者なの?」
魔物(モンスター)に襲われていた妙齢の女を助けると、いきなり冒険者なのかと聞かれた。
「無職だが?」
俺は魔物(モンスター)の毛皮を剥ぎながら、彼女の問いに答えた。
「無職……って、そういう事を聞いているんじゃないわよ。
随分と戦い慣れてるみたいだけど、どこかギルドに入ってるの?」
「いや」
そもそも冒険者ギルドに入っていれば無職ではない。と思ったのだが、面倒なので何も言い返さなかった。
「仕事は?」
「してない。無職だって言ったろ?
強いて言うなら、魔物(モンスター)を倒して日銭を稼いでるくらいだ」
「日銭を稼ぐって……あなた、見たところまだ十代よね?
キメラを倒した事を考えれば、確かに実力はあるみたいだけど……あなた親御さんは?」
「いない。親代わりはいたけど、一年前に他界した」
「……ごめんなさい。悪いことを聞いたわね」
「気にすることはない。じゃあ、俺はもう行くから」
毛皮を剥ぎ取り終えて、その場を離れようとすると、
「――待って!」
女は俺を呼び止めて、
「あなた、身寄りはないのよね?」
「ああ。今は一人で暮らしているが、それがどうかしたのか?」
俺の言葉に女は少し考えるような素振りを見せた。
しかし直ぐに答えは出たようで、
「なら、提案があるの! あなた――冒険者を目指してみる気はないかしら?」
*
この一言が、全ての始まり。
あの時、この女を助けなければ、きっと俺は生涯、魔物(モンスター)を狩って日銭を稼ぐだけの生活をして一生を終えていただろう。
この出会いを切っ掛けに、職業無職の俺が、冒険者候補生として冒険者育成機関――王立ユーピテル学院に通うことになるのだった。