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116. To the Inn

宿に着いて中に入るとラナさんが私を見て少し安心した表情を見せたかと思ったらすぐに驚いたように私に声をかけてきた。

「レーナちゃん、その子どうしたの?」

「かなり疲れたみたいで動けないみたい。この子も私と同じ部屋に泊めたいけど大丈夫ですか?」

「別に構わないけど、レーナちゃんの部屋は1人用だよ?」

確かに1人部屋かもしれないけどそれなりに広いし彼女1人ぐらいなら問題ないと思う。それに1人部屋と言っても結構広いしね?

「大丈夫です。料金は払ってある分から1日分引いてもらえませんか?」

「大丈夫よ」

「お願いします。お風呂に入ってから食事をもらいますね」

「声を掛けてくれれば部屋まで運んであげるよ?」

「いいの?」

そう言うとラナさんが頷いた。

「後で声を掛けます」

そう言ってユアを風呂場まで運んでいった。

「お、お風呂に入るの?」

ラナさんと別れて少し経った頃にユアがそんなここを聞いて来た。

「そうだよ。あ、心配しなくても大丈夫だからね? 私が洗ってあげるから」

「そ、そうじゃないけど……」

と言って何かぶつぶつと呟いていたけど何を言っているのか聞き取れなくてユアに聞いたけど「何でもない」と言われてしまった。本当にどうしたのかな? そんなことを思いながら脱衣所に入り服を脱ぐ。ユアも1人では脱ぐことも大変そうだったので手伝ってからお風呂場へ連れて行った。

「これがお風呂なの?」

「もしかして見たこと無かったの?」

「うん。どういったものなのかは聞いたことはあったけど実物をみるのは初めてなの」

「そうなの?」

「うん」

やっぱりお風呂って一般的じゃないのかな? そんなことを思いながら湯を張って行く。一応ユアにもどうやるかは説明してやってみせたけど魔石に触れるだけでお湯が出てくることに驚いていた。そんなことがありながらユアの体を洗っていくが服を脱がせたときにも気が付いたけどユアの体のあっちこっちに痣や刃物で切り付けられたような跡をあった。

「体に痣や切り傷の後があるけどこれはやっぱりあいつらの仕業?」

「……うん。でも、時間が経ては消えるからもう問題ないよ」

「まぁ、彼等がいなくなったから今後増えることは無いと思うけど一応、魔法を掛けておくね?」

そう言って魔法をかけて行くがそれほど深い傷じゃないのに魔力消費が思っていたよりも激しかった。

「?」

そんなことを疑問に思っているとユアが私の様子に気が付いたようで声を掛けた来た。

「どうかしたの?」

「思っていたよりも魔力消費が大きくて驚いただけだよ」

「そうなの? それって大丈夫なの?」

「大丈夫だから気にしなくてもいいよ」

そう言いながらユアの切り傷や痣を治療していく。その時になんとなく思ったことだけど新しそうな怪我よりも古そうな怪我の方が魔力消費が大きい事に気が付いた。古い傷程魔力を多く消費をするのかぁ。そんなことを思いながらユアの体を洗っていた。それからユアの体や頭を洗い終えた。

「今度は私がレーナちゃんの体や頭を洗ってあげる」

「別にいいよ。腕動かすことも辛いでしょ?」

「腕くらいは動かせるから洗えるよ?」

「そうなの? それならどうして自分で洗うって言わなかったの?」

「そ、それは、何か言う前にレーナちゃんが洗ってくれていたからというか……」

そう言われると治療していてそのままユアの頭や体を洗っていたかも? それは悪いことをしたかもしれない……。

「嫌だったらもっと早く言ってくれればそんなことしなかったのに……」

「い、嫌なんかじゃないよ! その、落ち着くと言うか、嬉しいと言うか、懐かしいと言うか……あ」

と言ってユアは俯いていた。自分で言っていたことに気が付いたみたい。私も顔が熱いような気がする……。でも、嫌がっていた訳じゃなくて良かった。と少し安心した。

「……頭を洗うのお願いするわ」

「う、うん」

そう言うとユアが私の髪を洗い出した。何というか人に頭を洗ってもらうのはくすぐったいような……。

「レーナちゃんの髪の毛綺麗だよね」

「そうかな?」

「うん。いつも隠しているのがもったいないと思う」

「そうかな? 同じ髪色の子とか見たことないから結局フード被ったままだったかも?」

「? 昔から髪を隠していたの?」

「まぁ、いろいろあって……」

「そうなの……」

そうやってユアと話していると洗い終わったようなので泡を流してから一緒にお風呂にのんびり浸かっていた。