自分達は【レクシオン】に着いてから、とりあえず宿に荷物を預けたら聖教会へ行ってみる事にした。

「やっぱり王都の周辺は他に比べて【魔素】の濃度が高いな……。 これだから王都周辺は魔獣が強いのかもね。」

「私には【魔素】の濃度が分かりませんが、魔獣に影響するものなんですね。」

「魔獣は獣の心臓部にある【魔石】が周囲の【魔素】を取り込む事で変異した生物みたいでね。 【魔素】だけで形になるのが悪霊系だったりとパターンはいろいろあるみたいだよ。」

「人類が【魔素】を取り込んで【魔眼】化ですか? 獣のパターンだと違う感じもしますが……。」

「人類は何故か体内に【魔素】を蓄積する為の【魔石】が無いから過剰な蓄積をする体質だと、【魔力】に変化しきれずに、身体の表面に現れるみたいなんだよ。 それの一部が【魔眼】化だね。 多分、他にも条件はあると思うけど、分かってはいないかな。」

人類はスキルなどを使用する事で魔力の過剰蓄積を回避しているけど、人類の体内に【魔石】があったらどうなるのかな?

一応、自分は心臓部ではなく、脳に【虹結晶】が入っているけど、特に【魔素】を蓄積したりはしていない。 どちらかというと脳と一体化してしまっているから、切り離しは出来ないレベルだ。

人類の心臓部に【魔石】や【虹魔石】を埋め込んだらどうなるか気になるが、それを人類で実験する事は出来ないので分からない。

聖教会に着いたら、マリア様からの紹介状を受付に見せると、慌てて偉い人を呼ぶために走っていってしまった。 流石は【聖人】の権力は絶大なのだろう……。 

しばらくしたら黒いスーツを着た強面のダンディーなおじさんが走ってこちらに向かってきた。

「はあ、はあ。 お待たせして、すいません。 私は【レクシオン】支部責任者のバランです。」

「いえいえ、全然待っていませんし、こちらこそすいません。」

「マリア様の紹介状ですからね。 足の1本や2本もげようが命がある限り、どんな事でも遂行する所存ですよ。 ハッハッハッ」

爽やかな笑顔で恐いことを普通に話す人だな……。

「……やはりマリア様は凄い人なのですね。」

「そうですね。 マリア様は【神の声】が聞けますから、人気度では【聖王】を超えてダントツですね。 それで、治療患者の候補を探す手伝いとありますが、【結晶化】とは【液化病】の事でしょうか?」

「【液化病】?」

バランさんの話では昔から王都では【液化病】という不治の病があるらしく、体内に水が溜まっていき、最終的には死んでしまう病だと言っていた。 かなりレアな病気で【魔眼】化しているかも分からないらしい。

調査が終わり次第、すぐ報告してくれると言っていた。

☆  

聖教会の後は、職業案内所の冒険者カウンターへ挨拶に来ていた。 そこで【レクシオン】のダンジョン攻略をする申請を出しておいた。

【レクシオン】のダンジョンは、水の国にある他のダンジョンより難易度は高いが30階層しかないので、腕試しで参加するパーティーも結構いるらしい。

19層までが中級クラスレベルなので最下層には行かない方が良いと忠告された。 敵の強さによっては諦めた方が良いかもしれない。

とりあえず、明日はダンジョン攻略に行ってみる事になった。