Living in this World with Cut & Paste

Episode 236: Xanadu Coming Back

「……ん?誰かと思えばいつぞやのマインとか言う小僧か……ちょうど良い貴様には聞きたい事もあった」

「ザナドゥ!!貴様ァ、何故ここにいる!??」

「ほぉ、随分と威勢が良いな、何故いるか?だと?ミスリルを集めてこいと魔王様に言われたからだ」

「なに?では、ここにいたはずのミスリルゴーレムを倒したのはお前なのか!!」

「ああ、俺は幸運だった。トロールゲイザーを倒すのはいくら俺でもしんどいからな。都合良く目の前にミスリルゴーレムが湧き出やがった」

「そうか、お前はトロールゲイザーを倒せないのか……?」

「そうか、そのゴーレムは僕が倒す予定だった物だっ!大人しくミスリルを僕に渡すんだ!」

「次は俺が聞く番だろう?俺はお前の問いにきちんと答えた、お前もきちんと答えるんだぞ」

……前回戦ったときもそうだったけど、妙に律儀な性格してるよな。こいつ(ザナドゥ)は。

「なんだ、答えられる事なら話してやろう」

……今は時間が欲しい。こいつを倒す算段が出来るまで。この茶番を利用して時間稼ぎさせて貰おうか。

「貴様と戦ってから俺の奴隷二人が居なくなり奴隷契約も破棄されていたのだが、貴様の仕業なのか?」

……やはり奴隷契約の破棄は気がついていたか。

「……だったらどうした?」

「ほお、その態度、何か知ってるようだな?貴様の仕業なら、しれたこと!二人を返せ!アレは俺の物だ!」

「巫山戯るなァァァーーーーー!貴様だけは絶対に許さないぞ!ザナドゥ!!」

僕の脳裏にルカ様の泣き顔が浮かびあがってきた。それと同時にふつふつと怒りの感情も強く湧き上がってきた。

思わず、斬りかかる所だったが、ぐっと思いとどまる。ヤツ(ザナドゥ)と戦うのは今じゃ無い。準備を整えたら……だ。

「ふん、こんなとこまで来たと言う事は小僧、貴様の目的もミスリルだろう?ルカとピロースを連れてこれば俺の手に入れたミスリルはくれてやる、どうだ悪く無い条件だろう?」

「僕を馬鹿にしてるのか?断る!僕はルカ様の未来を奪った貴様を絶対に許さない。クビを洗って待ってろ、お前は僕が必ず倒すから!」

ザナドゥにそれだけ言い放ち僕はこっそりと足下に【固有魔法・時空】を使いこの場から脱出する準備を始めたのだ。

「ははっ面白い事を言う小僧だ。確かにお前はヒューム族にしては特別な力を持っている事は認めよう……だが、俺を倒すとはよく言った物だな」

多分、【固有魔法・時空】の事は気がつかないと思うけど、後を追ってこられてはたまらない。目くらましに極大魔法を連発しておくかな。

そう考えて部屋の中央部に陣取るザナドゥ目がけて極大魔法を連続して撃ち込み爆音と凄まじい煙が巻き上がるのを確認して僕は足下の黒い渦へと

一気に飛び込んだ。

全速で黒い渦をくぐり抜けて、自らの意思で渦を消滅させる。

僕が【固有魔法・時空】で移動したのは、ルーカスの自宅でも無く、王宮でも無い。……そう、かつて死闘を繰り広げたあのオークの集落だった。

ここならば、仮にあの男(ザナドゥ)が追いかけてきても全力で戦う事が出来るはずだ。

だが、僕の作戦は上手く言ったらしい。5分が過ぎ去ってもザナドゥが現れる事は無く、静寂に包まれたままだった。

だが、油断は禁物だ。【地図】で力の迷宮(ダンジョン)の最下層を確認してみるとザナドゥはまだボス部屋にいるようだった。

その結果を見てやっと緊張を解く事が出来た。

「ふぅ……まてよ、ここから消滅魔法を撃ち込んで倒してしまうか」

一瞬、そんな考えが頭に浮かんだが、考え直した。ザナドゥのやつには犯した罪を悔いながら死んで貰わないといけない。

ここで【地図】を使って倒してもそれは果たされる事は無い。安全策を考えるなら【地図】から攻撃するのが一番いいんだけど……。

それにしてもミスリルどうするかな?ザナドゥを倒して奪う、か……もう一度トロールゲイザーを倒すか。のいずれかだろう。

ザナドゥを倒して奪うというのは可能性が低いだろう。何処に今回のミスリルを隠しているのかが判らないのだから。

と、なるとまたゲイザーからか……正直、僕ならゲイザーを苦にする事はない。問題なのは都合良くゲイザーが僕の前に再び現れてくるかどうかの方だろう。

ザナドゥのヤツが居なくなったらもう一度力の迷宮(ダンジョン)にいこうかな。

ミスリルは入手出来なかったけど、始まりの弓の素材は揃ったはずだ。まずは、そこからかな?

二人が心配してるだろうから。ザナドゥが追いかけてこないのなら家に帰った方がいいね