Levelmaker

Episode 711: After Lil's Birthday (Sho)

「わふーーん」

「よしよし」

ケーキもすごく美味かった。

リルにとって良い誕生日になってれば良いんだがな。部屋に戻って来た俺は、赤ずきんを被ったリルにずっとベタつかれていた。

誕生日会が終わるまでずっと涙目だったか、もしくは泣いていたリル。今もまだそれは続いている。

「幸せだよ」

「それならよかった」

「私、絶対に今日のこと忘れないさ」

予想通りの言葉を言うリル。

どうしよう、リルの幸せそうな顔がクセになるかもしれない。

「大好きだよ、ショー。私が今こうして心底幸せなのもショーのおかげだね」

「誕生日会は全体的に有夢がやったんだぞ?」

「そういうことじゃないよ。今の私がいるのはショーのおかげってこと」

「ああ、そっちか」

リルは俺の背後に移動し、後ろから抱きついてくる。いつもより締める力が強い。実は結構力があるリルにこうして抱きしめられて耐えられるのは俺くらいだろう。

それを耐え抜いたぶん、最高の柔らかさというものもあるっちゃ、あるんだが。

「ショー、寝る前に一緒にお風呂入ろ?」

「ああ、今日は俺もそのつもりだった」

というわけで俺とリルは自室の風呂に移動…せず、大浴場へとやってきた。

「特別に解放してくれるんだとよ」

「わふーん。ありちゃんには今日はたくさん色々してもらってるね」

「ま、あいつは尽くす時は尽くすタイプだからな。やりすぎるくらいに」

男女別だったはずの入り口が統合し、混浴と暖簾に書かれている。なんでも有夢と美花、二人きりで入ることも多々あるからこのような合併機能もつけてるんだとか。

あいつら、ここであんなことやこんなことしてるのか?

まああの二人だしな、有りえるな。

「わふん…混浴かぁ…」

「だな。入るぞ。有夢曰く二人っきりの貸切にしてくれるらしい」

「豪華だね」

脱衣所と一緒だ。

リルは顔を赤らめながら俺の隣で脱ぎ始める。だが抵抗はもうないな、さすがに。裸の付き合いはこれで何回目か、もう俺たちも数えられなくなってきたからな。

俺にしては珍しくゆっくりと風呂に入り(大抵リルと一緒の時はゆっくりだが)、色々としてもらったりし、風呂から出た。あとは寝るだけだ。

「わふーん、翔。今日はね、あの日の時と同じ布面積があんまりない下着なんだよ。これをつけるのは一ヶ月ぶりくらいだね」

「お、おうそうか」

寝間着に着替えてはいるが……その下がアレだと思うともう…。い、いやその前に渡すものと送る言葉があるんだ。まだ誕生日は終わっていない。

「さ……翔、今日はたくさん私のことを抱きしめて、キスして…好きだって言ってよっ!」

「あー、そのことなんだがリル、事に至る前に俺はまだもう一つ、リルに渡し忘れたものがあるんだ」

「わ、わふぇ?」

ベッドに横になろうとしていたリルは首を傾げながら立ち上がった。俺はマジックバックから薔薇の花束を出す。

「これをリルに贈るぜ。101本の薔薇だ。……愛している、リル」

「あ、愛してる…私を…」

「本気も本気、大真面目だ。これからも、ずっと一緒にいような」

「うん…うん、いるよ一緒にっ……しょ…しょう…ショーっ……」

リルが今日だけで何回目かわからない目に涙を浮かべて俺に抱きついてきた。泣きじゃくりながら俺の耳元で愛してるだとか大好きだとか言いまくってるな。

俺は頭を撫でてあやしながら抱きしめ返す。

「そんなに嬉しいか」

「今日は…これ以上の日は…きっと…!」

「いや、これ以上に幸せだと感じる日はきっとまだたくさんあるだろうぜ」

「わふん、でもショーがいること大前提だよ」

「だな」

そのあと、花束は秘密に用意しておいた花瓶の中にすべてきれいに刺しておいた。

リルはずっと俺にべったりくっついている。

やはり、反応から何から何まで可愛くて仕方がない。

「じゃあ、ショー……寝よっか。ううん、寝かさないよ!」

「そうなのか」

「うんっ」

俺たちはそのままベッドに入り________

新年を迎えてもずっと________

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「おわっ!? もう午後の1時か!」

起きた時にはすでにその時間だった。

昨日、寝落ちしたのは何時だ? わからん。新年は超えていたのはわかっている。下手したら朝日もさしてたかもしれない。

リルはというと、素っ裸でぐっすり眠ってるな。

寝顔までも幸せそうだ。

「好きだぜ。本当に、愛してるからなー」

俺は一旦下着を着てから、リルの耳元にそう囁いた。

俺の愛は本物だ。リルのためならなんでもできると、今ならいい切れてしまうだろう。

そんなこと、前々から言い続けてるが。

とりあえず布団はかけ、俺は一日にすべき仕事をすべてすぐにやり終える。

さて、今日から新年だ。

なにも争いがない、いい年だといいんだがな。