Kami neko Mii-chan to neko youhin shoukanshi no isekai funtouki

何がなんだかよくわからないので、ゼストギルド長達には笑って誤魔化した。帰ってから確認しよう。

なので、強引に話を変えてゼストギルド長がこんなに忙しい理由を聞いてみた。

「ロタリンギアのせいじゃよ」

「何かあったんですか？」

「ネロ君も知る事になるじゃろうが、ロタリンギアが完全に国交を断絶したようじゃ」

成程、それは由々しき事態だね。と言う事は商隊どころかハンターさん達の行き来もできなくなったって事じゃないの？

「儂がロタリンギアに潜り込ませとるハンターと連絡が取れん状態じゃ。ルミエールの本部も斥候のハンターを潜り込ませとるので大騒ぎじゃ」

「戦争ですか？」

「わからん。情報が無さ過ぎる」

「そんな状態の時になんですが、ゼストギルド長にお願いがありまして……」

「これ以上は体がもたんて……まあ、言うてみい」

目の下に隈ができてるゼストギルド長。冗談抜きに疲れているのだろう。だがしかし、立っている者は親でも使えって言うからね。親じゃないけど利用させて頂きます。

「もしもの時の為に私兵団を作る事になりまして、その兵士になってくれる人達の斡旋をお願いしたいなぁーなんて？」

「領地持ちの貴族になった以上、私兵団を持つのは仕方がない事じゃな。ハンターだった物を雇いたいと言う事じゃろうが使いづらいぞ」

「急な事ですから仕方ありません。徐々に兵の募集はしていきます。それに、私兵団の長はグレンハルトさんにお任せしますので」

「グレンも大変じゃのう。ブロッケン男爵殿の頼みでは断れんのう。だが、儂一人では集められる数はたかが知れとるぞ」

「フォルテのヘルダギルド長にも頼むつもりです。それに、クイントに用事があるのでセリオンギルド長にもお願いしてくるつもりです」

「セリオンはまだしも、ヘルダのひねくれババァはどうなんじゃ？」

「うだうだ言うようなら、ローザリンデさんに賄賂を送ってOHANASHIしてもらおうと思ってます」

「ネロ君……おぬし悪よのう～」

「いえいえ、ゼストギルド長に比べれば俺などまだまだ未熟者でございますよ」

「「ハッハッハッ！」」

パミルさんが馬鹿二人を見るように呆れているね。

余り長居してもご迷惑なので、人材提供のお礼も兼ねてミーちゃんのミネラルウォーターを一本ゼストギルド長に進呈してお暇する。パミルさんがそれを見て、ギョッとした顔を見せていたけどそ知らぬふりをしてハンターギルドを出て来た。ギルドのお姉さん達の恨めしい目線を巧みに交わしてみんなを連れ出した事は、我ながら称賛に値すると思うよ。

せっかくなので、ウイラー道具店にも寄って行こう。

お店の中にはお金持ち風のお客さんが何人か居てマルコさんとフィオリーナさんが接客し、それをシュバルツさんが見ていると言う感じだ。

「これはミー様、ネロさん。それに白白ちゃんも、ようこそおいでくださいました。どうぞこちらへ」

シュバルツさんはマルコさんに目配せしてから、カウンターの裏の部屋に案内してくれた。俺にはお茶を、ルーくんとラルくんには牛乳を、ミーちゃんは俺が出すミネラルウォーターしか飲まない事を知っているので皿だけを出してくれる。ミーちゃんにお皿にミネラルウォーターを出してあげると、ペロペロと勢いよく飲んでる。にしても、白白ちゃんって……。

「おや？　皆様少々お疲れのご様子。如何なさいました？」

「ハンターギルドのお姉さん達に癒しを提供していたのでちょっと疲れたようです」

「確かに皆様であれば最高の癒しでございますね」

「み～」

「がう」

「きゅ～」

ミーちゃん達も自分達が癒しを与える事を誇りに思ってるからね。シュバルツさん、ミネラルウォーターを飲み終えたミーちゃんを抱っこして撫で始める。どうやら、シュバルツさんも癒しが必要なようだ。

「王都には知り合いが多いもので……仲の良い者ばかりとは限りませんから、致し方ない事です」

成程、男爵時代の繋がりがあるんだろうね。良い意味でも、悪い意味でも。

「先日はペロさんがお客様をお連れになり、買い物をしていってくださいました。いろいろ買って頂いて大変恐縮です」

「ははは……ウイラー道具店は良い品が多いですから、迷宮探索に行く彼らには良い買い物ができたと思いますよ」

ペロ達は遠慮と言う言葉を覚えるべきだと思うよ。請求書が届いた時には、笑いしかおきなかったね……。

「ほう。迷宮探索ですか？　白亜の迷宮は今は入れないと聞いておりますが？」

「クイントの街の近くに流れ迷宮ができたのです。ゴブリンキングのせいで迷宮探索に出るハンターが居ないようなので王都のハンターギルドにも迷宮探索の依頼が出たみたいですね」

「流れ迷宮と言う事は過去に発見された迷宮であれば、階層の地図は既にあるでしょうから探索しやすいでしょうね」

「いえ、それが未発見の流れ迷宮なので地図がありません」

「それはそれは……大変な探索になりますね。マッパーを雇うのはお金が掛かると聞いていますが？」

「メンバーにマップスキル持ちが居ますのでお金は掛からないです。ははは……」

そのマッパーは俺なんだけどね。

「み～」