Japan: A New Age

Resolving territorial problems

 日本は、これらの一連の出来事、中国軍の行動の記録を綿密に取っており、尖閣諸島の官舎を狙ったミサイル発射、日本艦隊が警告したこと、これを無視して中国艦隊は飽和攻撃を狙って、ミサイルを220発も撃ったことなどを時系列に沿ってうまく映像を使って世界に流した。

 さらに唐主席が、日本に対して放送した、日本に核ミサイルを撃ち込む命令を下したこと、またそれを種に日本国民に屈服を要求したこと、などが余すことなく映像を含めた放送が流された。結果として、中国の6か所の核ミサイル基地が跡形もなく破壊され、その地区はこの後しばらく人が入れない無人の荒野となることも放映された。

 そして、射的の的のように撃破される、中国軍用機、艦船の映像をきちんと見せた。

 また、日本がレールガンの開発を済まして、なおかつ性能まで実証したこと、尖閣へ派遣した艦船にレールガンを積んだものがあることは、中国政府に伝えてあることなどを公表した。これは、中国の新たな暴動のきっかけになった。

 特に、軍人の暴動が数多く起きた。結局、中国政府、軍部は勝つ見込みがほとんどないのに、あえて日本に戦争を吹っかけて無様に負けた。これは、兵の命などなにも考えていないことが明らかになったということである。暴動は全土に広がり、中国は無政府状態になって、混乱の地になってしまった。

 韓国に関しては、その行動からして、荒唐無稽な対馬韓国領の考えに基づき、実際に進攻し無残に失敗した。この事実の前には韓国政府のいかなる言い訳も通用しなかった。日本の当然の報復として竹島を奪還した。

 これについて日本は、竹島をそのままにしておくと、韓国のファンタジーの歴史がどんどんエスカレートしていって、今回のようにどこからどう見ても日本の領土で疑いない対馬を韓国領と言い出し、今回の暴挙に至った。従って、日本は正当な領土である竹島を奪還して、韓国民の頭を冷やす必要から今回の行動に踏み切った。さらにその後国際裁判所に提訴して韓国とその所有権を争うと公表した。これは、国際社会の理解を得た。

 しかし、韓国世論は、竹島日本奪還の報に狂いたった。

 そこに、韓国マスコミは愚かな国民をたきつけて、日本に対する全国的なデモを扇動した。結果は、悲劇を招いた。火病を起こしたある男が、韓国人に嫁いだ日本人妻で日本政府の帰国命令にも従わなかった人を狙って、2人を惨殺した。これに対し、英雄視する意見が多くインターネットに出回り、あざ笑う意見が数多く出た。韓国政府は形ばかりの哀惜の表明をしたが、次の事件を防ぐ措置をとる様子を見せなかった。

 日本政府は、さらに残った日本人に引き上げを命令した。さすがに、韓国人に嫁いだ人を含め、韓国に在住する日本人は一斉に引き上げた。引き上げを妨害しようとする韓国政府のものもいたが、阿山首相からの世界に向けてのメッセージに対してまで、実行しようという意見は出なかった。

「私は、韓国政府がこうして引き上げる日本人の妨害をするとは思わない。しかし、もしそうするなら、現在国境付近の上空で待機している戦闘機および飛翔型護衛艦を直ちに向かわせる。その場合、妨害は最大の戦力を用いて排除します」

 引き上げようとする人々に対し、空港でいやがらせのデモをする愚かな人々。日本大使館・公使館は正式には閉鎖し、一部の連絡・事務機能のみ残した。日本の企業は、韓国企業に対する輸出を止めた。

 これは、韓国経済への致命傷になった。

 すでに、日本の産業革命から取り残されていた韓国が、在来品の輸入まで止められると、対外的に競争力のある製品そのものができなくなるのがわかっていないのが韓国国民であった。無論、韓国にも状況をわかっている人はいた。しかし、圧倒的に多数の、愚かなマスコミに踊らされる愚かな国民の前では本当のことは言えない。

 在日と呼ばれる日本に住む韓国籍の人々は、もともと韓国に住む人々から差別されてきたが、最近の本国の同胞の愚かな行為のために、日本では小さくなって暮らすしかなくなってきた。従来は、差別されてきたと言って、いわば差別の当たり屋として嫌われながらも大きな顔をしていたが、昨今の韓国人への風当たりの強さからいえば、へたなことを言えば袋たたきに会う公算が強い。事実、日本で韓国籍であっても、大きい顔をしていたタレントなどは殆ど仕事がなくなってしまった。

 韓国大使が、外務次官に哀願している。

「お願いします。日本からの工業材料を止められたら我が国は成り立っていきません。何とか再開してください」

「なにしろ、民間が決めたことなのでね。貴国の民間が作ったものだから撤去できないという、少女像ですか。あれと一緒です」

「大使館閉鎖はあまりにもひどいのじゃないですか。交戦国扱いです」

「交戦国ですよ。実際に、侵攻しましたからね。お宅の国のキチガイから殺された女性に、『いいきみだ』というような国民が多数派の国とはいずれにせよ付き合いたくはありません。日本人を貶めて、憎ませる貴国の教科書を、自主的に変えないようでは再度の国交は開けません」

 12月8日、江南大学での記者会見。

「では、記者会見を始めます」

「理学部長および地球科学部教授の吉田健一です。

 先般、地震予知について発表し、その際その後いくつかの地震について警告させていただきました。

 その後、観測機器が充実し、現在では日本全体を網羅しております。継続的な観測の結果、関東地震の可能性が高まったことがわかりました。これは、マグネチュード7.8、ほぼ東京直下であり、広い範囲で震度7の非常に強い揺れに見舞われます。

 これによる被害は甚大なものになり、この防止のため、兼ねてより準備してきた防止法を適用したいと考えています。これは、お手元の資料にある通りの方法で、吉川順平氏の発明になる電磁砲を地殻に打ち込んで溜まっているエネルギーを散らそうというものです。

 なお、予測された地震発生の日時は2月28日午後14時頃です。

 また、それに先立って2月8日に磐梯地方でマグネチュード5.8の直下型地震が起きることが予知されているので、出来ればそちらで予防法の試験をしたいと思っています」

 記者からの意見がある。「東京のような人口密集地で、そのような冒険的な方法の実施は危険だと思います。さらに現在の我が国の建築技術からそんなに深刻な被害が出るとは思えないのですが」

「ご存知のように東京は非常に深い軟弱層に覆われており、その軟弱層に60m以上におよぶ杭を立て、それに建物を乗せている場合が多いのです。しかし、最近の研究では震度7ですとこの構造が持たない可能性が高いと考えてられています。たとえば新宿の超高層ビルなどがそれに当たるわけですね。この場合、予知による避難で生命は守れたとしても財産の損害がすさまじいことになります」吉田教授の答えだ。

 記者たちは、地震防止が必要であることに同意せざるを得なかった。

 2月6日雪深い中、会津若松市近郊で50mのボーリング孔に長さ8m直径1.0m余の電磁砲が設置される。東京都からも知事を始め5人が来て見守っている。

 吉田教授が合図をする。「準備はできました。では始めます」計器をみながらカウントする。「3,2,1オン!」

 電磁砲が光を発し、地面がかすかに揺れる。「うん、ひずみが減った。効果はある。皆さん。見てください。この線の中央の線からの離れが地殻のひずみを示します」

 画面を示す。「今砲を打った後です。それからその前を示します」

「確かに、減っていますね」口々に言う。

「それではもう1発撃ちます。3,2,1オン!」またかすかに揺れる。

「ほらどうですか。減ったでしょう」

「たしかに!」

「もうひずみは当初の1/4位になったので、大丈夫と思いますが、念のためもう1発」

「3,2,1オン!」かすかに揺れる。

「うん、もう大丈夫でしょう。ちょっと待ってください。大学の測定器でこの地点の予知をしますので。1時間くらいかかります」

 と電話で大学と連絡を取って、残っている助手に予知観測を指示する。

 約1時間後、吉田教授の電話が鳴る。「もしもし、予測から消えたんだね。よし!ありがとう」皆を見る。

「皆さん、成功です。このように震源予定地の近傍で電磁砲を打ち込むことで、地震の原因になるひずみを解消できることがわかりました」

 都知事が進み出る。「吉田先生、私は感動しました。ずっと恐れてきた直下型地震から救われるとは。ありがとうございます。東京でもぜひお願いします」

「わかりました、全力でやります」

 日本が地震の恐怖から解消された瞬間であった。

 2023年5月、阿山首相がロシアを訪問した。

 出発前に、官房長官に言った言葉は、「尖閣、竹島は片付いた、今度は北方領土だ」

 ロシアは経済的な苦境にあった。

 もともと、近来ロシアの外貨収入源は天然ガスと石油である。そこに、化石燃料に依存しない、日本発の産業革命が起きたため外貨収入が激減した。また、日本の阿山政権はロシアに対する技術移転は基本的に拒絶してきている。

 いまや、ロシアは世界で最も遅れた国になりつつある。

 ロシアは、核ミサイルをアメリカに次ぎ多く持っているが、おそらく日本には通用しない。

 日本は中国との小競り合い(日本側の表現)の後、レールガンによる弾道ミサイルの迎撃体制を公表した。明らかに、ロシアが稼働可能な550発の弾道ミサイルを日本に打ち込んだとしても、すべて迎撃される。結局、かの日本・中国紛争(国際的な呼び名)で、中国が実際に50発の弾道ミサイルすべてを発射してもすべて迎撃されたことは確実である。

 阿山首相の訪問を待つ、ロシア大統領のワレノフの悩みは深い。当然国のトップが訪問するからには、その目的は告げられている。

 それは、「近年の日本による新技術の最恵国待遇のロシアへの解放、シベリア開発の全面的協力を条件として、北方4島の一括返還」であり、彼の指導力で、ごり押しすれば日本側の要望を満たすことはできる。しかし、当然国内的に猛烈な反発があるであろう。しかし、ロシアはいま追い詰められている。

 阿山は、これしかないというタイミングでこの話を仕掛けてきている。

『これは、話を聞いてから判断するしかない』そう決心するワレノフであった。

 ワレノフは、クレムリン宮殿の豪華な玄関で阿山首相を迎える。

 お互いに握手し、用意した会議室に案内する。日本側随員10名であるが、当然、2名の日本語・ロシア語の通訳がついている。日本の提案は基本的に事前の通告通りであったが、さらに具体的な提案があった。ロシアの強みは、広大な国土と豊富な資源である。実際、シベリアの広大な大地の資源は殆ど調べきれていないが、見つかって採掘されているものだけでも膨大である。一面で、その広大さは弱みともなっている。交通に時間と費用が掛かりすぎるのだ。資源を開発したとしても、消費地に持ってくるのに莫大な投資が必要になる。

 それに対する日本側の提案は以下の骨子であった。

 1)日本は、新開発の資源探査設備をもっており、上空5000m程度で飛び回ることで、地下1000m程度までの資源を探知できる。その技術を使って探査を実施する用意がある。

 2)探査が成功すれば、開発に資金を含めて全面的に協力する。

 3)日本は、重力エンジンを使った大型旅客機(1000人乗り)および貨物機(最大10,000トン積み)を標準化している。これは1万m上空を時速800kmで飛行できる。これを、1年以内に旅客機を10機、貨物機を20機提供できる。費用は、資源による支払いとしてもらいたい。

 4)以上の条件で北方4島を日本に返還する。なお、現在のインフラ費用として1兆円を支払うがこれは、技術援助、開発援助のバーターとなる。また、住民には北方4島での居住権を認め、私財については所有権を保証する。

 ワレノフは、政府の要員および関係する有力者と協議した。中に数名、反対する者もいたが、現状のロシアの経済的な状況、さらに日本の提案のメリットを説かれると、結局かたくなな数名を除いて、返還賛成に回った。

 これをもって、日本を取り巻く領土問題は解決した。

 日本は約束を守り、順次重力エンジンを積んだ旅客機、貨物機を持ち込んだ。旅客機は飛行機とそんなに時間は変わらないが、1万トンもの貨物が詰める、長さ100m幅25m高さ12mの貨物機は現在の旅客機と同等の速度で飛べ、かつ費用は船よりかえって低く抑えられる。

 これは、シベリア開発の革命を起こした。

 さらに、日本から持ち込まれた資源探査機3機、これが、シベリア全土を計画的に飛び回った。1か月後には、鉄、銅、鉛、すず、アルミニウム、金・銀、の有力な鉱床候補合計12箇所見つかり、3か月後には鉄、銅、鉛については資源埋蔵量まで明らかになった鉱床が確認された。中でも、銅鉱山は世界有数の埋蔵量を持つものであることがわかった。

 北方4島の返還は、翌年7月に行われた。

 その時点では、シベリア開発に日本が加わることによるあまりに大きな効果が明らかになっており、ロシア側に不満を持つものはいなくなっていた。日本側も、近くに巨大な資源埋蔵量をほこる友好的な国ができることは、極めて都合のいい話であった。また、アメリカ一辺倒でなく、それなりに世界に影響力をもつロシアと親密になることは日本にとっても悪い話ではない。

 北方4島およびシベリア開発に、多くの日本人の青年が出かけていって、さらに開発を加速するのであった。ちなみに、この地区に住んでいる住民は、ほとんどすべてが、そのまま居住することを選んだ。