俺がテントを組み立ててる間に、バンさんやハンターさん達が戻って来たようだ。どんだけテントに時間を掛けていたんだろう……。

暗い中でハンターさん達は隣でテントを組み立て始めている。こんなに暗いのによく組み立てられると思う。なんて思っていると、痛って! だの、どこ触ってんのよ! とか聞こえてくる。

なので、邪魔になるだけだから手伝いはできないけど、明かり持ちぐらいはしてあげようと思い買ったランプを持ってハンターさん達の所に行った。

「おぉ、助かるよ」

「凄く明るいランプだな」

「ミーちゃん居ない……」

「いやぁ、明るいって良いな」

若いパーティー、輝く聖剣は男女混合なのでテントが二つ。八つ眼の牙は男性だけなので大きめのテント一つだ。

「そのランプ、頑丈そうだしとても明るいね」

「はい。知り合いの道具屋さんから、ランプだけは良い物を買いなさいって言われたので」

「それどこで売ってんの?」

シュバルツさんのお店の宣伝になるかな?

「ウイラー道具店です」

「知ってるか?」

「確か、北の大通りにあったな」

「高級店通りか……」

「君はもしかして貴族の出なのかな?」

「まさか、そんな風に見えます?」

「着てるものも良い物だし、装備品も良さげだ。ハンターギルドの職員でもある」

そうなの? 着てるものは普通にこっちで買った服だし、装備品は買ったばかりの新品、職員と言っても、正式な職員じゃなくアルバイト的なものなんですけど……。

「普通の平民ですよ。お店は宿の女将さんの紹介です。ウイラー道具店は確かに高級品も扱っていますが、このランプのように実用品で良い物も多く揃えている店ですよ。店主のシュバルツさんも良い方ですしね」

「その子、『憩いの宿木亭』に泊まってるわよ。たまにカウンターにミーちゃん居るから、何度か夕飯食べに行ってるからよく見かけるわ」

「あそこ飯美味いんだよなぁ」

「部屋が狭いのが難点だな」

「でも、値段も手ごろだし私はあの宿に移りたいわ」

「けど、人気があるからなかなか部屋取れないんだよな」

そうなんだ、帰ったら部屋取れなかったりしてね。

「そのランプ見せてもらって良いかな?」

「どうぞ」

「成程、これで調整するのか、それにやはり頑丈だ」

ハンターさん達はランプを囲んで、あーでもない、こーでもないと話をしている。

「そろそろ、飯だってよ。皿とコップ持って来いだとさ」

夕食の準備ができたと、バンさんが声を掛けて来た。

ランプを受け取りテントに行きミーちゃんを抱き上げ、バッグを持って料理を配ってる場所に行く。

料理を配ってる場所はランプが幾つか設置されていて、明るくなっていた。メニューは野菜スープと焼いたお肉にパンだ。

商隊の人達は思い思いの場所に座って食べている。俺も料理を貰って適当な場所に腰を降ろして夕食の準備をする。ミーちゃん用に大きめの布を敷いてあげ、そこにミーちゃんの皿を並べてあげる。

「み~」

ミーちゃんがまだ~? って顔をしてるので急いで猫缶を開けて皿に盛ってあげた。

「それじゃあ。頂きます」

「み~」

ミーちゃんのもう一つの皿にもミネラルウォーターを注いであげる。いつも美味しそうに食べてるね。そんなに美味しいなら今度ちょっと味見してみようかな?

ハンターさん達は、俺の周りで食事を始めたようだ。……ごめんなさい。俺じゃなくて、ミーちゃんの周りだね……。

輝く聖剣の女性陣がミーちゃんの周りに陣取っているせいで、必然的にハンターさん達が集まっているのだ。なんか食べ難いなぁ。

野菜スープは素材の味が出て美味しいけど、お肉は塩を振って焼いただけなので味気ない。なので、ニンニク油を入れたペットボトルから、ほんのちょっとニンニク油をかける。掛け過ぎるとミーちゃんが嫌がるから気を付ける。

「それ、なに?」

うっ、目敏く見ていたようだ。

「ちょっとした味付け用の物ですよ」

「ふーん。ちょっと頂戴よ」

ぐっ、そうきたか。貴重なニンニク油、ペットボトル分あるとはいえ、無駄にはできない……。

「ケチケチしないで、ちょっとくらい良いじゃない」

「ハァ……掛け過ぎないでくださいね。貴重な物だし、この匂いミーちゃんが嫌いなんです」

「うっ、ミーちゃんが嫌い……」

それでも誘惑に負けたようで、お肉に少し掛けていた。

「こ、これって! 『憩いの宿木亭』の味じゃない!」

あぁ、そんな大きな声で言わなくても……。

ハンターさん達が、なんだなんだと寄って来て『憩いの宿木亭』の味と聞いて、ニンニク油を自分達のお肉に掛けていく。ペットボトルが戻ってきた時には半分近くなくなっていた。どんだけ掛けてんだよ! 貴重な調味料が……。

「アハハハ……ごめんね」

良いんです。なんとなくこうなるのはわかっていました……。

食事を食べ終わり、井戸で食器を洗い桶に水を汲みテントに戻り体を拭く。寝るには早い気がするな。

さっき七の鐘が鳴ったばかりだ。鐘が鳴ったと言っても、木の板みたいなのを打ち鳴らしただけだけどね。それにしても、どうやって時間を管理してるんだろう。帰ったらギルドの書庫で調べてみよう。

「ミーちゃん居るぅ?」

「み~」

あぁ、ミーちゃん応えなくても良いのに……。テントを出ると輝く聖剣の女性三人組が居ましたよ。

「なんですか?」

「ミーちゃんを抱っこさせて欲しいの」

「どうする? ミーちゃん?」

「み~」

「ミーちゃんの嫌がる事しないでくださいね」

「「「そんな事、しないわよ!」」」

見事にハモったね。ミーちゃんを渡してあげる。

その間に寝る準備をしておこう。歯を磨き、毛布をもう一枚出す。使わない荷物はまとめてっと、これで良いかな。テントの外ではキャッキャッ、ウフフと姦しい。

する事もないので、AFの短剣の鑑定をする。何度か鑑定してるけど、AF スローイングダガーとしか出た事がない。パミルさんのようにどんな効果があるか迄、鑑定できないんだよね。

できるだけ普段から鑑定して熟練度をあげるように意識はしている。荷馬車でバンさんと話をしながらも、草や花などを鑑定していた。どれだけ効果があるかはわからないけど、やって損はないと思う。ちなみにまだ投げた事ありません……。だってどこ飛んでくかわからないでしょう。今度帰ったら訓練場で的に向かって投げてみようと思う。

短剣を持ち鑑定してみた、やっぱり変わらない。見る角度を変えたり、抜いて刃をみたり、寝っ転がりながら見たりしても変わらなかったね。鑑定にも飽きたのでミーちゃんに声を掛ける。

「ミーちゃん。そろそろ寝ようよ」

「み~」

「「「えぇー」」」

ミーちゃんがテントに入ってきた。横になると傍で丸くなる。何故か女性陣も入って来ようとする。なんですか?

「ミーちゃんと添い寝しようと思って……」

「け、結構です……」

「「「えぇー」」」

なに考えてるだろう。このテントに四人も入る訳ないじゃない。ってそう言う事じゃないし! なんか疲れたよ……。

「ミーちゃん、おやすみ」

「み~」