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8-33 Family of True Ancestors 4

「お前は……」

拓海達三人の目の前に現れたのは紅蓮の炎を身に纏った白銀の鎧に真紅のマント。

エンヴィー卿の後ろに控えていた騎士であった。

「お前達、ここで何をしている?」

「それはこっちの台詞なんだが。あんたこそ何やってるんだ?」

騎士の言葉に答えることなく、強い口調で拓海がそう応えると、沈黙が続いて余計に空気が張り詰める。

すると騎士が全身に纏っていた炎が消えた。

その直後拓海は、鎧で見えないが騎士の殺気を込めた視線が自分に向けられたことに気づき、身の危険を感じた。

「“ラヴァ・ゼーデル”」

「“ブリザードアルマ”」

魔法の詠唱は同時。

騎士の溶岩を纏う大剣から繰り出される紅蓮の斬撃と、拓海の桔梗から放たれた氷属性の魔力の蒼い斬撃が交錯して、水が一瞬で蒸発する音が部屋中に響き渡り、大量の蒸気が発生した。

拓海の魔法により一瞬だけ騎士の紅蓮の斬撃が止まるが、両者が使った魔法の威力は段違いなので騎士が繰り出した斬撃が蒼い斬撃を打ち消して、そのまま拓海達に迫る。

だが一瞬斬撃を止めたことで、アイリスとノアも余裕を持って回避する時間ができて、拓海だけでなく二人とも後ろに下がって斬撃の軌道から逃れた。

「見違えたな少年」

鎧を着た巨体に似合わず、魔法の詠唱から間髪入れずに一瞬で間合いを詰めてくる騎士に驚きながらも拓海は霊気を身に纏って桔梗を構えた。

そして叩き斬るように繰り出された騎士の一撃を桔梗で受け止めた時に、騎士が大剣を持っていない左手にあるものに拓海は気が付いて目を見開く。

黒く禍々しく輝いている小さな宝石。

拓海はそれを知っていた。

それは以前大和にいた時に、拓海とソラは無人島に飛ばされて魔将アモンと戦うことになった原因である、宝石が砕かれた時に触れている人物とその近くの人物達を事前に定めておいた場所にワープさせるというものである。

「二人共、後で必ず行くからそっちは任せたぞ!」

この後自分がどうなるか分かっていた拓海がそう叫ぶと同時に、騎士が手にしている宝石が砕かれて拓海と騎士の二人はその場から消えるのであった。

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空は二つあったはずの月が一つに重なり、紅に輝いて街を照らしている。

逢魔時の街、メーテスの教会前。

騎士と拓海の二人が対峙していた。

「俺はあんたに会った記憶はないんだが」

ワープする前にかけられた言葉に対してそう答えると、騎士は片手で持った巨大な大剣を肩にかけて答える。

「ふむ。お前と会ったのは我であって、我ではないからな」

「どういうことーーッ!?」

騎士が言っている意味が分からず、拓海はそう疑問を口にしたところで、何故か騎士と自分の知る因縁の敵の立ち振る舞いや纏っている雰囲気が被って見えてしまい、絶句してしまった。

それは、拓海がこの世界に来てから初めてどうやっても敵わないと思ってしまうほど実力の差を感じさせられ、大切な仲間であるアイリスを一度死に追いやった因縁の相手である。

何も言えずに固まっている拓海に、騎士は真紅のマントを翻して大剣を構えた。

「我は聖騎士マルコシアス。我が半身が世話になったな」

鎧の間から眼の紅い光がもれるマルコシアスは、その言葉と共に拓海に向けて先程までとは比べ物にならないほどの殺気を放つのだった。