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56. Let's Warm Up

そんなエレナさんを見てそこまで、驚くようなことじゃないと思うけど? と思いながら自分が着ているのかを確認した。シャツを着て、その上に厚くて温かい服にローブを着ている。

……あれ? もしかして、私って結構薄着をしているかも? 前世では、もっと厚着をしていたから……。あ、でも、この世界の記憶から考えると厚着かも? まぁ、寒くはないから大丈夫よね? とそんなことを思いながら、エレナさんが言いたかったことが少し分かった。

そんなことを思っているとエレナさんが寒そうに足を震わせていた。でも、上半身は寒そうに震わせていなかったから足元が寒いのかな?

「もしかして、足元が寒いの?」

「は、はい。でも、雪の中を歩いていたから仕方ないかもしれないけど」

エレナさんはそう言って足を温めようと手でズボンを触れたとき『ベチャ』という音が響いた。

「え?」

するとエレナさんから気の抜けた声が聞こえた。

「もしかしてズボンが濡れていますか?」

そう言ってエレナさんのズボンから足元まで軽く触れるとズボンからブーツまでビショビショに濡れていた。

「とりあえず、濡れているものは脱いでください」

そう言うとエレナさんがブーツを脱ぎ出したので私は土魔法を使って箱を作った。そこにお湯を作り出して中に入れると簡易足湯が完成した。そしてエレナさんの方を見るともう片方のブーツを脱いでいた。

「脱ぎ終わったら、ここに足を入れて温めてください」

「……え、ええ」

そう言うとエレナさんがやや驚きながらそう返事をした。それから濡れたものを脱ぎ終えると私が作った足湯に恐る恐る足を入れた。

「あ、暖かい」

エレナさんはそう言うとゆっくりと両足を入れた。

「あ、替えのブーツなどはありますか?」

「それは大丈夫。ちゃんと持ってきたわ」

エレナさんはそう言うと持っていたリュックから替えの靴下やズボン、ブーツを取り出した。

「私は、濡れたものを絞って乾かしておきますね?」

「私が後でやるから大丈夫よ」

「やることも無いので私に任せてください」

そう言ってエレナさんが脱いだものを回収した。

「あ、ありがとう」

「気にしないでください。エレナさんは依頼者ですから」

私はそう言って回収したものをできる限り絞って伸ばし、適当に掛けれそうなものを土魔法で作りそこに掛けておいた。そこでふと、自分のブーツも結構濡れているのかな? と思い確認をしたが履き口辺りが濡れている位でそんなことはなかった。まぁ、雪が深かったからなぁ。と思いながら濡れている部分は折り返し、どうしてエレナさんのブーツはそこまで濡れていたのかな? と少し気になった。