「炎付与!炎の剣」

とレンが言った瞬間に、剣に炎が纏う。

やはり剣に何かしらの魔法を纏わすのは格好良いなとレンは思いながら武器を振るう。

「剣術スキルのおかげで自由自在に操れるな!」

アニメなどの戦闘シーンなんかを見ると、あんな動き出来ないだろと思うことが多いが実際にスキルを使ってみるとそれが出来るものだ。

「そうだ!炎の温度を上げてみよう」

化学の授業なんかでやった記憶があるが、温度が高ければ炎か青くなるみたいなことがあった気がする。

とりあえずMPを多めに注いで見る。

バキッ…と音を立てて剣は砕ける。

「ちょっ…大丈夫?」

エリアスが声をかけてくる。

「ああ!MPの量を間違えたのかもしれない…」

と言っていると剣が再生を始めた。

「剣が直るってどうなってるのよ」

とエリアスは驚いたようだ。そういえばエリアスには見せてなかったか…

『マスター、魔力操作の使用をお勧めします』

とナビゲーターさんがアドバイスをくれる。

「そうだね。前にやったのに忘れてたよ」

と返事をする。スキルが多いのも大変だ。忘れてしまうことがある。自然と何でも出来るようになりたいものだ。

「おお!魔力の流れがわかりやすいな、これなら…」

剣が壊れない量のMPを注ぐことができる。そして成功した。

「おお!成功だ」

今度は、武器を壊さずに色を変えることが出来た。

「次は魔法を試してみるか…なぁエリアス、闇魔法ってどんなのか知ってる?」

あまりイメージがわかないためエリアスに尋ねてみる。

「うーん、よくわからないね。妨害とかかな?」

エリアスも知らないようだ…デバフ系だろうか?と仮定する。

レンは適当に闇魔法を使ってみる。

すると手に黒いモヤが現れた。

「こう、ファイヤボールと同じやり方で…」

と闇を投げると黒い霧のように周辺に広がった。

「なるほど…エリアスの言う通り、妨害に使えそうだ」

と呟く。

「ねぇ、レン。私の練習を手伝ってくれない?」

とエリアスが言ってきた。

「ああ!今いくよ」

と言ってエリアスの方に向かう。

エリアスは、前回やった弓から復習を始めた。

そして今度は、槍の練習をする。

「今は、俺の槍を使ってるけどエリアス用の槍を作らないとだな!」

とレンはエリアスに言った。

「たしかに、いつまでもレンのを借りるわけにはいかないよね…」

と言う。

「それに、エリアスのユニークスキルは全武器に適性があるってものだし、出来るだけ多く持ってた方が良いな」

どうしたものかとレンは考える。

錬金魔法を使えば俺でも武器を作ることが可能なのだろうか?と考える。

『鍛治スキルを取ることでさらによくなると思います』

とナビゲーターさんが言う。

「出発までには用意するか…」

と思った。

「さて俺と手合わせでもしてみるか?」

とレンはエリアスに言う。

「あ!それは良いね!」

とエリアスが言う。

お互いに剣を構える。そして練習をするのだった。

街に帰りながらレンは、エリアスに言う。

「やっぱり武器はたくさん必要だな。アイテムボックスは俺がエリアスにも使えるようにするから。後は武器をすぐに切り替えないとだな」

と思ったことを言う。

「そうだよね。すぐに武器を変えないと攻撃されるよね」

とエリアスも同意する。

「まあ、のんびり考えよう。明日また黒龍が来るなんてことはないんだから」

とレンは言う。

「そんなに来たら困るよ…」

とエリアスが笑った。

そしてあっさりと日にちは流れ、レン達が王都に出発する日となった。

すでにアリーやフィレンなどギルドの人たちや冒険者にも挨拶を済ませて、ゴリスと合流していた。

「それじゃあよろしくお願いする」

とゴリスが言う。

「はい!よろしくお願いします」

とレンとエリアスが挨拶をする。

そして馬車に乗り、レンとエリアスはフェレンスを後にするのだった。

それにしてもこの街が最初に来たとこだったが、いきなり凄い体験をすることになったな…とレンは心の中で思った。

そしてまた戻って来たいとも思うのだった。

レンとエリアスの様子を見たらただボーっとしているように見えるかもしれないがそれは間違っている。きちんと周囲の警戒を行なっているのだ。

新人などは、外を見回したりなどが必要だが、レン達にはその必要がない。ゴリスが何も言わないのはレン達を信用しているからだろう。

「ん?」

とレンとエリアスが同時に反応した。

「ゴリスさん、魔物がいます。馬車を止めてください」

とレンはゴリスに声をかける。

「おう!わかった」

とゴリスが馬車を止める。

「エリアスは、ゴリスさんを守ってくれ!俺1人で十分だ」

と言ってレンは魔物を倒しに向かうのだった。