... live free!
150. After the battle
「お疲れ様」
「うん、レーナちゃんもお疲れ様。それよりも派手に転んでいたけど大丈夫なの?」
「う~ん。多分?」
そんなことを言いながら軽くストレッチをして見たけど問題ないと思う。
「それならよかった……」
とユアは少し安心そうにしていた。ユアがウルフと戦っていたときのことだけど私の様子もちゃんと見ていたんだ。と周囲を確認する余裕くらいはあったことに少しだけ驚いた。
「戦闘中にも周囲を確認する余裕ができたんだね?」
「え? あ、い、一応」
ユアは一瞬不思議そうにしたけど少し視線を彷徨わせながらそう言った。
「? どうかしたの?」
「……その、確認ができたと言うより凄い音がしたからつい見ちゃったというか……」
……なるほど。ウルフを蹴ったときやウルフが落ちたときにそれなりに音が響いたからユアが急に視線を向けて気にしても仕方ないかもしれないと思った。
ん? それじゃあユアは戦闘中にちょっとよそ見をしたのかな? そんなことが気になりユアに聞いてみる。
「もしかして、戦闘中に少しよそ見をしたということ?」
そう問いかけるとユアは私から視線を離した。ということはさっきユアが見せた様子はそのことを気にして少し気まずそうにしていたということなのか……。
「……ユアは怪我していないよね?」
「た、多分」
ユアは少し動揺したみたいで私に目を合わせようとしない。その様子を見て何かあったのでは? そう思い確認の意味も込めてもう一度ユアに聞く。
「……本当に? 怪我をしたのならちゃんと言わないと怒るよ?」
そう言うとユアは少し焦ったようで私を見てきたが口をパクパクさせていた。その様子をみてため息を吐きながらユアに向き直る。
「正直に教えてくれれば怒らないわよ。嘘を吐こうとしたら怒るけど」
「そ、その、ちょっと手が痛いです」
「なら見せなさい」
そう言うと少し痛いと言ったユアの右手をみると何だか赤くなっていた。何だろう? 少し腫れているのかな?
「この右手はどうしたの?」
「その、レーナちゃんが危なくなった。と思ってよそ見をしたときに近くまで来たウルフに気付いてなんとか守ろうとしたときに少し無理をしたみたいで……」
「そうなの。でも、大きな怪我になっていなくてよかったわ……。とりあえず治療をしておくからね?」
そう言って魔法をかけると手の赤みが引いていき肌の色は元通りになった。