Kami neko Mii-chan to neko youhin shoukanshi no isekai funtouki

88 Divine Cat Me, you have a filling on your face.

ギルド長の入れてくれたお茶は番茶のような味で、煎餅が食べたくなった。米はあるけど、醤油がねぇ。どうやって作るんだっけ? 中学の社会科見学で手作り味噌、醤油のお店で作り方聞いたけど、殆ど覚えて無い……。

「そう言えば、騎士団とどこかですれ違わなかったか?」

「クイントの手前で抜きましたね。明日には着くんじゃないですか」

「他の部隊はどうだ?」

「セストとセッティモの間くらいでしょうか」

「王都の状況はどうなんだ」

「もうすぐ、第二陣が出るって言ってました」

「誰から聞いた?」

ギルド長は不信な顔をしている。当たり前だね。なので、巡察使の手形を見せた。

「むっ!? ネロ君、君は一体何をやりたいのかね?」

「成行きですよ。王都に着いた時にゼストギルド長に連れられて、王宮に行った際に宰相様にお会いしまして」

時計も貰ったのも見せた。

「君は顔が広いな、ギルドを辞めても十分に生きていける。間違いない」

それとこれとは関係ないと思います。

「それで状況はどうなんですか?」

ギルド長の話では、クイントとクアルトの南の森林及び山が支配地域になってると見ているらしく、クイントとクアルトの間にある白亜の迷宮を急ピッチで砦化し、クアルトから西回りでヒルデンブルグ大公国に繋がる街道は封鎖したそうだ。

「どうせ、すぐわかる事なので教えますが、ゴブリンキングが生まれました。この事を知っているのはまだ一部の者なので注意してください」

「なんだと!? どこでそれを、と言うのは野暮だな……」

「知っておくのと、知らないのではいろいろ違うでしょうから」

「助かる。迂闊に動けなくなったがな……無駄な死は減るだろう」

そう願いたいですね。それでも多くの命が失われるのだろうけど……。

「それで、ネロ君はこれからどうする?」

「一度、クアルトに行って来ます。パミルさんに挨拶もしないと、置いてきた物もあるので」

「あぁ、パミルなぁ……あいつ王都に転属になった」

「はっ?」

「セルティオの後釜に儂が推しておいた。流石に統括主任は無理だが統括主任補佐としてだがな」

「もう、居ないんですか?」

「ふむ。まだ居るとは思うが、わからん」

それでも、行く用事があるからね。明後日の朝、出発しよう。ギルド長は明日の夜に、夕食をご馳走してくれる約束をしてくれた。ご馳になります。スミレも明日まで馬舎を使って良いと言われた。ついでに鞍も頂いたよ。ラッキー!

下に降りて行くと、ギルド内はごちゃごちゃだった。誰のせいとは言わないし、見てない事にする。

「ネロ君! 良い所に来た。手伝ってくれよ~」

ヘンリーさんだ。男に変な声を出されても嬉しくない。

「ヘンリーさん。今日付けで退職したんでお手伝いできませんよ」

「それ、本当かい? 例の件のせいなのかい?」

「まあ、そう言う事です」

「そうか……でも、今日付けなんだろう。今日はまだ終わってない。頼むよ~」

成程、今日はまだ終わってないね。仕方ない手伝うか。

結局、九の鐘までかかり終わらせましたよ。

「やっぱり。ネロ君が居ると早いな……残念だよ」

周りのお姉さん達もウンウン頷いている。

「そうか、自主退職かぁ」

「二年はギルドの職に就けないそうです」

「本部は馬鹿だな。優秀な人材を自分から切るなんて。これからどうするんだい?」

「いろいろ、やる事はあるので当面は問題ありません」

「力になれるとは思えないけど、愚痴くらいは聞いてあげるから、たまには遊びに来なさい」

「ありがとうございます」

厨房のサイクスさんの所に行き、お土産のお魚を渡す。

「おめぇも大変なのに悪りぃな」

「ギルドは辞めますけど、ハンター資格は貰いましたから」

「そうか、いつでも遊びにこいや。歓迎するぜ」

エバさんの元に行き、短い間でしたがお世話になりましたと挨拶した。

「残念です。マッパーの件はどうします?」

「今、他の依頼を受けているので、当面は無理ですね」

「そう……。こんな状況だからマッパーの方も来てくれないし、新しい迷宮もすぐには動かせないから、気が変わったらお願いね」

それでも、迷宮には今もハンターが入ってるそうだ。ロックリザードの皮は良い皮鎧になるので、需要が高くこの状況下で更に必要になってるようだ。

「ミーちゃんとも今日でお別れなのね……。可愛いお仲間も増えたのに……。ギルドで飼うから一匹連れて来てくれない?」

「何度も言いますが、ミーちゃんは特別ですよ。それでも良ければ探しますけど」

「そうなのよね~。でもミーちゃんの居ない間、大変だったのよ……お願いするわ。良い子探して頂戴」

「わかりました。クアルトから戻ったら探します」

そう言って、ギルドを後にしようとしたけど、帰るまでが大変だったのよ。お姉さん達がミーちゃん達を離さなくて……。

ペロとセラは食べ物に釣られ、ミーちゃんは餡子に釣られ、ルーくんは実力行使で羽交い締めにされ戻って来ない。みんな喜んでるけどね。

ミーちゃん! カムバッ~ク!

「み~」

顔に餡子付いてるよ、ミーちゃん……。

「みぃ……」