... live free!
38. I'm going to see Mr. Emilia.
ギルドに着いて中に入ると多くの人がギルド内にいた。まぁ、ギルドの中にいると言っても食堂側でお酒などを飲んでいる人が多くいるだけだけど……。
そして受付の方をみるとそこには男の人が座って居た。受付に男の人が座っている何て初めて見た。珍しいなぁとそんなことを思いながら受付の方に向かうと男の人は私が近づいてくることに気付いたようで話しかけて来た。
「何か御用ですか?」
「エミリアさんとお話がしたいけど、居ますか?」
「……ギルマスですか?」
すると男の人は、一瞬眉をしかめたが直ぐに表情が戻った。何か顰められるようなことあったかな? とそんなことを思ったけどギルドに来た小さい子がギルドマスターを呼ぶように言ったのは怪しいかも……。と今更ながら気付いた。
「……はい。エレナさんのことで話がしたいと伝えてもらえば多分分かるかと思います」
「……お名前を教えてください」
「レーナです」
「分かりました。聞いてきますので少しお待ちください」
男の人は、悩ましそうな表情をしていたけどそう言って奥へと消えて行った。男の人が私の話を聞き入れてくれたことに少し安堵しながら男の人が戻って来るのを待っていた。
それから、しばらく待っていると男の人が戻って来た。
「部屋に来て欲しいそうなのでついて来てください」
「はい」
そうして案内されるがままに階段を上りとある部屋の前に着くと男の人は扉をノックした。
「ロンドです。レーナさんをお連れしました」
「……入って頂戴」
男の人の名前はロンドというのか。とそんなことを思っていると扉の奥からエミリアさんの声が聞こえた。
「失礼します」
ロンドさんはそう言って扉を開けて中へと入ったので私もその後に続いた。
部屋の中は、広くて応接室としても使えるようになっていた。そして所々調度品が置いてあり、なかなか良い部屋だということが分かる。それから奥へと視線を向けると、エミリアさんが書類の山に目を通しながら作業をしていた。
「レーナちゃん、悪いけど少しそこの椅子に座って待っていて、切りのいい所まで終わらせるから」
「分かりました」
私はそう言って近くにある椅子へと座った。
「ロンド、レーナちゃんにお茶を出してあげて」
「はい」
するとロンドさんは部屋に置いてあったポットを使ってお茶の準備を始めた。そしてしばらくするとお茶を私の前に置いた。すると、そのタイミングエミリアさんも仕事に切りがついたようで私の正面へと移動をして腰を掛けた。
「待たせてごめんね」
「いえ、大丈夫です」
そんな会話をしているとロンドさんはエミリアさんにもお茶を出した。
「ありがとう」
エミリアさんはそう言ってお茶を飲んだので私もお茶を飲む。
「(これは……)」
お茶を飲んであることに気付いて匂いを嗅ぐと懐かしい香りがした。この部屋に入ってから少し緊張して分からなかったけど、この紅茶は昔、母親が好んで飲んでいたものととても良く似ていた。確かエレナさんが桃の匂いがする紅茶は高級なものとか言っていたけど、どうして私にいいお茶を出してくれたのかな? とそんなことを疑問に思った。