Lead the other world.
6-17 Inside the Elf 'Arezel' 1
あの後、拓海とソラがアイリスと話した結果、森の外で待機していた胡桃達も里に来ていいという了承を得たのだが、拓海がそんな決断勝手にしていいのかアイリスに聞いたところ「大丈夫です! 私、姫なので!」だそうだ。
里の守人と呼ばれるエルフの里の番人の一員である拓海とソラを襲った五人がアイリスが現れてから膝をついて終始頭を下げていたのを見ても、どうやらアイリスは拓海が想像していたよりもかなり権力を持っているようだ。
そして拓海は森の外で待機していた自分の分身からそのことを胡桃達に伝え、胡桃達も拓海達と合流したのであった。
ちなみにアイリスと初めて会った柑菜は「わぁ……綺麗な人……」と感嘆の声をもらしなから見惚れて、アイリスは真っ白な獣耳と髪を持つ志乃を見て、目を輝かせて「可愛い……」とぼやきながら頭を撫でていた。後から聞いた話だが、志乃曰くアイリスは撫で方が上手で良い香りがするので良い人らしい。
そんな感じで合流した拓海達一行はアイリスの案内でエルフの里になんとか到着したのであった。
「おぉ……おぉぉ……」
白い角を持つ透明感のある馬のようなモンスターを引き連れたアイリスに続いて、蔦で出来たトンネルを潜り抜けた拓海は目の前に広がる光景に思わず感嘆の声をもらした。
里の中心には森の外から見えた巨大な一本の大木があり、その手前に立派な城が建ち、周辺にお洒落な木造の建物が沢山建ち並んでいるのが分かった。また里の上空には巨大な大木から降り注ぐ直接見ても目が痛くならない様々な色の光の粒が雪のように降り注いでいた。
拓海の後に続いてやって来た胡桃達四人も、拓海と同じように里の様子に目を輝かせているのを見たアイリスは小さく微笑んだ。
「ふふっ、皆様ようこそお越しくださいました。エルフの里『アレゼル』の王女、アイリス=エレンウェが歓迎いたします!」
そう拓海達を歓迎しながらアイリスは左足の膝を曲げてスカートの裾をつまんでお辞儀をするのだった。