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7. Dawn Moon Pavilion (7/21/2019)

それからエレナさんに言われた通りに歩いていると夕焼けに月の絵が描かれた看板を見つけたので早速お店の中に入った。

「いらっしゃいませ。暁の弄月亭へようこそ」

そう元気な声を掛けてきたのは、焦げ茶色の髪の女の子だ。私より少し背の高く髪を後ろで束ねているけど背中ぐらいまで長さがある。少しかっこいい感じもあるけどかわいい女の子だ。多分10歳ぐらいかな?

「泊まりたいけど部屋は空いていますか?」

「は、はい。一泊銀貨2枚で朝晩の食事とお風呂付きになります。お風呂なしだと銅貨2枚安くなりますがどちらにしますか?」

「お風呂付で一泊お願いします」

そう言って銀貨2枚渡した。

「あ、ありがとうございます。お部屋までご案内しますね」

そう言って女の子が歩き出したで私は、その子の後について行く。

「食事はどうなされますか? 荷物を置き次第すぐにお食べになりますか? それとも後にしますか?」

「すぐ貰ってもいいかな?」

「分かりました。荷物が置き終わったら受付の奥にある食堂に来てください」

「わかった」

そんな会話をしていたら私の泊まる部屋に着いたようで部屋の鍵を開けていた。

「こちらの部屋になります。鍵は、無くさないようにしてくださいね」

「はい」

そう言って女の子は、私に鍵を渡すと去って行った。

女の子の後姿を見送ってから部屋に入って中を見渡すとベッドとタンス、机、椅子などが部屋に置いてあった。そして、さらにクローゼットもあった。広さ的には、6畳ほどでクローゼットが1畳と思っていたよりも広い部屋だと思う。

「思っていたよりいい感じ部屋かも」

そんなことを思いながらご飯を食べに食堂へと向かった。

食堂に入ると思っていたよりも多くの人がいた。時間的にはそれなりに早いと思うけど、この時間にこれだけの人がいるってことはこの世界の人は夕食を食べるのが早いのかな? とそんなことを思っていると先ほどの女の子が私のことに気付いたようだった。

「あ、さっきの子……」

そう言うと後ろからそのお母さんらしき人がこっちにやって来た。その女の人は、女の子と同じ色の髪で同じ髪型をしていた。しかも背が高くてかっこいい感じの美人さんだ。多分だけど170センチは、あると思う……。そんなことを思っていると私に声を掛けて来た。

「あなたが新しくやって来た子かな?」

「はい」

「私は、この暁の弄月亭の女将をやっているラナよ」

「私は、ローラ。よろしくお願いします」

「レーナよ。よろしくお願いします」

「何か気になることがあれば私に聞いてね。あ、席は空いている席に座っていいから」

「あ、はい」

私はそう返事をして近くに空いていた席に座った。それからしばらくすると女の子がご飯を持ってきた。持ってきたものは、パンと具がたくさん入ったシチューにサラダそして果実水だ。そのおいしそうご飯の匂いが私の胃袋を刺激する。まともな食事をするなんてこの世界ではいつぶりかな……。そんなことを思いながら手を合わせる。

「いただきます」

そう言って私はご飯を食べ始めた。まずは一口シチューを食べたらとてもおいしくて夢中で食べていた。お肉にいろいろな野菜によって出来たシチューは、それらの素材の旨みが出ていておいしく肉もとても柔らかい。パンにつけてもおいしい。野菜もシャキシャキしているし果実水は、すっきりとした味でとても飲みやすい。そんな料理をあっという間に完食した。それにしても懐かしい味覚の刺激にこの世界の食事もおいしいことが分かりかなり安心した。そんなことを思っているラナさんが急に声を掛けて来た。

「なかなかの食べっぷりねぇ」

「この料理がとてもおいしくてつい……」

「そうなの? ならもう一杯食べる?」

「え? いいの?」

あの料理をもう一杯食べさせてもらえるの? そのことに驚いているとラナさんが口に人差し指を当て小さな声で呟いた。

「今回だけだよ?」

「お願いします」

私は、ラナさんのお言葉に甘えてもう一杯シチューとパンを貰った。今度は、味わうようにゆっくりと食べた。