Lead the other world.
3-5 Dialogue with the Deputy Knights Commander 1
「ふぅ、ここに来たのも久々だなぁ……」
拓海はアストレア聖騎士団の副騎士団長モーガンに会うためアルカディア城の騎士団訓練場の中心にある建物に到着した。
そして建物内に入り、拓海は早速モーガンに会うため一階の騎士団訓練場受付にモーガンと話したい事があるから会いたいと頼んだ。
それから受付の人が何やら手元にある機械を弄り、しばらくすると拓海に二階の副騎士団長室に入る許可が下りた。
受付の人に一言礼を言ってから拓海は二階に上がり、一番奥に進み他の部屋より一際広い部屋のドアをノックした。
「モーガンさん、拓海です。少し話したいことがあるので入って良いですか?」
拓海が少し大きめの声でそう尋ねると、部屋からモーガンの「入って良いぞ」という声が聞こえたのを確認して拓海はゆっくりドアを開けて副騎士団長室に入室した。
「よく来たな。そこのソファーにでも取り敢えず座ってくれ」
「ありがとうございます」
勧められた拓海はモーガンに部屋の真ん中にあるテーブルを挟んで設置してある向かい合わせのソファーに腰を下ろした。
そしてモーガンが紅茶っぽい味がする飲み物が入ったカップを二つ持って一つを拓海の前に置いてから、拓海の対面に腰を下ろした。
「それで、今日はどうした? 拓海君から俺に直接会いに来るなんて中々ないからな。もしかして騎士団に入りたくなったのか?」
「あ、いや騎士団に入りたくて来た訳じゃないですよ」
「そりゃ残念だな……」
拓海は少し肩を落としたモーガンに苦笑いしつつ、飲み物のお礼を言うと早速本題に入った。
「今日来たのは先日俺達が討伐したバンダースナッチの件です」
すると拓海の言葉にピクリと反応したモーガンは拓海を真剣な表情で見据えて頭を下げた。
「その件に関しては本当に申し訳なかった。事前調査にはうちの団員も一部行っていたようだからな」
突然頭を下げ謝るモーガンに拓海は慌ててかぶりを振った。
「いやいや、その事で怒ってここに来た訳じゃないです。今日はいつ、どこからバンダースナッチが現れたか知りたくて来たんです」
そんな拓海の言葉に頭を上げたモーガンは眉をひそめた。
「ふむ、知ってどうするつもりだ? もし一人で殴り込みに行くようなら教えないが」
心配している様子のモーガンの言葉に拓海は少し笑って答えた。
「まさか、殴り込みなんてするつもりないですよ。 ただ胡桃の話ではギルドの事前調査でここまでの見落としがあるとは考え辛いって聞いたから、気になったんですよ。あと、もしかしたら最近の死の森の噂とモンスターの大量発生とも何か関係があるんじゃないかと思ってるんですけど」
「うぅむ……」
モーガンは拓海の言葉に息をのみ、少し考えるような仕草の後一息ついてから話始めた。
「いやぁ……鋭いな。俺も最近の死の森の噂とモンスターの大量発生とも関係があるんじゃないかと考えていてな」
そしてモーガンは難しそうな表情で唸ってから話し始めた。
「実はバンダースナッチがいつどこで現れたのかさっぱり分からなくってなぁ。どこかから来たというより最初からそこにいた、そこに誰かが召喚でもしたかのような……。ふむ、そうだな。このことについて少しお互いの情報交換でもするか……」
そして拓海はモーガンはお互い真剣な表情で何が起こっているかの考察や情報交換をし始めるのだった。