【ブラット視点になります。】

俺達のパーティーは、俺が盾役兼攻撃担当、エレナが偵察や不意打ち担当、コーデリアが回復と補助担当、シンシアが魔法攻撃担当でバランスの良いパーティーだと思う。

そして俺達パーティーは今、学生用ダンジョンの入場手続きと間隔をあける為の順番待ちをしている。

学生用ダンジョン入り口が5つあるが、魔物は倒してから30分経過すると復活するので、入場は40分の間隔を空けている。 だから40分に5組のパーティーしか入れないので一斉に入ろうとすると順番待ちになってしまう。

「一応、確認だけどダンジョン内ではエレナが偵察と魔物を引き寄せて来る役をやり、俺が先に攻撃して注意を向ける。 トドメはシンシア。 戦闘後に怪我をしていればコーデリアが回復して戦闘中に余裕があれば支援魔法を頼むよ。」

「それで良いにゃ。」

「わかりました。 支援は任せてください。」

「私も、頑張ります!」

「シンシアは頑張りすぎるなよ……。」

「そうにゃ、手加減を覚えるにゃ。」

「えぇ……。 私だけ、扱いが、ひどい?」

「ちなみに狭い部屋で魔物が3匹居たら、どんな魔法使う?」

「えっーと、範囲魔法ですか?」

「やっぱりダメじゃないか……。 狭い部屋でシンシアが火の範囲魔法なんか使ったら俺達が危ないだろ……。」

「あっ……。」

「その辺も実戦で覚えるにゃ。」

「はい……。」

確認も終わった辺りで俺達の順番になった。

「お前達のパーティーは優秀だから3層位は余裕だろうが、油断はするなよ。」

「わかりました。カーラ先生。」

俺達は1階層を探索していたが、最初の敵が出現した時点で早速問題が発生した……。

「いやぁ~~~!!」

「落ち着け! コーデリア!」

「これは想定外にゃ~。」

学生用ダンジョンの1階層は10センチ位の大きめの虫が出るエリアで、コーデリアは虫や爬虫類が苦手だった。 虫の戦闘力はほとんど無いに等しいくらい弱いが、10匹単位の行動をしていたのが尚更、気持ち悪いらしい。

「シンシアは大丈夫なのか?」

「私は、割と大丈夫、です。」

「確か、3層までが虫エリアだったな……。」

「本当はダンジョンの中で連携とかの練習をしたかったけどにゃ。 最終手段にゃ。 ブラット。」

「……お~け~。 コーデリア、シンシア。 担ぐぞ。」

「えっ? かつぐ……」

「ちょっ!」

返事を待たずに2人を両肩に担ぐ。

「エレナ、最短ルートだ!。」

「了解にゃ~。」

「いくぞ!!」

「「きゃああああ~!!」」

最終手段…… それはエレナが先行して敵を殲滅しながら、俺が2人を担ぎながら突き進む。 エレナほどではないが俺もふたりを担いでいても壁を少し走るくらいは出来るから虫程度なら回避しながら加速して走ることが出来た。

低層だから出来る荒技だが、まさか1層から使うとは思わなかったな。 念の為と言うことでコーデリアとシンシアには内緒で決めていた最終手段だった。

「ブラット、このまま爬虫類エリアも進むにゃ!。」

「おい! 爬虫類エリアって7層だろ! カーラ先生に怒られるぞ!」

「仕方ないにゃ。 コーデリアは爬虫類も苦手にゃ。」

「いやぁ! む、虫が!」

「なんな、乗り物、酔いが……。」

「……仕方ないか。 7層まで行くぞ!」

「了解にゃ!」

7層クリア場所にある【帰還結晶】までダンジョン内をコーデリアの悲鳴と酔いでグッタリしたシンシアが疾風の如く進むのだった。