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12. YourBattle (10/6/2019)

森に入るとユアは、依頼に必要な薬草や木の実を採取して行く。私はというと、ユアの後をついて行っては魔物が来ないか辺りを警戒しているだけだ。

「採取が終わったから次のところに行くね?」

「うん」

先ほどからこの会話を繰り返していると近くに魔物の反応があった。まだ距離はあるけど、私達のいる方に進んで来ているようだ。一応、ユアにも教えようと思って声を掛けようとしたらユアから声を掛けられた。

「何か来るかも?」

ユアに魔物を来ていることを教えようと思ったら、ユアがそのことを先に言ってきて少し驚いた。

「分かるの?」

「一応、何かが近づいて来ているから」

「どの方向からか分かる?」

そうユアに聞くと『多分こっち』と言って指を指した方角は、私が把握した魔物がいる方向と同じ場所を指した。

「確かにいるわね……」

私がそう言うとユアは、驚いた顔をして私に聞いてきた。

「レーナちゃんも分かるの?」

「まぁね? それでどうするの? 戦う?」

「……どれだけいるか分からないから離れた方がいいかな? と思うけど……」

「数が分かれば戦うの?」

「……少ないのなら」

そう言ったので一応確認すると反応が3つあった。

「……敵の数は3かな? 多分ゴブリンだと思うけど」

「え? レーナちゃんはどれだけの敵がいるのか分かるの? それに魔物まで……」

「一応ね? ただゴブリンだと思ったのは、動きがそこまで速くなかったからそう思っただけだから。……それでどうするの?」

「……2匹ぐらいなら何とかなるから1匹はレーナちゃんに任せてもいいかな?」

「いいよ」

「それじゃあ、お願いね?」

「うん」

そう言うと私達はその魔物が出てくるだろうと思われるところで待ち伏せをした。

それからしばらくするとゴブリンが2匹茂みから出てきた。するとユアが短剣を持って動き出した。素早く動くと1匹のゴブリンを背後から首を切りつけた。ここまでの動きではほとんど音を出さずにゴブリンに近づいたことに少し驚いた。

「ゴギャ」

するとゴブリンは悲鳴みたいな声を上げて、ふらついていた。どうやら今の一撃では、倒すことができなかったみたい。それでもそのゴブリンはかなり重症のようであまり動きが良くなかった。でも、近くにいたもう1匹のゴブリンは、何者かに襲撃されたことを理解したようでユアを見つけるとユアに向かって走り出した。ユアは、先程深く切り付けて動きの鈍ったゴブリンにもう一度同じところを切りつけて向かって来たゴブリンの死角になるところに移動しながら向かって来たゴブリンの方に切り付けたゴブリンを倒した。

すると先ほどのゴブリンの歩みが少し遅くなりその間にユアは少し距離をとった。倒れたゴブリンはというとピクリとも動いていなかった。どうやらちゃんと斃せたみたい。

ユアの戦闘をみて、思っていたよりも戦闘には慣れているようにみえた。これなら残りの1匹も大丈夫そう。とそんなことを思っていると奥からもう1匹のゴブリンが顔を出した。

私は茂みから出てきたゴブリンを確認するとさっさと片付けようと思い、茂みに近づいて頭部に向かって槍を突き刺した。するとカランと音が鳴りゴブリンが倒れた。それからゴブリンがちゃんと斃れたことを確認してユアの方をみると、音が気になったようで一旦距離をとってから私の方の様子を伺っていた。

すると私の足元に転がっているゴブリンに少し驚いた表情をしていたけど、すぐに今相手をしているゴブリンの方を向いて集中していた。

それからユアとゴブリンの戦いを見ていたけど思った以上に時間がかかっていた。ユアの戦闘の様子をみるとどうやら正面から戦うのは、苦手なようで攻めあぐねているようにみえた。でも、その分よく観察をしているようで武器同士で打ち合ったときゴブリンが僅かによろめいたときに攻撃を仕掛けて大きなダメージを与え、それから隙をついて何回も切り付けて動きが鈍ったときに首を切りつけてユアの戦いは終わった。

ユアの戦いは、長かったけど無理をせずにチャンスが来るのを待っていたし、攻撃をしっかりと見極めていたためゴブリンの攻撃がユアに当たることがなかったのだと思う。腕力があまりないため時間がかかっていたのかもしれないけど、ユアにもう少し力があったのならサクッとゴブリンを倒すことができそうだと思った。